- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784331517482
作品紹介・あらすじ
元号が平成に変わった最初の夏、後輩の不祥事で阪南大高野球部の甲子園へ続く道は突然に閉ざされた。彼らは、自分たちの夢をドラフト二位で日本ハムに指名された岩本勉に託した。失意と絶望の底にいても、ひとは希望を見つけ、新たな道を進む事ができる。奪われた夏。挫けなかった球児たちの再生の実話。四半世紀を経て、明らかになる事実と秘密。
感想・レビュー・書評
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日本ハムファイターズの手前に「北海道」とつくようになるきっかけとなった、キーパーソンのひとりであるガンちゃんこと岩本勉氏は、甲子園でブイブイ言わせていた野球人ではない。本人が原因ではない理由で、その道を断たれてしまった過去がある。決して愉快とは言えないこの時のいきさつを丹念に追ったのは、プロ野球12球団のファンクラブすべてに10年間入会し、そのレビューを書籍化までした野球バカのひとり。解説というより、近所のおっさんが野球で雑談しているようだと言われるガンちゃんの見方が、少し変わるかもしれない一冊。
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長谷川さんと岩本さんの名前だけで読み始めたものの、気づくとのめり込んでいた。完全にすっきりするものではないけれど、間違いなく面白い。
ただ、本筋と関係のない脱線は確かに多かったかなぁ。 -
ツトムのための本。もう少しドラマチックさを期待してたので、もうひとつ
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筆者の感情が多く感じる文面が多かった。
この話題はタブーだと思っていて、敢えてどのメディアも触れていなかったのかと思えばそうでもなかった。
岩本さんはドラフトに指名されたのはこの不祥事で良くも悪くも評価されることごがなかったからなのかと思った。
廃版だけに手に入れるのは難しかった。もう一度読むかと言われると、即答できない。 -
小説みたいにスッキリしたエンディング、というわけには行かなかったが、むしろそれで良かったのかもと思える終わり方だった。
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元日ハムの岩本勉。いい奴ってイメージだったけどホントいい奴なんだな。明るいキャラクターの裏でこんなディープな過去を抱えてたのか。甲子園の夢を断たれた高校球児。枯れるまで涙を流した視聴覚室。それでも「赦す」とした彼等の思い。素晴らしい作品でした。
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岩本勉が中心の話かと思いきや、あくまで「話のきっかけ」に過ぎず、岩本の高校時代の野球部同級生のそれぞれの人生を追った話。
岩本が高校3年の夏、下級生の不祥事で府大会辞退という結果に終わった。それがその後の人生にどう影響するか。人生には自分ではどうすることもできないままならぬことがあるが、そのような理不尽なことを経験したことによる各人の思いは本当に人それぞれ。そして著者が各人に話を聞くと、皆が皆、甲子園を目指していたわけではなかった。中には半分「(辞退して)よかった」と思っている人もいた。野球部自体に馴染めなかった人もいた。辞めたいと思いつつ他に事情があって辞められなかった人もいた。高校時代の思いは皆同じではなかったはずなのに、取材した人のうち、一人もそれを乗り越えられなかった人はおらず、各人が各人の道をそれぞれ歩んでいる姿が印象的だった。
下級生の不祥事で甲子園の道が閉ざされてしまったことについて著者は各人に聞く。「運だった」と答える人が非常に多い。おそらく長い期間かけていろいろ考えたとしてもそのような答えしか出てこないのだろう。それが非常に心に残る。
一方、岩本周辺の話、両親、スカウトの話も面白かった。岩本の両親の話を読むと典型的な在日夫婦のような気もするが、在日差別、女性ばかり苦労しなければならない仕組み、そしてそのことに関して肯定的に受け入れなければやっていけない女性、それをめぐるわたし自身の感情は非常に複雑で言葉にできない。
最後は不祥事を起こした下級生の現在を追っていく様子が全面的な話題となるが、わたしはそこまでその人を追わなくてもよかったのではないかと思っている。
この本では岩本のイップスの話はまったく出てこないが(最初の方にちらっと投球フォームを変えたという話は書いてあるが)、この時点で岩本が意図的に話さなかったのか、それとも著者は聞いていたけれど、それまで書くとこれ以上の長編になってしまうのでそれは触れなかったのか。岩本のイップス克服の話も根底にあるのは「高校以後も自分一人だけ野球を続けられるすまなさ」があると思っているので、これをメインにした話も読んでみたいものだ。 -
話の筋と少し離れるけど、やはり同じ夢に向かっているようでも個々で温度差はあるんだな。
自分の学生時代の部活を思いだし、ちょっとホッとした。
著者の丁寧な取材ぶりや、岩本さんの気遣いに好感をもった。
先輩たちが赦せたのは、事件後の人生を真剣に生きてきたからなんだろうな。
最後、著者が何度か後輩に接触しようと試みたのはちょっとしつこいと思ったが、相手のことはお構い無くズカズカと踏み込んでいく人もいることを考えると、著者の優しさを感じた。 -
元日ハムのエース、岩本勉の高校最後の夏の出場辞退に迫っていく話。
何十年も経った今は何とも思ってないとは分かりきった展開だが、少し癖のある岩本の父親が在日韓国人というどうでもいいことにかなりの紙面が割かれている。
スポーツに国籍は関係無いことはスポーツを愛するものの常識だと思うが、、。
例えばダルビッシュの出自を誰かが気にするのか?
ラグビーの日本代表を見て「外人ばっかりで日本代表じゃない」という奴はいないし、そういう奴は見た目でしか判断できない輩だ。
何故ならスポーツ選手のアイデンティティは、その思考・哲学とそこからくるプレイスタイルに他ならないからである。
岩本勉が在日韓国人の子だから何なのか、著者の単なる興味本位に他ならない。
残念ながら期待外れ。