ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書 299)
- 光文社 (2007年4月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334033996
作品紹介・あらすじ
ひとのコミュニケーションに、ハラスメントの悪魔はいつでも忍び込む。気鋭の研究者による画期的な論考。
感想・レビュー・書評
-
自分の中の前提が狭すぎたというか、自分がとらえることのできる一面(と少し)しか理解できていなかったのだと気づいたら、そりゃもう、目からウロコというか、何かが崩れ落ちました。
今も昔も、愛されていないと感じている子供は多いと思います。
私の中では、子供を愛していない親は稀であって、「多くは愛し方を知らない」または「愛情の示し方と受け取り方に問題があって、伝わっていない」のだと考えていました。
だから、親子関係に問題のある知り合いのお子さんには、機会があれば「愛しているけれどうまく伝わっていない」と伝えてきたのです。
が。
「これをすれば(しなければ)お前を罰する」というメッセージと、「これは罰ではないから、そのように感じる悪いお前を罰する」という二重の抑圧のメッセージというものを子供は浴びているというのです。
ここに「親が愛してくれないのは、自分がいけないからだ。もっとがんばれば愛される」と子供が思う落とし穴につながると。
子供がそう思うのは、今までも理解できていたし、自分もそうでした。
うまく書けないのですが、今まで私が問題があるととらえていた親子より、実はもっと問題のなさそうな親子に大きな問題があると気づかされたのです。
あぁ、だから「自分は普通の家庭に育ったので、インナーチャイルドなどない(キッパリ)」と言える大人が育つのだ。とわかりました。
本当は「愛していない」のに、「あなたのためを思って」と装って「これをすれば(しなければ)お前を罰する」といい、「愛していない」ことを見抜かれぬように「これは罰ではないから、そのように感じる悪いお前を罰する」という二重の抑圧のメッセージを発するというのです。
私自身も、幼少のころには「姉の方が愛されているに違いない」という妄想でがんばったり投げ出したりいろいろありました。
幸いなことに、両親はこのような二重の抑圧のメッセージを発する人でもなかったし、「自分」というものをしっかり持つことができたので、そういう感覚と、少し知っていると思った世間のことしか認識できていませんでした。
コドモを愛していない親は(ほとんど)いないという妄想を抱いていた私には、本当に衝撃的でした。
『星の王子様』が、ハラスメントについての物語だったとは・・・
感じたことを、自分の感覚で受け入れるということの大切さを再確認しました。
そして、そもそも自分の感覚を信じることができなかった人たちの多さ・理由を理解できました。
ずっと疑問だったんです。
幸い、私自自身はハラスメント構造にはまっていないし、自分の感覚を信じ切ることができる状況です。
それで、この衝撃度でしたから、もし、ハラスメント構造にはまっていたり、自分の感覚を遮断しているような方は、『生きる技法』から読まれることをオススメします。
この本は、ネットの書店では今売っていない(2007年初版)ようなので、あしからず。
入手しやすいのも、『生きる技法』ですしね。
自分を愛せない人間が、たとえコドモでも愛せるわけがないのだ。
と思ったら、なるほど、そういうことだったのか。
とすっきりしました。
無条件の愛、というのは、まず自分が自分に対して与えられるものでしたね。
あ〜すっきり。
自分を愛していないことを、だからコドモでさえも愛せないことを、気取られないために針を真綿にくるむのか。
真綿にくるんだ針を受け取ったコドモだった大人でも、針だったと認識できれば、大きな一歩が踏み出せますよ。
CHhomでもかなり力をいれてインナーチャイルド癒やし(解放)をしていますが、本当に重要なんですね。
真綿にくるまれている針、ひょっとしてまだ持っているのかも。
今度はそういう観点でインナーチャイルド癒やしをやってみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サッティヤーグラハ。
-
ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛。安冨歩先生と本條晴一郎先生の著書。セクハラ、モラハラ、パワハラ、アカハラ、マタハラと、ハラスメントだらけの日本社会。でもハラスメントは連鎖するもので、ハラスメントの被害者が同じようなハラスメントの被害を繰り返し受けることもあれば、今度はハラスメントの加害者になってしまうことだってある。ハラスメントなんてどこで起きているの?実際にそう思っている人は多いし、そう思える人は幸せなのかも。
-
やけに生々しい「大学教授」ハラスメント被害描写に心を痛めていたら、「花火に行けなかった幼児」から激流! 速い速い、ついてけません先生ー!な、滝下りのような本でした。この本を読むと、現代日本にハラスメントに毒されていない場所なんかないじゃん、もはやスタンダードじゃん、とわかり、絶望できる。でも、処方箋もちゃんとあり、激流の終わりには論語とガンディーです。一人一人でやらねばな、という希望がもてる(2019-09-18)
-
モラルハラスメントのメカニズムから、モラルハラスメントにおける加害者、被害者、被害者的加害者などの特徴や対処方法まで著されています。途中、概念の理解が難しいですが、実用的な本かなって。
-
表記がカタカナの文字が多く、理解しにくかった。もっと分かりやすく書いてくれたら、著者達の思いも伝わるのか?かなり限定された読者相手の内容。
-
新刊、古書でも入手困難な状況で図書館にて借りる。
内容は結構高度で読むスピードは当然スローになるが、よく読むとなるほどなぁと思える書き方です。
本條さんの書いてる章がちょっと文章についていくのに苦労した。
『複雑さを生きる』や『生きるための論語』どう繋がっていくかをこれから核にしようと思うが、再読の為に古書でも発見したら是非購入したい。
ちなみに重版の予定はないとのことです。 -
図書館から借りて読んだ本でしたが、買いですね。これは買い!手元に置いて折に触れ自分の在り様や世間との関わりを確認し、自戒し、反省し、向上していくためのとても有意義な指南書です。とりあえず明日早速本屋に足を運びたくなりました。
この本が本の中であげられている事例のすべてが完璧に正しいとも思いませんが、それでもかなりの点で、普段感じていることの多くが謎解きのように明かされていて興味深いです。