離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告 (光文社新書 446)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035501

作品紹介・あらすじ

幼くして離婚に巻き込まれた子どもたちは、その後どのような発達の軌跡を描いていくのか。なかなか明かされない子どもたちの本心は-。本書では、心理臨床家として様々なケースをみてきた著者が、事例や諸研究をもとに解説。「日本の離婚」の抱える問題点に挑み、解決策を模索する。

感想・レビュー・書評

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  • 離婚において、子どもに与える影響が事例に分かれ、取り上げられている。先進国では日本が唯一単独親権で、共同親権のアメリカや韓国の事例など、今の日本で議論されている「単独親権のまま」か「共同親権」か決めていく過程において、非常に参考になる著書。
    いずれにしても子を育てる立場にある親の勝手で子どもが不幸になることはあってならないし、いかに子ども中心でこの議論が進められるかが鍵だ。
    端々に著者としてのメッセージが散りばめられており、それをきちんと論理的に語られており、理解しやすく読みやすい。

  • 10年以上前の本だがとても勉強になった。
    夫婦目線の本ではなく子供目線の本。
    この本は決して、離婚は子供に悪影響があるから踏みとどまりましょう、と言う内容ではなく、日本でも3組に1組は離婚している現状において、離婚を前提にしながら離婚が子供に与える影響、特に共同親権について書かれている。また、前半の発達心理の部分も分かりやすく勉強になる。

    日本では離婚は夫婦の別れ=親子の別れとなっているが、片親から引き離された子供の傷は永遠に癒えることはないとの事。子供にとっての最高の親は両親である。たとえDVやアルコールや薬物依存の親であってもだ。海外では親教育プログラムを行ったりカウンセリングを積極的に行い、子供だけでなくDV親を援助する仕組みを作ってなるべく親と交流できるようにしている。子供の健全な発達には実の両親が欠かせない。

    この本の中では海外、主にアメリカでの事例や研究が書かれているが、共同親権にしてもいかに日本が遅れていて、子供の気持ちを尊重していないかがわかる。
    法制度上日本は単独親権なので別居親を疎外(片親疎外)をよりし易くなってしまう。別居親の悪口を吹き込んだりして意図的に片親疎外するのは、子供に対する心理的虐待だということに気付かされた。反対に海外では、いくら別れた相手を恨み憎んでも、子供の養育は両親が関わるよう努力していると書かれてあり、日本の親は親権親、別居親共に未熟であると感じてしまった。制度上関わらざるを得ないようにしなければ無責任に親を放棄し易くなってしまう。

    一方で、制度が無ければ親と子の関係も簡単に切れてしまうのかと悲しい気持ちにもなる(もちろん離婚しても子供を大切にする人の方が多いと思うが)。

    子供を作った以上は、たとえ離婚しても親としての責任をしっかり果たさなければならない事を胸に刻みたい。

  • 「最良の親は、両親です」というアメリカの裁判で語られた言葉というのが、印象的だった。それは離婚を思いとどまれ、というのではなく、離婚したあとであっても、両親として子どもと接しろという話だ。子どものことを考えると、大切なことだと思う。

    仕事の関係で読んだ。いろいろ考えさせられるな。日本の状況は、諸外国に比べると、特にアメリカと比べるとまだ離婚を伝統的な家族形態からの離脱、つまりネガティブなものととらえていると感じられる。まぁ、たいへんなことではあるんだろうけどさ。ハードルをあげておいて、なるべくそういう状況に陥らないようにするというのは、ある意味社会の知恵なのかもしんないが、もう時代は変わりつつあると思う。子どものことを考えると、もう少し変化があってもよいのではないか。

  • 最良の親は、(実の)両親である。,米国の共同監護制度は、面会交渉がままならない日本の父親から見れば、別世界のようです。,,しかし、日本のように、別居親(父親がほとんど)と関係を遮断されてしまうと、子供たちのこころが壊れてしまうとの著者の指摘…。,,離婚は子供たちのためにも、何としても避けたいです。

  • DVとか相手の怒りや憎しみが子どもに与える影響が大きいようであるようだ。
    幸いにもそのような行動や心情になったことがないので、下記の文言は参考になった。
    ・片親疎外
    ・悪口は言わない
    ・結婚の失敗ではなく、終結
    ・お父さんの家、おかあさんの家がある

  • 面会交流について勉強になった。

  • 3組に1組が離婚する現代日本。離婚は本当に当人たちだけの問題?老若男女、既婚、未婚問わず読んで欲しい一冊。
    P.N.散さん
    OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000091698

  • 離婚が子どもに与える影響について、米国などの事例も含めて書かれていて大変参考になった。
    特に印象深かったのは、どんなに葛藤を抱えた夫婦の離婚であっても、子の養育計画を決めなければ離婚届が出せないというサンフランシスコのシステムだ。
    そして、離婚後も子どもを第一に考え「共同養育」をサポートする様々な取り組み。

    離婚すると片親と会えないという状況が、日本の離婚家庭で多い中、真に子どものことを考えどうすればいいのか考えるのに役立つ一冊だと思う。

  • 「子供にとって両親の離婚は大きなストレスになる。
    だけど、それ以上にもっと深刻なダメージを与えるのは、
    離婚後、別居親と子供の関係が断絶されることである。」

    最良の親は両親であることは常々考えていたけど、離婚してその関係性をどうやって続けていくことがよいのか、という疑問に、共同養育というキーワードが回答してくれた。

    具体例を交えながら、丁寧に考察の進む良書。
    子どもがいて離婚を検討する夫婦は是非読んでほしい。

  • 親の離婚の子どもへの影響に興味があって読んだ。そこから入ったものだから、取り上げられている実例数はかなり少なく感じた。

    主に米国での知見を基にしたものだが、制度的対応策の提言に紙数を割いている。

    せめてそれを反映した題名であったならと感じた。

    そこまで含めて知りたい人には良書だと思う。

    「子どもの最善の利益」「最良の親は両親」「離婚後も共同養育」

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