シングルマザーの貧困 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038274

感想・レビュー・書評

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  • 特に意外なことは書いていないが、皮肉にも風俗産業が一番フレキシブルでなおかつ高収入というところは印象的。表の社会のほうが生きにくいのか、日本は…。

  • 感想として、
    恋愛は非日常、結婚は日常というものを痛烈に感じた。パートナー選びの際は好きの感情は一旦抜きにして冷静に見極める必要がある。
    また結婚出産を機に正社員を手放し経済的自立を失うと身動きが取れないため、子育ての際は親にサポートしてもらったりベビーシッターなど積極的に活用して自ら正社員を手離さない。


    【まとめ】
    シングルマザーの貧困率は5割であるが、それは
    一旦結婚出産を機に正社員を辞めると正社員として復帰しにくいため。(企業側が未就学児を抱える人材を雇うのはハイリスク)
    そして子供に充分な教育を与えることができず、
    子供が就労の際に不利になる。

    ちなみに女性が離婚する理由は旦那が生活費を渡さない、暴力を振るう、精神的に虐待する、子供の教育に悪いなど。おまけに旦那は義理親と疎遠であったり、友人がいないなどネットワークがないと
    周囲のサポートも受けられない。
    そして慰謝料、養育費を貰わない理由として『旦那の給料では期待できないから』

    またウィークカップル、パワーカップルのように
    同類婚が増えることで世帯の格差が広がる。
    優秀な人のパートナーになるには自分もそれなりになる必要がある。



  • 第三次安倍内閣が発足した。
    女性が輝ける社会というものを掲げているこの政権がどのような対策を取っていくのか。
    今までの実績を見る限り、旧式かつステレオタイプな人物ばかりで固めているような気もするが、是非とも、実現してほしいものだ。

    さて、私自身シングルマザーの家庭で育っている。
    中高大と全て私立で進学できたのはひとえに母のおかげだ。
    もちろん自分でも貸与、給付の奨学金がもらえる努力はしたが、三人の学齢期の子どもを抱え、仕事も家事もこなしていた母は私の誇りである。
    だが、「かわいそうな家」「かわいそうな子」という見方をされることがあり、不愉快な思いをしたこともある。
    「かわいそうな子」に対して、自己満足でしかない同情をされた後、母への批判になるからだ。
    そして最後は自己責任論。
    ふざけるなと声を荒らげたい。
    あなたの言う、「普通の」家族とはなんですか?
    「かわいそう」ならなぜ手助けをしないのですか?

    本書では6つのケースからシングルマザーの問題を提起する。
    社会の母子世帯に対する眼差しであったり、DV問題、養育費等の問題、また、諸外国と比べた際の日本の政策や母子世帯事情など、興味深い内容である。
    日本の母子世帯に対する理解、支援が進まない現状の背景にある日本の文化規範に対する資料が日本の硬直化を示しており、母子世帯に対する問題を考える上で重要な資料となっている。

    超少子化、超高齢化の時代が進んでいる。
    経済政策はもちろん大事だ。
    しかし、弱者を切り捨てながら向かう先には何があるのか。
    自己責任論ではもはや立ち行かないことに我々は目を瞑りすぎではないか。
    子供の相対貧困率は上昇を続けている。
    貧困の再生産、これが続けば、いずれこの国は破綻する。
    破綻はすぐそこまで迫っているのだ。

    本書ではシングルマザーに的を絞って論じているが、シングルファザーに関しての研究はまだ発展途上である。
    著者はそれも含めて研究していくことを決意しているようだ。
    もはや「標準家庭」などない。
    何が必要で、何を解決しなければならないのか。
    今、我々は大きな転換点に立っている。

  • スウェーデン54.7%、フランス52.6%と、婚外子出生が非常に高い国が世界にある一方、日本は非婚率、離婚率が上昇しても、婚外子出生率は2.1%と超低水準。
    決して婚外子出産を推奨するわけでないが、多様な生き方を社会が認めサポートする社会保障や雇用政策は色んな方法が可能であることを、諸外国の例からも教えてもらった。
    「標準家族」制度ありきの施策だけでなく、制度からはみ出すシングルマザーの実状に合わせた支援が前進することを願います。

  • 自分にとっても社会にとってもシングルマザーの存在は大きく支援をしていくのは子供の生活を支えることも含めて大切である。ルポと筆者の考えが現代社会を表しており、母子世帯に対する政府や社会の冷遇を無くし、一人でも救われる母親が増えるように自分もNPOでさらに励んでいこうと思った。

  • 感情論で申し訳ないが、正直シングルマザーの気持ちは一生かけても分かりようのないものだが分かろうとすること、互いに歩み寄る努力はやめちゃいけない。子を守ろうとする母の決断力はすごい。


  •  新サービス検討のお勉強。

     シングルマザーの貧困問題は、日本の社会問題の集積点である。それは、就労、家族、社会保障制度の3分野にまたがる問題を凝縮したものといえる。
     …
     母子世帯の平均年収は一般世帯の半分に満たず、純粋に「就労所得」となると一般世帯の3分の1となってしまう。…
     
     …母子世帯にについては、1983年には約71万8000世帯であったとされることから、過去30年の間に約52万世帯増加したことになる。一方、この期間の家族世帯類型の推移を見ると、少子化や晩婚化・非婚化により、「子どものいる世帯」が全世帯に占める割合自体は、4割から3割まで減少している。つまり、子どもの数も、世間で考えられる「両親揃った”普通の”家庭(=標準世帯)も減っているのに、それに反比例して、シングルマザーに育てられる子どもは増加の一途を辿っているのである。」 

    離れて生活を始めるに当たっての困難
    内閣府「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査結果」2007

     いわゆる二馬力の完全共働き夫婦の子どもたちは、男女問わずほぼ例外なく専業主婦否定派であるのが印象的だった。自由記述を読むと、「両親が共働きが当たり前だったから」「家に母親がいるのが想像できない」といった理由が並んでいた。フルタイム就労者の母では、よく「子どもが寂しがる」といった批判が出るが、実際に「寂しかった」のはパート主婦の子どもの方……という結果は興味深かった。

    「先生はおっしゃったんですね。『あえて子どもに嫌われる親役割をやっていたのは、まぎれもなくご両親の教育方針でしょう。親が子どもに嫌われたくないとか好かれたいとか、そんなのは教育の本質からすれば、どうでもいいことだと思います。親の役目というのは、子どもが大人になったときに、自力で働いて幸せになっていけるかどうかということ。あなたは親御さんが嫌いだったかもしれないけれど、今ちゃんと自分の力で働いて子どもを養って、行きたい学校にも行かせている。その力をくれたのは、ご両親の教育ではないですか』と」

  • シングルマザーの半分は貧困。離婚はワガママ、就労可能と見なされ、保護対象から外れ、長時間労働できないから正社員になれず低給与。普通の家族からみると例外でありあってはならない存在。

    時間を捧げないと稼げないってあたりが解消されれば、いろいろなことが変わると思うのですが。

  • シングルマザーも大変だ! ということがよく分かる本でしたねぇ…少子化少子化騒いでいる今現在の日本ですけれども、喚き立てているくらいならこうした人たちを保護というのか、ケアする法律くらい作ればいいんじゃないでしょうかねぇ…。

    高学歴化する社会だそうですけれども…それに加えて結婚相手に求めるアレやコレやも上昇傾向にあるそうなんですけれども…つまり選り好みしすぎて婚期逃す、みたいな人たちが大勢いるそうなんですけれども、そうした人たちなど放っておいてですね、今現在ケアが必要なシングルマザーとかを何とかすべきだと思いますよ!!

    自己責任とか言っているバヤイ(場合)じゃないと思います…このままでは子供たちの命が危ないの・ですから…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、国によるサポートがあったとしても生まれてくる絶対数はこれからも少なくなるかと思います…そして、日本は老人大国に…死にたい…。 ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    さようなら…。

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著者プロフィール

國學院大學経済学部教授。1970年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。修士(学術、哲学)。専門領域は文化社会学、ジェンダー論。詩集『音速平和』(思潮社)で中原中也賞、『Z境』(思潮社)で晩翠賞をそれぞれ受賞。主な著書に『「居場所」のない男、「時間」がない女』(ちくま文庫)、『無頼化した女たち』(亜紀書房)、『多様な社会はなぜ難しいか』(日本経済新聞出版)などがある。

「2023年 『離れていても家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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