老人に冷たい国・日本 「貧困と社会的孤立」の現実 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038700

感想・レビュー・書評

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  • まあ確かに冷たいかもしれないが、
    それくらいでいいのかもしれない。

  • ほんとにその通りなんだが。で、どうしよう。うーん。

  • 感想未記入、以下引用
    ●過疎地や離島と同様に、あるいはそれ以上に、都市部においてはひとり暮らし高齢者が急増している。ここで、ひとり暮らし高齢者の出現率上位30位の自治体中、都市部の自治体は1995年においては2自治体のみだったが、2010年には16自治体に増えてきていることに注目したい。16の自治体はすべて大都市である。
    ●介護制度の導入によって、それまでの高齢者福祉の行政サービスは、大部分、民間業者に委ねられた。こうした変化の中で重大な問題は、行政による高齢者問題の把握力の低下をもたらしたことである。また、サービスを利用者が<自らの意志で自由に選択できるシステム>に変えた結果、このシステムは、比較的生活が安定している高齢者にとっては身近な制度となったが、自分から声を上げない人びとにとっては、制度との距離が大きくなった。(略)要介護認定を受けた高齢者全員が、サービスを利用するわけではない。(略)つまり、介護保険制度は、1割半程度の高齢者の、それも介護問題を見ているに過ぎない。この1割半の高齢者に起こる問題が、高齢者問題のすべてではない。
    ●高齢期の経済状況は、悪化の一途である。年金の減額、後期高齢者医療制度の保険料の引き上げ、病院での窓口負担の増加、消費税の引き上げ等々、それぞれの領域で負担増を決定、あるいは計画しているが、その結果、具体的に高齢者個人の家計がどのようになるのか、だれも見ていない。現在の高齢者の経済的生活状況の現実に合わない負担を強いて、その結果、生活できない事態を生み出していることをきちんと認識しなければならない。(略)高齢者の生活基盤が脆弱なゆえに、親族・地域から孤立し、ひっそり亡くなっていく人が跡を絶たない。それは高齢者だけの問題ではない。日本の社会、社会保障・社会福祉制度は大切なものを欠落させてきているのではないか。緊急に対応すべきは、国民生活に一定のミニマム基準が設定され、各制度がその基準を下回らないように全体的に調整することである。
    ●不安定な仕事をしてきた人の高齢期の貧困と社会的孤立、しかし、生活態度は控え目で、困難な状況にあっても助けてといわない人、そうした人を無視した政策の展開が、孤立死・餓死を生み出してきた。しかし、それは過去のことではない。今後、高齢者が急速に増えることが社会の大きな負担になる言われ、人数の多い団塊の世代は肩身が狭い。団塊の世代が後期高齢者になる年が、危機のピークだそのときのための準備をしなければならない。

  • 憂鬱必至な警告書。
    死ぬのは1人なので無縁も孤立もやむなしだが、餓死は辛い。年金貰っても生活が苦しいという事は団塊ジュニア世代には年金無しの無間地獄があるようにも思えてくる。

  • 貧困で餓死という信じがたい実態が私達の住む日本ではたくさん起きている事を知る。
    餓死まではいかなくても、生きているのが辛くなるほどの生活を余儀なくされている方も少なくない。
    そのような状態になるまでどうにもできなかったのだろうか。
    情報社会と言われる現代で自分で調べてどうにかできる方は良いのだが、情報さえも閉ざされた環境にいる方もいるのだ。
    周りが気づいてあげられれば良いのだが普段からの付き合いも無いのだろうな。

  • 高齢者3000万人時代の現実を、きめ細かい調査データから分析し、その実態の悲惨さをまずさらけ出す。
    老人だけが裕福そうで、医療費や社会保障費を使っているイメージがあるが、例えば現実の介護保険の利用率は14%程度等、その他にも一人暮らし、収入、地域ネットワークの問題にも切り込んでいく。
    問題解決への具体的シナリオも紹介されている。

  • NHKの「無縁社会」、「老人漂流社会」の製作に協力・出演した社会学者が、日本の老人の"今"を書いた本。読んでいていて憂鬱な気分にしかなりませんでしたよ・・・。冒頭から高齢者の孤立死・餓死の話から始まりますしね。

    まだ研究途中の内容なこともあってか、かなりデータが多めです。横浜市で一人暮らしのお年寄りに実施した訪問調査の結果と、お年寄りに書いてもらった日記(日々の記録)は読んでいて本当に辛い。「年金をたくさんもらってる」イメージのあった現在のお年寄りですが、かなり人によってマチマチな実態も知りました。家が賃貸で年金支給額が月7万とか。いわゆる普通の生活をするために、仕事リタイアするまでにいくらの預貯金額が必要なんだろうと気が遠くなる。しかもこれからますます高くなる高齢者の割合、減っていく年金・・・。元気なうちに人に迷惑かけずに死にたいと思わず思ってしまう。

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著者プロフィール

明治学院大学名誉教授。専門は社会福祉論。博士(社会学)。明治学院大学教授、明治学院大学副学長、港区政策創造研究所初代所長を歴任。2018年より現職。現在、港区地域保健福祉推進協議会会長、東京都生活協同組合連合会理事、自治労連・地方自治問題研究機構運営委員などを担っている。
著書等 『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』法律文化社、2009年、『生活分析から政策形成へ―地域調査の設計と分析・活用―』(長谷川博康と共著)法律文化社、2017年、など。

「2022年 『「健康で文化的な生活」をすべての人に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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