天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044831

感想・レビュー・書評

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  • 天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 | 本がすき。 - 本がすき。
    https://honsuki.jp/stand/37245/

    宮沢賢治の宇宙観はアインシュタインを超えていた - 谷口 義明|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
    https://webronza.asahi.com/science/articles/2020010800003.html

    こだわり天文書評:『天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』 - 星ナビ.com
    https://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/magazine/books/individual/4334044832-j.shtml

    宮沢賢治はアインシュタインを超えていた?『銀河鉄道の夜』を天文学的に解読して初めて分かったこと。|光文社新書
    https://shinsho.kobunsha.com/n/ncf65b79adf70

    宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 谷口義明 | 光文社新書 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044831

  • 「銀河鉄道の夜」再読からの連なりで手にした。(ちょうど、職場の先輩が貸してくれた。)

    たしかに「銀河鉄道の夜」には、ファンタジーとか幻想的な心象風景などの一語では片付けにくい、不可思議な表現やワードがよく出てくる。天気輪とか、三角標とか。わたしは、コロラド高原や、鳥を捕る人はどういう事象なのかな…と思っていた。そういう「銀河鉄道の夜、独特のワード」や表現を、天文学者である筆者が、最新の宇宙科学の知見でもって解釈を試みる。

    読み始めてまもなくは、アカデミズム・科学畑出身の筆者らしく、論文のような構成や、論の展開、筆致を感じ、ちょっと堅いかも…と思った。だが、読み進めるうちに、そういう堅実で徹底した論証に、ある小気味よさを感じ始め、心地よくも感じ始めるのであった。

    賢治が、「銀河鉄道の夜」を書き始めたのは1924年頃。当時の宇宙論はどういうものだったのか。海外の最新の学術書が日本国内に翻訳されたものは、いつ、どういう書籍があったのか。賢治は、それらの宇宙論の学術書を手にし、読んだ可能性はどのくらいあるのか? ということも検証してゆく。そういえばたしかに興味深い視点である。
    そして、そもそも「銀河」という語すら、当時はまだ市井に流布した言葉ではなかったことが明らかになる。緻密に調べていて興味深い。その章だけでも、論文のような価値がある。賢治はブルジョア階級だったので、希少で高価な書籍であっても、上京の際に購入したり、取り寄せたり出来たようだ。

    同時に本書では、銀河系宇宙についての概論や、最新の宇宙論を知ることが出来て、ためになる。(今は「島宇宙」という用語はもう使わないらしい…、とか。)
    ただ、一方で、物語内の不可思議で幻想的なワードや表現の多くを、ときに量子物理学の知見をもって裏付けてゆく。宮沢賢治はその後の、未来の最新の量子力学の理論を予見して書いていた、とする解釈もある。

    それはさすがに牽強付会みたいではありませんか? と苦笑してしまう部分も少々あった。
    例えば 「すきとほった天の川の水」を検証する節がある。ここでは、星間物質の大半が水素であること、水素原子のエネルギー状態についての解説、理論を説明(基底状態から励起状態への遷移、水素の再結合線、量子化…)。「賢治は(それらを)考えた可能性」があり、「すきとおった天の川の水」というイメージや表現を書いたのではないか、とする。ちょっとやりすぎ感もある。
    それは文学的な表現でいいんじゃないかな…と個人的に思うのであった。

    ※保坂嘉内について言及した箇所もある。

  • 天文学者としての考察。他書にあるような思想的な視点から考えるのではなく、あくまでも童話であるという前提の上で、科学的に考えることに主眼が置かれているので、考えがより深化されるだけでなく、現在の宇宙論も学ぶことができる。

  • ふむ

  • (借.新宿区立図書館)
    『銀河鉄道の夜』の中から宇宙や天文現象に関するものを取り上げ解説するという趣向の本。当時の宇宙など科学の状況などにも言及。ちょっと賢治を持ち上げすぎで何でも天文宇宙に結び付ける部分が多いけど、天文宇宙の本だから仕方がないのかな。もう少し文学と天文学を分けて記述をした方が良いような気がする。(贔屓の引き倒しにならないように)

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1076/K

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著者プロフィール

1954年北海道旭川市生まれ/東北大学大学院理学研究科博士課程修了・理博(84年 東北大学 天文学)東北大学大学院理学研究科助教授(91年).愛媛大学大学院理工学研究科教授(2006)・同大学宇宙進化研究センター長/専攻・銀河天文学/
主な著書:『現代の天文学 第4巻 銀河』(07年日本評論社;共著),『宇宙進化の謎』 (11年,講談社),『宇宙の始まりの星はどこにあるか』(13年,角川新書)

「2017年 『銀河宇宙観測の最前線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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