The unseen見えない精霊 (カッパ・ノベルス カッパ・ワン登龍門)
- 光文社 (2002年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334074661
作品紹介・あらすじ
インドの森の奥深く、僕の目の前の老婆は突然語り始めた。その声と言葉は、自らの不可能な死を語るカメラマン「ウィザード」のものだった。飛行船の闇の中、彼に死を与えるために来た美しい少女と、見えることしか信じない彼の戦いが始まる。彼の武器は鋭利な頭脳、巧妙な論理の罠。だが、彼の罠を次々に突き破る少女の論理と見えない精霊の力。大胆に読者に突きつけられる質問状、あなたは解けるか?
感想・レビュー・書評
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一気に読んだあとで眩暈がした。これだけ報われぬ疲労感に襲われるミステリも珍しい。 舞台設定があまりにも異様なのですぐに引きずり込まれたが、途中から感じたイライラとムカムカは最後まで治まることがなかった。その理由に思い当たらなかったが、“読者への挑戦”を読んで気が付いた。馬鹿丁寧に同じことを何度も説明しているが、悲しいかな、不明瞭すぎて全く説明になっていないのである。飛行船の構造や事件現場についての理解は早々に諦めた。思うに、導入部分と“読者への挑戦”だけ読めばコトは足りるのではなかろうか。 ウィザードの論理はそれらしく聞こえるが、屁理屈をこね回しているだけで見苦しい。屁理屈といえば、本作品全体がその様に思えるのは私だけだろうか? 手掛かりをこと細かく読者に開示したことがかえって仇になったような……。目的に到達するにはかなりの根気を要する。
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ほぼワンアイデアで成立しているミステリで、トリック自体は悪くないんだけど。
どうも小説としてあまり面白くない。
マジックショーでも見ている気分になる。登場人物たちも、唯々諾々と誰かの指示に従っていて、人形のようだ。
やはり小説の読者が感動するのは、登場人物が泣いたり笑ったり怒ったりするからだろう。エモーショナルな部分が欠落しているため、ディスカッション・シーンの連続も、論文を読まされているようで、いまいち気分が乗れなかった。
まあ不可能犯罪を成立させているアイデアそのものは面白い(かなり危なっかしいトリックだが)ので、トリックを知るために読むのも悪くないかも。 -
ワントリックをベースに強引に作品を仕立て上げたような作品。
しかし、あまりにも不自然で奇妙な状況設定や、主人公(誰かも曖昧だけど)や登場人物のキャラがどれもこれも魅力が無く、さらにはやたらと解説調の地の文章が長ったらしくて退屈(あの手をつなぐ話とか…)。
伏線や、読者への挑戦があるのは意欲的で嬉しいのだけど、ワントリックが分かってしまうと全く退屈な作品になってしまった。
いかんせん、作者の筆力が今一つなのだけど、本格に挑戦する姿勢は嬉しいので、新しい方の作品を読んでみよう。 -
出てくるのはシャーマン、精霊、飛行船、奇妙な儀式に仮面の男。インドの森の奥で、密室状態の飛行船内で殺された男がお婆さんの口を借りて語ります。この舞台の持つ幻想的な雰囲気は結構好きです。きちんと読者への挑戦が挟まる本格で、描写がこれでもか、というほど細かいので思わずメモを取ったりしましたが全く歯が立たず。解答が示されて初めて、がっつり伏線が張ってあった!と今度は歯ぎしりをしたくなりました。人により評価は変わると思います。トリックありきの作品だと思いますが、読後感も悪くなく、私はさくっと楽しめました。
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「ウィザード」と呼ばれる日本人カメラマンら4人が、精霊が支配する村で禁じられた行為をしてしまった為、飛行船というクローズド・サークルの状況下で次々と「精霊」に殺されてしまいます。
トリックは小ネタですが、オンリーワンな設定が巧く読者を幻惑させています。4つの死に纏わる8つの謎が一撃で解決する破壊力は圧巻です。
ただ、ストーリー性は皆無なので、あくまでもトリッククイズとして楽しむ作品だと思います。 -
詰将棋のような小説で、楽しめた。薀蓄描写でいくらでも引っ張れそうな話を必要最低限の情報で纏めている。実写かアニメで見たい。
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悔しいのを認めたくないような気分です。本格推理ということで腰をすえて望んだだけにロジックに足をすくわれたような…。惨敗です。
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出だしに笑いました。
と同時に果たしてこれはちゃんとしたミステリなのかと不安にもなりました。
ですが、解決はきちんとしたミステリ的解決でした。
トリックに関しては伏線がちゃんと張られていたのですが、気がつけませんでした。
精霊やシャーマン等と設定が異様で物語の始まりのインパクトも強烈なので、好き嫌いが別れそうです。