- Amazon.co.jp ・本 (595ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334735296
感想・レビュー・書評
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あれよと展開する陰謀と復讐の捕物帖は、変態エロスを加味しながらも清楚な雰囲気を醸し出す不思議な感覚に襲われる。これは読者がまんまと騙されているのかもしれぬ。やはり乱歩による変態世界に招待されているのよ。きっと。
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満島ひかりのドラマで見たぞ、怪人二十面相…
なるほど、これがあのシーンの…ここが…
大暗室は、ま〜たパノラマ島作ってる…
いや分かるけどね -
火星の運河!
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大乱歩、生誕120周年ださうです。
さう聞くと、何か読みたくなつたので、我が家の本棚から『大暗室』を取り出したのであります。わたくしが所持するのは角川文庫版ですがね、ここでは入手しやすい光文社文庫版を挙げるとしませう。
大暗室。タイトルからしてすでにおどろおどろしい。登場人物は、悪の天才・大曽根竜二と正義の青年・有明友之介、そして有明君の父親に仕へてゐた忠臣・久留須の三人が主要なところでせう。
大曽根の父は有明の父母を殺した悪い奴。そして大曽根と有明は実は義理の兄弟なのであります。
親子二代に渡る復讐劇ともいへますが、本書の眼目は何といつてもタイトルにもなつてゐる「大暗室」。悪の権化・大曽根君がその財力に物をいはせて帝都東京の地下に創り上げた、一大ユウトピアと申せませう。無論常識人にとつてはおぞましい地獄以外の何ものでもないのであります。
現在の読者には噴飯物の設定かも知れません。登場人物の性格付けは実にステレオタイプであるし、ストオリイも結末が容易に想像が付いてしまひます。
でもね、それで良いのです。王道の勧善懲悪、正しい荒唐無稽。川内康範的痛快娯楽活劇。とにかく無条件で面白い。いたづらに複雑化した現代の物語に慣れてしまつたわたくしたちは、いつのまにかかういふ世界を莫迦にすることで自分が進化したやうな錯覚に陥つてゐたのではないでせうか。
あ、違ひますか。それならいいけど。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-176.html -
見返し
収録作品
怪人二十面相
大暗室 -
「怪人二十面相」「大暗室」を収録。
子供の頃夢中で読んだ少年探偵団。
小林少年のようになりたくて、
その辺の一般人を尾行してみたり(ただの迷惑)
屋根裏に秘密基地をつくったり(母に怒られました)。
そんなワクワクする心を思い出す「怪人二十面相」。
大して「大暗室」は大人の乱歩。
すごーく分かりやすい白と黒の対決なのですが、悪い奴が
とっても奇抜でセクシーで我侭なのが魅力的。
エロとグロが入り混じり、「吸血鬼」と「パノラマ島綺譚」
が混ざりあったような雰囲気。
どちらも結末は分かりきっているし、先の展開も
見えています。
それでもその過程を面白く読ませるのが作家の力量。
ハラハラドキドキして、最後は皆が望む大団円。
老若男女に愛された乱歩作品の中でも、バランスの良い
2作が収録されていると思います。 -
5月15日