- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334741358
感想・レビュー・書評
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シンプルに良い話ではあるが、主人公が小学校3年の時の記憶の回想にしては人間観察や状態描写が普通に大人で、違和感あり過ぎだった。
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捨てたはずの故郷だった。
夢破れ、最後を迎えようとしていた"男"。
少年は偶然見つけた。
スクリーンの中に"男"の姿を。
少年の想いに理屈なんて存在しない。
その想いを受け止めてくれた大人たち・・・・
諸々がベタな訳。
それでも必要以上に涙腺決壊してしまう。
それは作者の目線、その優しさだと思う。
そこにはあざとさの一片も無いです。 -
雄さんに観せようというその気持ちだけで、第2スカラ座まで映画を観に通う哲太が素敵。
あとは、哲太の父さんが生と死について語る場面がすごく印象に残った。 -
寡作で良質の作品を私たちに与えてくれる辻内氏。表題作も併録作もじわじわっと心に染み入る物語だ。
「ラストシネマ」は主人公の父親が個性的でかっこいい。真似したくても出来ない。本当の男の姿を見た。
「中村正太郎さんのこと」は、何気ない中年男の一日も早くを描きながらも、奥行き深い傑作だ。背中で語る男ってこういう人を言うのだろう。 -
切ないお話。おまけの中村さんの話が良かった。
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再読了。
7年振りに新作が出るので、おさらいと云う意味で読み直しました。
~その間(2009年)に、「草風夏五郎」という変名で一冊、出しているのですが・・。
悪い人が出てこない作品は安心して読めます。
善人・・、とまではいかなくても普通の人だけで、悪人を出さずに物語を描ける数少ない作家さんの作品です。
軽妙な文章の中で、相変わらず人生を語っています。
「小学校三年生のお前に、これだけを言っておこう。このせかいの、見えないものを見る目を持て、そうすりゃ人生は、多少はマシなものになる」
本作はエピローグが不要のようにも思えます。
・・ですが、そのエピローグの中で、脚本家の主人公の言葉として「悪人を書く能力はない」、「そろそろ、この稼業から足を洗おうかと思っている」などと言わせ、これは辻内さんの思いなのではないか、もう書いてくれないのではないかと、ファンとして気を揉んだりしたものです。 -
(Amazonより)
この世の生を終えるとき、人はその向こう側へ何を持っていくのだろうか。
昭和40年代のH市、にほど近い田舎町。少年は東京で映画の仕事をしていた雄さんという男性に出会う。雄さんはがんに全身を冒され、町の病院に入院していた。見舞いに行く少年に、雄さんは東京の話や、映画の話を聞かせてくれる。
ふとした会話から少年は雄さんがかつて映画に出演し、台詞のある役をもらっていたことを知る。
雄さんが死ぬ前にどうしてもその映画を見せたい。
題名も知らないその映画を、少年は探そうと決心した――。
映画への情熱と、生きることの意味・大切さを
ちりばめた物語です。
昔、映画に出演し、セリフのある役をもらったことのある「雄」さん、
小学3年生の主人公の男の子。
一風変わった少年の無職の父親、純ちゃん。
同級生の民江。
父親の元同級生で、有楽座という映画館を経営しているおじさん。少年の通う小学校の先生の和子先生。
登場人物の中に固有名詞で語られない人物がいたり、
あだ名や下の名前だけだったりという設定が
ちょっとおとぎ話のような不思議な気持ちになります。
そして、映画を観る方法がまだ映画館しかなかった頃の
ワクワク感が伝わってきて、自分がその時代を知らないことが
惜しまれるような気持ちになりました。
人の生死についての考え方について独特な指南をする
主人公のお父さん。
もしこの映画が映画化したら、このお父さん役はとても重要ですね。
なんともいえない魅力にあふれた人物ですので。
いいお話です。
気に入りました。 -
静かでいい本でした。二編あるけれど、どちらもいい。
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「他のすべてを失ってでも愛したいものが、そこに、ひとつでも有ったか、ってことなんじゃないかしら」 作中より抜粋