名探偵は嘘をつかない (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334790387

感想・レビュー・書評

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  • 『阿津川辰海 読書日記』を読んで、何となくの読みたいリストを作成。
    行きつけの図書館で検索すると、ことごとくない。。。
    こんなに買えないなぁ、、、で、思いついたのが、通勤途中でちょっと寄り道して都内某区の図書館通い。
    自分は埼玉県民だけど、身分証さえ提示すれば、いともあっさりと利用者カードを作れるのだ。
    これがもう大当り!
    文庫の棚を軽く見歩くだけで、地元図書館ではなかったあの本やこの本があるわあるわ。
    夜も22時まで開いているらしく、いい意味でくらくらしてきた。

    さて、本書はその読みたい本筆頭。
    直接紹介されていたわけではないけれど、まずはご本人の作品を読んで見たいなと。

    知能犯罪の担当を専門とする警察庁の下部組織、探偵機関。
    探偵機関きっての名探偵阿久津透だが、犯人追及のためなら手段を選ばないその在りようから過去の事件関係者達からひんしゅくを買い、初の探偵弾劾裁判が執り行われることとなった。
    一方、阿久津が過去に扱った”FOB見たて殺人事件”の被害者、火村明はは同事件の被害者である恋人の水原優子の形見であるペンダントを身につけていたことにより、死後魂だけ抜き取られ”転生”を待つ状態に。
    その準備状態の中で出会ったのが、これまた阿久津が小学生の時に解決したとされる事件の被害者、相島早苗。
    相島早苗は19年間"転生"待ち状態だという。
    弾劾裁判はその”相島早苗殺人事件”の真犯人は阿久津なのではという疑惑の究明が中心に。

    というこれでもかというぐらいこんがらがったパズラー要素強めの特殊設定ミステリ。
    良くこんな物語を書けるなぁ、そして破綻なく収束させられるなぁと感心。
    やっぱり、血となり肉となっている読書量の賜物なのだろうか。

    阿津川さんは”カッパ・ツー”という新人発掘プロジェクトで見出された方ですが、その昔”カッパ・ワン”というのがあって、それデビューしたのが石持浅海さん、東川篤哉さん。
    阿津川さんの応募作に対してこのお二方のアドバイスを受け、大幅改稿を経て世に出されたのが本作とのこと。
    匠の業の継承って感じがなんかいいですね。 

    • fukayanegiさん
      ひまわりめろんさん

      ああ、あれはなおなおさんとのやりとでしたね。
      チャンスがあればなおなおさん発、ひまわりめろんさんも愛用中のカーリルとし...
      ひまわりめろんさん

      ああ、あれはなおなおさんとのやりとでしたね。
      チャンスがあればなおなおさん発、ひまわりめろんさんも愛用中のカーリルとして吹聴しときますw

      ふとした瞬間に気にしていたタイトル聞くと読みたくなる病なんなんでしょうねー。
      自分もよくあります。
      2022/10/30
    • なおなおさん
      fukayanegiさん、こんばんは。
      なんかカーリルと私の噂が聞こえてきたのでコメントお邪魔してみました^^;
      フォローといいねをいつもあ...
      fukayanegiさん、こんばんは。
      なんかカーリルと私の噂が聞こえてきたのでコメントお邪魔してみました^^;
      フォローといいねをいつもありがとうございます!

      うちの子どもの学校の図書室は、なんと家族も本を借りられるのです(^^)(わたし用のカード(バーコード)もある!)
      なので自治体の図書館では予約待ちになっている人気の本も誰も借りていないことも多く、待つことなく読めるのが嬉しいです(^_^)v
      ただし貸出期間は1週間ですが(><)

      “カーリル”はアプリはないのですが、WEBページのショートカットアイコンをスマホのホーム画面に載せ、すぐに起動できるようにしております。
      私もよくチェックしております(^^)
      本とは関係のない話になってすみません(_ _`)
      これからもよろしくお願いします!
      2022/10/30
    • fukayanegiさん
      なおなおさん
      こんばんは。

      こちらこそ、いつもいいねありがとうございます!

      なんと、お子さんの図書館で親も借りられるとは!
      しかも自治体...
      なおなおさん
      こんばんは。

      こちらこそ、いつもいいねありがとうございます!

      なんと、お子さんの図書館で親も借りられるとは!
      しかも自治体図書館で予約待ちになるような本も在架しているんですね。
      それはすごい。
      なんてラッキーな環境なんでしょう。
      本も折角なら読んで欲しいでしょうから、良きことですね。

      カーリルはこれから手放せなくなりそうな予感です。
      カーリル愛好家としてこれからもよろしくですw
      2022/10/30
  • 読んでて思ったのは作者「逆転裁判」好きすぎでしょw
    節々にオマージュやリスペクトを感じられて、逆裁シリーズ全作品プレイ済みの自分は読んでてめっちゃ楽しかったです。
    もちろん本格ミステリとしても、探偵に特殊裁判に輪廻転生と、色々な要素が絡んできて、骨太な仕上がりになっていて、後半の解決パートは見応え満載でした!

  • 名探偵・阿久津透。彼は証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したとして、初の探偵弾劾裁判にかけられる。犯人を追い詰めるために兄を見殺しにされた彼の助手・火村つかさは透への復讐を誓うが─。

    阿津川辰海デビュー作。好きなものを全部詰め込みました!という熱量と質量が半端ない!章タイトルも名作ミステリ由来。その中にある逆転裁判は裁判でのどんでん返しの連続であったり、転生という特殊設定を扱いながらのミステリという意味でもリスペクトを感じる。

    裁判が始まるまでの事件の情報量がすごい!ただ、裁判が始まってしまえばもう二転三転どころか七転八倒という勢い。何気ないアイテムが結びついて、思いもよらない真実に到達した時の衝撃。ラストはイイハナシカナー?という気もするけど、ここまでゴリ押しで楽しませてくれたなら何も言えねえってなる。

    「しかし、死者は生者の考えてほしいことを考えさせられるものである。死者の願いを聞き遂げて自分の力にする。死者が自分を許さないから贖罪する。死者が望んでいるから復讐を代行する。それらの死者の声は全て、生者自身の願いのすり替えにすぎない。」という言葉の持つ意味をもう一度考えさせられる物語だった。

    ここからの探偵論は『紅蓮館の殺人』『蒼海館の殺人』へ継承されている。そこで一つの解へと到達しているので、興味がある方はぜひそちらも。

    最後に好きな文章を引用して終わります。

    ふと思い出した、などという言葉を軽々しく使ってはならない──神木柚月は、高校生時代の文芸部の顧問にそう教えられたことがある。
    人の記憶が想起される瞬間には、多くのきっかけが作用している。空気の匂い、雲の形、誰かが発した言葉、気怠く開いたメール画面、時計の文字盤。この世界の多様性の中で、その人物の記憶の引き金を引いた何かが必ずある。そうした複雑性を切り捨てて、『ふと』などという二文字を無自覚に使うことなど、絶対にあってはならない。


    「謎を隠すのに最も賢いやり方はそれに解決を与えてしまうこった。隠蔽するべきページの存在を隠すには、隠蔽されたことを示した上で、そこに理由を与えればいい。すると素直な馬鹿はその理由が正しいと思い込む。俺たち執念深い犬はそういう推理をするためにページを破ったのだと考える。こうして馬鹿からも犬からも本当に隠したいことを覆い隠せるって寸法さ。あいつのやり方はいつも同じだ。あいつが右手を見せたら左手を見ないとならねえ」

  • 初読みの作家
    デビュー作とのことで色々な要素が詰め込まれすぎな感は否めずメインの謎解きもそれなりに論理的であったがリアリティには欠けてしまう。設定が転生ありきなので仕方ないものではあるが・・・
    早苗殺害事件の真相が様々な偶然が重なったものだったので展開によってはもっと登場人物にも感情移入でき、すっきり読み終えられた気がする。最終的にご都合主義的な展開になってしまったのは残念であり、無理矢理ハッピーエンド様に終わらした雰囲気を感じてしまった。

    とは言っても非常に面白い部分もあったのは確かなので他作品も読んでは見ようと思う。

  • SFが入っているが、話の大きな山が3つも4つも盛り込まれた読み応え抜群の1冊。
    オチはなんとなくわかりやすく、これでもかというくらいにきれいに伏線を拾ってくれるので、初心者にも楽しめるかも。
    なかなかエグい内容ではありつつ、ラストはハッピーエンドっぽく終わるのもよい。
    キャラも個性的でよかった。

  • 探偵が何も言わないまま死んじゃうのは物足りなさがあったけど、そこに至るまでの展開は面白かった。
    あの生き返り現象を利用するのは設定がちゃんとしていたから生きたとおもう。
    あと昔の方の真相が割とすぐわかったのが残念だった。
    それから事故とはいえ殺したのにお咎めなしはないわ。後悔とか反省の色があまり伺えないし。
    最後がちょっと早すぎたかな。

  • トンデモミステリ
    なんだかなー

  • 阿津川氏の作品は数作読んで、どれも凝った設定で楽しめた。このデビュー作はなんとなく装丁が子供っぽくて読んでなかったのだが、作品が無くなってきて今回読ませてもらった。

    ジャンルで言えば緻密なロジックで殺人事件の真相を追いかけるわけだから本格モノになるが、この凝った『探偵』と言う職業の設定に始まり、二転三転するだけでなく、次々と起こる事象はこちらの想像の斜め45度上をいく展開。

    もはやロジック遊び的な部分もあるが、それすらも本格モノの真髄の一つではあるから、話の展開に身を委ねて楽しんだ。
    それにしてもよくぞこんなストーリーを考えられるものだ。まさに異才。

  • ストレートな本格ミステリかと思いましたが特殊設定ものでした。設定自体は面白いと思ったし登場人物もキャラクタがはっきりしていてよかった。ただ、持って回ったような語り口と謎解きのための謎解き(これこそが本格ミステリ、というのであれば、自分には合わないんだろう)で読み進めづらかった。

  • 2021年1冊目。
    スピーディーでテンポの良い展開で、600ページ弱を1日で読めた。探偵と密室、本格のセオリーを踏まえつつ、ミラクルも繰り出されて、行き先がわからないジェットコースターのようだった。
    デビュー作でここまで楽しませてもらえるなんてすごい。次も楽しみ。

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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