少女を殺す100の方法 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334791285

感想・レビュー・書評

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  • ある女子中学校で、二年A組の生徒が全員殺された。教頭のクサカベは、警察に通報する前に自分たちで犯人を見つけ出そうとするが……。(「少女教室」)


    エログロミステリの鬼才、白井智之さんの初の短編集です。5つの短編を収録しており、それぞれ14歳の少女が20人ずつ殺されるという趣向となっています。
    短編集だからと言って容赦なし、いつも通り……もしかしたらそれ以上のグロテスクで不条理、インモラルな世界を全力でぶつけられます。

    なんかこう、グロ・ゴア・スプラッターがそんな大好きなわけではないんですが、白井さんの小説って世界設定が気になってついつい読んでしまいます。万人に勧められるものではないけれど。

  • "鬼畜系特殊設定パズラー"の異名を持つ著者の4作目。

    今作もしっかりとエログロ、鬼畜要素は健在で、どの短編でも大体14歳の少女がドロドロのグチャグチャになってます。
    もちろんミステリの肝となるロジカルな推理も健在で、どれもこれも非常に印象に残る作品でした。

    個人的に好きだったのは、作者お得意の多重解決ものの「少女教室」、"ノックスの十戒"を凄まじい力技で使用した怪作「「少女」殺人事件」。

  •  白井智之作品には二種類あって、比較的万人受けする傑作とかなり癖が強く人を選ぶ傑作があると思う。本作は後者に当たる部類で特にエログロ要素が強く少女が一クラス全員皆殺しにされたり、ある日突然ミキサーにかけられたり、少女が空から降ってきたりするというイカれた描写が目立つが、その一方で極めてロジカルな本格ミステリーを書ききっていることや、作者の世界観に魅了されたものとして最後まで楽しく読めた。個人的には『少女教室』『少女が町に降ってくる』が面白かった。

  •  14歳に、何の恨みが。

    とんでもない本を読んでしまった。

     それまでにも、読後感の悪い小説はたくさんあった。いわゆる、イヤミス(いやなミステリー)というヤツ。

     しかしコレはそのレベルを大きく超える。これはきっと私だけの感想ではない。世が世なら発売と同時に発売禁止になっただろう。もしかしたら、江戸川乱歩や横溝正史も、その時代の一部の人にはそんな作家であったのかもしれないが、この作者の作品は、人に嫌悪感を抱かせるという点で、はるかにその上の上の上を行く。怖い、のではない。

     ただただ、気色悪い、のだ。

     後書きを読んで、この作者のデビュー作について、私はAmazonではからずも先に出逢っていたことを知った。そのタイトルだけでびっくりして三度見した本だ。衝撃が強すぎて、読み終わった後も口の中に苦く生暖かい鉄の味が残る気がする。

     読むんじゃなかったかもとさえ思う。早く忘れてしまいたい本脳内リストの上位5作の中には確実に食い込んだ。そして、それなのに、しばらくするとまた読み返してみたくなる予感が、より、私を怖がらせる。

  • 倫理観を揺さぶる良書。
    きれいごとばかり見ても、自分も他人も一皮剥けば血や内臓、糞尿が詰まっているし、野蛮な原初的欲求を持っている。
    人はなぜミステリーやサスペンスを読むのかというと、日常の中の非日常を味わいたいからではないか。ファンタジーやSFとは違う日常の中の非日常。
    いろんなアプローチがあるが、こんな振り切った非日常を見せてくれる本はすばらしい。
    少女ビデオは不条理と生と性の物語で、命も精神も素粒子が集まったただの物質という価値観と湧き上がる母性や父性の両極に揺れる心情が痛くて切ない。

  • 初短編集でも手加減なし。筆者らしい悪趣味でロジカルなミステリ5連発+ショートショート3題。どこからこんなえげつない発想が生まれるのか、頭の中をのぞいてみたくなる。

  • 14歳の少女がひたすら殺される(合計で100人らしいです)、悪趣味なミステリーです。スプラッターで胸糞悪いストーリーばかりですが、ミステリーの部分は意外にロジカル。
    これを楽しめる人は、(自分も含めて)ちょっと変態かもしれません。映像化は絶対にないね。

  • 表紙に惹かれて購入して、さあ読むぞと作者紹介見た瞬間
    「東京結合人間」の人だったかーしまったー、の気持ち←

    どの話もだいたい20人くらいの14才の少女たちが
    あの手この手で殺されるだけの短編集
    どれもこれも特殊設定すぎて猟奇殺人でもない

    「少女教室」は貴志祐介の「悪の教典」が
    「少女ミキサー」は乙一の「SEVEN ROOM」が
    若干思い起こされるけど劣化コピーというか
    やっぱり特殊設定すぎてミステリ要素も全然入ってこない笑

  • 少女教室/少女ミキサーが面白い

  • 東京結合人間を読み、面白いと思いこの作者の他の本を読んでみよう。とのことで手に取ったのですが、東京結合人間では「納得のいく謎解き」の為に盛り込まれた特殊設定がこの人の斬新さと面白さだと思って評価していたが、"少女を殺す100の方法"にはそれがあまり感じられなかった。
    トリックもミステリー要素も動機も薄く、グロ部分だけが目立って、個人的に好きだった作者の良さが消えてしまった…。

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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