ショコラティエ

著者 :
  • 光文社
3.65
  • (22)
  • (63)
  • (54)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 452
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912291

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ヴァレンタインが近いので、チョコレートっぽいものを……と思い読んでみました。

    神戸の男子2名と女子1名のお話です。
    恋愛要素はそんなにないです。
    どちらかというと、男女3名がどのように夢に向かって走っていくのか、っといった感じのストーリー。
    青春ってこんな感じだよね!?って要素が強いです。

    登場人物は下記の通り。

    ★聖太郎
    小学生の時に誘われた光博の誕生日パーティーに参加し、仲良くなる。凜々花とも次第に距離を縮めるが。
    お菓子作りがしたい!
    高校卒業後、パティシエに弟子入り。

    ★光博
    製菓会社社長の息子。音楽が好き、お菓子が好き、だけど、好き以上の情熱はない。自分は何がしたいのか、日々模索中。

    ★凜々花
    光博の幼馴染。家は裕福。ピアノ一筋。将来はピアニストになるべく、日々精進。
    成長するにしたがって、己の才能の限界に悩む。

    ほとんどの人は、光博や凜々花側の人間なんじゃないだろうか。
    私もこちら側の人間だったので、光博の苦悩、共感できました。
    やりたいこと、自分が社会で役立つことが何なのか、見つけるまでにかなりの時間がかかりました。
    年を取っていくと、社会からどう見られたいか、とか、外からの押し付け、圧力など、そういうものにのまれると、自分の好きな事・出来ることが分からなくなってくるんですよね。(流されるままに生きてきて上手くいく人もいると思うけど)
    それらに影響されてやってみたものは、無駄ではなかったけど、残ってない……。
    光博が夢中になるものが見つかっている聖太郎に嫉妬する気持ち、よくわかります。

    聖太郎のように、子どもの頃から自分のやりたいことが明確になっていて、それに向かってまっすぐ目指せる人間って極わずかだと思うのです。
    自分の得意な事とやりたい事と好きな事がピタッとはまっていて、努力と根性と才能が追いついている事って、滅多にない!
    こういうものを見つけられた人って、ホント運がいいと思うんです。
    かなり本当に幸せな事だと思う。
    そもそも、自分の勝負できる舞台を見つけるのがとにかく大変なんだよね。汗
    そんな20代、30代を思い出しました。

    チョコラティエ、とタイトルにあるけど、ガッツリとしたチョコレートの話ではないんですね。
    (でもチョコレートが食べたくなるのは間違いないです)
    ラストの流れから、今後の聖太郎と光博の活躍が気になりました。(むしろ、こっちのほうが気になる)
    続編を期待してしまう??

    明日はヴァレンタイン♡
    光博の祖父・源二の言葉で締めたいとと思います。

    ”おいしさを分かち合うこと。
    それが祖父の教えてくれた幸福のかたちだった。”

    明日はこんな日にしたいですね。

  • ショコラティエそのものな表紙がスマートで素敵ですね。
    幼馴染の男子二人と女子一人の成長物語。
    スムーズには行かない関係と人生がリアル。

    母子家庭で育った聖太郎は、小学校の同級生・光博の誕生日パーティーに招かれる。
    大宮製菓の御曹司の光博のパーティーは豪華で、初めて見るチョコレートの泉に魅了される聖太郎。
    お菓子を通して急に仲良くなった二人は、光博の家でお菓子作りを楽しむ。
    光博の幼馴染でピアニストを目指す凛々花と出会い、惹かれながらも裕福な二人に引け目を感じる聖太郎。
    光博は裕福だが特に才能もなく、やりたいこともないことに苦しみます。それぞれ嫉妬や葛藤に悩み、距離があいてしまう。

    聖太郎は順調にフランスに留学する機会を得て、お菓子作りの修行に打ち込みますが、思わぬ出来事が‥
    日本では大震災が起こったのです。
    その影響もあってまた運命が変わり‥

    努力して得たものもあり、行き詰まってしまう面もあり。
    最後の方はやや駆け足な印象で、えっこうなるのと驚きましたが、突然のこれもハッピーエンド?
    若々しいひたむきさが爽やかで、好印象が残りました。

  • 例えば将棋の藤井聡太君や
    野球の大谷翔平君の様に
    神様に愛された天才ならば話は別なのだろう。
    だけど普通はどんなに努力しようが嫉妬しようが
    いつか超えられない限界が見えてくる。
    主人公たちも、才能と環境に恵まれたが故に
    悩んだり嫉妬したりもがいたり。
    だけど最後に彼らを救うのは
    ピアノが好きお菓子が大好きという
    真っ直ぐな心。
    人生を豊かにするのは、才能や結果より
    そこに辿り着くまでの道のりなんだと
    読み終わってつくづく思うのでした。

  • 一気に読めた!!
    後味として、ワクワク感が残り、読んでよかったよー!!
    柚木麻子さんの本屋さんのダイアナの
    男の子バージョンって感じ。

    母子家庭の聖太郎と、お菓子会社の息子の光博。
    育った環境が違う二人だけど、お菓子作りという、
    共通の遊びで仲良くなる。
    二人で実験みたいなお菓子作りをして遊ぶ。

    だけど、学校も変わるなかで、
    二人の環境が異なることから、少しずつ離れていく。
    離れていくのに、お互いの心にはこびりついてる。

    聖太郎は、ショコラティエになり、
    光博は、父の会社で働く。
    だけど、最後の最後で光博は、聖太郎のショコラに
    衝撃を受ける!!

    今後の二人がどのような関係でいるのか、
    その後の話も読んでみたくなったなぁー。

    聖太郎くんの彼女の凜々花ちゃんが可愛いー。
    ピアニストとして、頑張ってて、自由奔放で、
    いい味を出してたなぁー。

    本の中で、音楽もお菓子も出てきて、優雅な時間を
    過ごせた感じー!!
    なんだか、満足です(*´艸`*)

  • 時間を忘れて夢中で読み耽ってしまいました!
    男の子の友情と夢を描いた素敵な作品。大好きな一冊になりました♪

    母子家庭の聖太郎、製菓会社御曹司の光博、光博の幼馴染みでプロのピアニストを目指す凛々花。小学生から大人になるまでの三人の成長物語。
    家庭環境、才能、夢。
    みんなが自分にはないものを持つ他人を羨んだり、劣等感を抱いたり。人生を模索しながら、友人とつながったり離れたりする様子に自分を重ねて読んでいました。

    友情、家族、恋愛、夢。
    人生は思うようにいかなくて、でもまわり道をしたからこそたどり着けることもある。

    『お菓子は、生活必需品やない。お菓子を楽しめるっていうのは、つまり、ひとびとの生活が豊かで平和やっていうことや。うちの会社は、みんなを幸せにする平和産業なんや』

    そんな風に語る、光博の祖父 源二さんがとても素敵。そして、音楽という世界で上を目指している凛々花も格好いい。
    聖太郎と光博の少年時代、ラストも良かった。

    聖太郎と光博のその後が気になるので、シリーズ化して欲しい!
    温かくて爽快な読後感。素敵な作品でした♪

  •  父を亡くし、母と2人つつましく暮らしていた小学生の羽野聖太郎は、ある日クラスメイトの光博から1通の封筒を渡される。それは、食べきれないほどのご馳走が出て、お土産にたくさんのお菓子も持たされると人づてに聞いた光博の誕生会の招待状だった。ピースチョコで有名な大宮製菓の御曹司で大豪邸に住んでいるという光博とは、ほとんど口もきいたことのない間柄だったが、母親を安心させるため誕生会に出席することに。
     ご馳走は並ぶものの、両親の姿もなくお手伝いさんたちが取り仕切る誕生会。クラスメイトもどことなく空々しい感じで、違和感を感じる聖太郎。しかし、そこで生まれて初めてチョコレートフォンデュに出会い、すっかり魅せられた聖太郎は……。

     タイトルから、どこかのショコラトリーとかの職人の物語と思っていたから、子ども時代の話が長く続いて、ちょっと意外なスタートでした。クラスメイトでありながら親しくなかった2人の男の子が誕生会で出会い、親しくなるものの、境遇や才能やらで距離ができ、そして……という物語。
     「嫉妬」という感情との向き合い方、自意識との闘いは、人生の通過点では避けて通れないんだろうなぁと今更ながら思ってしまいます。後半はページが足りなくて、もっと読みたかったのにと残念。読後はチョコレートが食べたくなること必至。

  • 神戸に暮らす小学生の聖太郎と光博、家庭環境の全く違う二人がお菓子を通じて仲良くなり、成長していくうちに疎遠になってそれぞれに転機を迎え、お互いの進む道を見つける迄の物語。

    凜々花含めて三人のどの嫉妬も焦燥感も凄く分かる。
    他人を羨んでも仕方ないと分かっていても、急に裕福にはなれないし、才能は突然降っては来ないし、ハングリー精神も培われない。

    登場人物達はそれぞれにほろ苦い経験をしつつも未来を感じさせてくれて、これは一冊通して完全にプロローグだと思う。
    完結した所からの「これから」の物語なんだけれど、でもそこがいい!

  • 舞台は神戸。クリスチャンで母子家庭の羽野聖太郎、大宮製菓の御曹司・大宮光博、光博の幼馴染でピアニストを目指す村井凛々花。
    貧富の格差、大切な人との別れ、宗教、恋愛、阪神・淡路大震災…いろいろある。幼少期から大人へと成長する彼らの物語。

    久しぶりに爽やかな読後感の本を読んだ。幸せ。

    最後の聖太郎と光博の再会、二人の空気感がとても良い。
    もう二人のこの先に期待しかなくて、中学生以来なんだしもっと!と思ってしまったけども。

    とりあえず、今すぐケーキかショコラを食べたい。

  • 最後の7ページ!思わず読み返した!
    この後の2人は無敵に違いない。

  • 昨冬チョコレートボンボン作りに凝った私なので、「ショコラティエ」というタイトルを見た瞬間手に取ってしまった。装丁もレトロな日記帳みたいで可愛い。
    冒頭に主人公が生まれて初めてチョコレートファウンテンを見る描写があるが、想像をかきたてられるような文章で、そこからずっととろとろのチョコレートが食べたいなぁって気持ちのまま読み進めてしまった。作中に様々なお菓子の描写が出てくるが、どれも本当に美味しそうで、筆者のお菓子への愛を感じた。

    この物語のテーマの1つとして、「才能」が挙げられるとおもう。わたしは、趣味でもなんでも、ひたむきに努力を重ねられる人を間近に見ると、それに比べて自分はなんて中途半端で、何も特別秀でたところのない人間なのだろうと思ってしまう。光博が聖太郎や凛々香を見て苦しくなる気持ちがよく分かった。ただ光博は無気力すぎて、彼に対しそこまで感情移入はできなかった。努力を続けられる才能と、その物事に対する本質的な才能の、両方が備わった人がその分野の第一線で活躍するのだろうな…とこの話を読んでしみじみ感じた。

    最後の部分で怒涛の動きがあり、無理やりいい感じで終わらせたのでは?と疑いたくなる。幼少期は心理描写とかとても丁寧にやってたのに!たぶんお菓子の説明に尺を取りすぎたのだろう。

全61件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤野恵美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×