妙麟

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 53
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912963

感想・レビュー・書評

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  • 鶴崎城の戦いという挿話が伝わる以外、詳しいことは判らない「妙林尼」…そういうことで作者の創造の翼が雄々しく羽ばたく余地が在る!そして大いに羽ばたいている作品だ!
    物語は妙林尼こと「妙」が鶴崎城で島津勢への抗戦を決し、戦いを始める辺りから起こり、そこへ至るまでが語られるという型で展開している。
    少女時代の妙が経験する様々な出会い、恋愛が展開して行く。他方でキリスト教に傾倒する大友宗麟、キリシタンの台頭を快く思わない勢力、キリシタン擁護派と排斥派との暗闘と様々な展開が在る。
    物語の中心的視点人物はこの妙であるが、妙と出会う青年、右京亮(うきょうのすけ)の視点で描かれる部分も在る。
    同じ作者による『大友二階崩れ』(大友宗麟が大友家を継ぐ際に生じた混乱を巡る挿話)や『大友落月記』(大友家中の内訌の中、旗頭にされた小原鑑元が叛乱に至ってしまった挿話)を興味深く読了しているが、そこで描かれた時期から相当の年月を経て、衰退してしまった大友家の状況を背景にした本作であるが、非常に面白い!ロマンチックであり、スリリングであり、そして「戦う集団」とも言い難い人達が、3人の指揮官が率いる剽悍な敵兵を翻弄する様が痛快だ。
    読後に…本作は映画やテレビドラマの原案に好適であるというように思った。映像が思い浮かぶような美しい描写で、大胆な物語が展開し、本当に愉しかった!

  • 大分の戦国武将大友宗麟を知りたく読みはじめました。宗麟は女好きで国を凋落させた凡将としてよく書かれていません。これはヒロイックヒロイン妙麟尼の愛と戦いの物語です。恋する美少女時代はコミックのノベライズの印象でしたが、その後の成長ぶりが著しい。知勇兼備で強敵薩摩を翻弄する痛快エンタテイメントでした。キリシタンが国を二分させていくプロセスもわかります。大友サーガとして既刊もあるようで、また読んでみたいですね。

  • 戦国時代、九州には魅力的な武将が数多くいます。当然、力強く生き抜いた女性もたくさんいるわけで。妙林尼について、この書籍で初めてしりましたか、驚きました。
    もっと多くの方にわかっていただたい九州の誇り高い女性ですね。感動しました。

  • 「九州のジャンヌダルク」の話。
    赤神さんは、人を描くのがうまいなぁ、と思う。妙麟は言うに及ばず、右京亮の葛藤や覚之進の不器用な真っすぐさ、甚吉の成長、宗麟の表裏定まらぬ様子、などなど。皆、人間臭い。

  • 主人公のキャラクターや場面場面の話は面白いんだけど、全体としてみると、死んだように描かれていた登場人物が普通に生きてたりして、なんだか連載ものを途中で方針変えて無理やり続けたみたいな内容というか、かなりストーリーに強引なところがあったりして、ちょっと?ってなってしまう。細かいところにつっこまずに読めば面白いので、次の作品はもうちょっと素直に骨太なストーリーで読んでみたい。

  • 「大友二階崩れ」で初めて出会った作者の新作、また楽しませてもらいました。ものすごいスピード感で展開するので閉じる訳にはいかず一気読みです。今回も舞台は豊後大友家です。前作の主人公、吉弘鑑理の次の世代の物語。吉弘屋敷が舞台になりますが、今度の主人公は女子。大友宗麟がキリスト教に心を奪われていく中で、国が二分され混乱していく時代に、ヒロイン妙が恋に、戦さに、運命に、翻弄されながらもまっすぐに突き進んでいきます。ヒロインのパワーの源は純真力。自分の心にピュアであり続けながら、いやピュアである故に、大乱の時代を乗り越えていくという大河ドラマ+朝ドラみたいなおはなしでした。ジャンヌダルク?ナウシカ?悲劇的な話にもなりうるストーリーですがなんか超ポジティブな読後感でした。映画になったら描ききれないのではないか、というくらいに次々に事件が起こりながら、キャラの濃い登場人物が登場し、設定も複雑なので、最後まで満喫出来るエンターテイメントでした。

  • 九州最大の大友家が、今、滅びの時を迎えている。大友宗麟の重臣吉岡家の鶴崎城では、ひとりの尼僧が島津軍相手に籠城していた。降伏を拒絶し、抗戦の道を選んだ女武将の、恋と戦に生きた熱き魂に迫る、戦国ロマン小説!

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著者プロフィール

1972年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒。法学博士(上智大学)、上智大学法科大学院教授。弁護士。2017年、「丹生島城の聖将」(単行本時のタイトル『大友の聖将(ヘラクレス)』)で第12回小説現代長編新人賞最終候補となり。同年、「義と愛と」(単行本時のタイトル『大友二階崩れ』)で、第9回日経小説大賞を受賞。

「2022年 『友よ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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