- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334913649
感想・レビュー・書評
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中井戸八郎(なかいどはちろう)69歳、映画監督。
主にコメディを得意として、たくさんの作品を撮ってきたが、最近「しあわせ家族」という作品の監督を下された事をきっかけになんだか気力を無くし、引退まで考える。
そんなタイミングで、次々と問題が発生して…
読書用のメモを取るのも忘れて一気読み、大変面白かった!
次々にいろんなことが起きる、コメディ。
映画も本も、コメディは「泣ける」ものよりワンランク下みたいに位置付けられがちだが、それは違うと思う。
元女優の妻がB級とからかう八郎であるが、「世界のクローカワ」と称される故・黒川監督の遺族から、監督の遺言でと、遺作の脚本を譲られていた。
それがいつの間にか無くなったり、問題を抱えた子供たちが孫を連れてなだれ込んできたり、そうでなくても30代半ばで20年近く引きこもりの息子もいる。
そして、妻がなんだか挙動不審?
八郎は今まで映画のことしか考えて来なかったことに気づく。
家族のことを見て来なかった自分だから「しあわせ家族」なんて作品の監督は無理だと思われたんだろうな、と考える。
自分の家族は「てんぷら家族」、衣に隠れて中が見えない。
いや、もうぐっちゃぐちゃの「かきあげ家族」だ!
と、八郎さんは思うのだが…
いや、ぐっちゃぐっちゃではない。
つなぎで一つにまとまったいろんな具材がそれぞれにいい味出している、八郎さんの家族は、そんな「かきあげ家族」になったのだ。
森くんも家族ではないが「中井戸組」かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初読みの作家さんでしたが、すごく面白かったです。
主人公のコメディー映画監督の中井戸さんが、とにかく面白くて、最初から最後まで楽しい小説でした。
映画のうんちくも興味深かったし、それだけでも映画好きの方には読み応えありですね。中井戸監督と話したら、誰とでも漫才になるから大笑いできました。
文章で笑わすのって、多分泣かせるより難しいと思うし、中島たい子さんのセンス光ってました。他の作品も読みたくなりました。 -
スランプ中の老映画監督のもとに、次々出戻ってきた子供たち。子供たちの離婚や引きこもりなど様々な問題に向き合っていく。一番身近にいるようで何も分かっていなかった家族の形。家族の存在を噛みしめるような作品。いろんな映画のお話も出てきて楽しかった。家族のみんながとても良い。すごく良い。面白かった。
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初読みの作家さん。タイトルと簡単な内容紹介だけを見て図書館にネット予約した本だが、これが大当たりだった。ありがちな“問題を抱えた家族”ものではあるが、それだけの小説ではない。主人公は初老の映画監督で、全編に映画ネタが散りばめられている。登場する映画はあまりマニアックな作品ではなく、映画にあまり興味がない人でも知っているような有名なものが多い。ぼくはほとんどの作品を観ていたので、ニヤニヤしっぱなしだった。とても楽しい読書だった。
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スランプ中の老監督のもとに、次々出戻ってきたいい年した子供たち。図らずも一家集結したところで、事件発生! 家宝の脚本がなくなった!?一番身近で一番不思議、そして一番大切な"家族"と向き合う勇気をくれる、笑いと涙の物語。
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なんだか、つまらない本でした。
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中島さんならではの観点で書かれてて面白かった。
映画監督の話が割とテンポ良くてよかった。
何回か小さなどんでん返しがあったが、ストーリーはハラハラすることはないから、読み進めは遅かった。 -
文句なしに面白かった!
新作映画をおろされた老齢の監督の家族の、
個性的な面々が集まったかき揚げのような味わい。
山田洋次監督でぜひ映像化してほしい。
懐かしい映画のフレーズがあちこちに散らばって、
映画好きにはたまらない。
「ピカデリー賞」「金の鷲賞」には笑える。
映画界の裏側もちょっぴりみられて、楽しめる。 -
家族のことを書いたユーモア小説。
ちょいちょい映画のタイトルと簡単な解説が出てきて、物語を楽しみながら映画も見たくなった。 -
どこにでもいそうな家族の話は多々あれど、日本中どこ探してもいなさそうな強烈家族の爆笑ストーリー。
主人公はスランプ中の老映画監督・中井戸八郎。
元女優の百合子を妻に持ち家には引き籠りの次男が同居中。
そこへ仕事を辞めて戻って来た長男、離婚し孫を連れて出戻った長女と、その後の波乱を予感させる展開なのだが。
だが笑える。
ちょいちょい挟まれるサブイダジャレに、ボケとツッコミ、思わず噴出す事数回、ニヤニヤが止まらない。
『みんなちがって、みんないい』なんて言葉を頭に想い浮かべながら、このてんこ盛りのかきあげ家族を楽しんだ。