山狩

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914424

感想・レビュー・書評

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  • 山で発見された若い女性の死体。
    事故か、自殺かだろうと片づけられたが…
    山に詳しい彼女が、事故であろうはずはなく、家族からも自殺であるはずがないと…

    発見した生活安全課の小塚が、疑問に思い生活安全捜査隊の山下警部補に相談することから物語は始まる。
    彼女は、地元の御曹司にストーカー被害に遭い警察にも訴えていた。

    地元企業と暴力団の関係。
    暴力団と刑事課川口の関係。
    警察上層部と地元企業門井との関係。

    最後まで、目が離せなくなる。
    山狩を行う必要性は、警察上層部のこれまで暴かれなかった数々の隠蔽と揉み消しだろう。

    一件のストーカー事件だったはずが、過去にも殺害されて葬られてきた被害者たち。
    そして、父親も殺人を犯していたという過去。
    警察組織の隠された闇が、とても恐く感じた。
    なかったことにされる事件。
    現実に身近にもある気がするから恐いのだ。

  • ストーカーにつきまとわれていた女性が山中で死体となって発見される。事故あるいは自殺と思われたが、女性の家族は納得せず、復讐に動きかねない。一方、ストーカーとして告発された男は、名家の御曹司であることを楯に、取り調べを拒否して、行方をくらましてしまう……。山に消えたのは凶悪な加害者か、それとも、復讐に燃える被害者か。犯罪の連鎖の果て、たどり着いた結末とは!?

  • 山岳小説かと思ったら、捜査がメインだった。
    この本の作業中に急逝されたらしく
    もう新作は読めないのかと思うと非常に残念。
    [図書館·初読·3月10日読了]

  • 感想
    次の展開が気になって一気読み。最初は生安の刑事が刑事部が隠したであろう事件を詰めて、証拠をあげていくのが小気味良かったが、確実な物証が見つからないのと、地元で幅を聞かせる容疑者の親の企業、暴力団、県警の上層部の妨害でなかなか捜査が進まないもどかしさで中盤から後半はかなりフラストレーションが溜まった。最後こそ報われたものの、こういうことは起こりうるのかもしれないな、というくらいリアリティがあった。

    あらすじ
    千葉県の山中で女性の遺体が発見された。当時は事故として処理されていたが、調べるうちに女性はストーカーされており、地元企業の御曹司である門井が怪しいと浮かび上がる。しかしながら、刑事部は門井グループとの癒着があるためか捜査は進展せず、生安の山下らが捜査に乗り出す。

    しかし、門井グループ、癒着のある地元暴力団の鬼塚組、県警上層部の妨害もありなかなか捜査は進まない。果たして事件は無事解決できるのか。

  • <掌>
    いつも巻末のあとがきや作者紹介欄を先に読む僕は,この本がおそらく作者笹本稜平の遺作になるのであろうことをそこから知った。2021年11月21日に笹本稜平は亡くなったそうだ。本作は某小説雑誌の2021年10月号まで連載されてその後2022年の1月に上梓されているのであった。本編を読む前にその事を知った。果たしてそれが良かったのだろうか,それとも知らずに読んだ方が良かったのだろうか。どんなに科学が発達しても絶対に過去には戻れないのだから 考えても詮無き事だとは分かっているのだが。

    既に鬼籍に入っている著者の作品の評価をすることはなんだか失礼な感じもするし逆にもうご本人の目に触れることは絶対ないのだから・・・という相反する気持ちも重複する。でも警察小説をそれなりの数読んで来た僕が本作著者笹本稜平の作品に初めて触れたからこそ,ここで書いて置きたいことはある。

    いやはやかなり面白い超一級作品である。他の人気作家(たとえば,大沢兄ぃや今敏先生など)に決して劣らない作品だと思う。只この点だけは書いて置きたい。それは字数が余りにも多い事。書きたい事を全部書くとそうなるんだ! という亡き著者の声が聞こえてきそうだがとにかく字数が多い。どのページも字で埋め尽くされて 読者には一時の油断も許されない。休憩できないのだ。

    (この節はもろ【ネタバレ要素を含む】僕の独善的感想なので,本書をまだ読まれていない方は何卒読まないでくださいませませ。この物語の真のヒーローは実はゴルゴ13並みの射撃術を持つART隊員Sの神的腕前なのであった。そうなのだ,頂上に立つの村上の頭部を撃ち抜いたそのピンポイントの場所は,あらかじめ計算しつくされた奇跡の起きる着弾ポイントなのであった。これがこの物語の真相である。著者笹川は実は『ゴルゴ13』の大ファンであったのではなかろうか。いやこれは僕の独善的カンソーなのだが。すまぬ。)

    思えば先に比喩した人気の作家お二人の作品は「会話」がとにかく多い。物語の進行や状況をすべて登場人物(しかも超絶人気で有名な人物。例えば新宿のサメや神奈川県警の竜崎刑事部長)のしゃべりの中で上手く軽快に行うのだ。これは読者にとってはものすごく読み易くてどんどん読み進められる事となる,という事実を今回全く逆ですべてを俗にいう「神の声」の語りで書いて説明しなければ気のすまない笹川作品なのであった。いやこれはこれでそういう小説が好きな読者にはたまらなく良い読書(しかも長い)時間になるのだろう。

    まあしかし一般の多くの読者はそこは望まないのだろう。その辺りが商業的に成功か失敗かの分かれ目になっている事をハッキリと今回僕は認識した。どちらが良いのかは誰にも分からないが,僕は今作をキッケケにこの先も笹川の旧作を機会あるごとに読み進んでいくような気がする。高言の数々相すまぬ。

    驚いた事が一つ。本作に悪役として登場するヤメ検は「検事長」だったらしい。そして物語中の詳しい説明の中で説明があって,この検事長という職は「認証官」と云って大臣などと同じく日本国天皇の承認が必要な役職らしい。加えて,警察機構においてはそのトップである警察庁長官や警視総監でさえもこの「認証官」ではないらしい。司法機関において検察庁の力がいかに大きいかを説いて、このヤメ検の影響力を誇示しようとしている。いや実に興味津々で面白いのだ。初めての作家でいきなり遺作を読むというのも悪くないのです。是非お読み下され。


  • 数々の山岳小説や警察小説を著してきた作者の遺作は、山岳&警察小説。

    作者の作風なのかもしれないけど、進行が遅い、長い、くどい。何度も何度も挫折しそうになりながら、それでも最後まで辿り着く。それでいて終盤は広げた風呂敷を慌てて畳んでいくような印象の伏線回収。薄いカルピスを無理矢理飲んでいたらグラスの底によく混ざってなかった原液があった。。みたいな印象。

    警察をはじめとする司法が、地元の有力者と癒着し、忖度する姿をこれでもかと描く。たしかに、金を持ってて、司法と暴力団を握ってたら怖いものなしだな〜と怖気がさす。
    これが単なるフィクションではなく、実際の警察でもありそうな話だから嫌になっちゃうんだよな〜。
    ラストはとりあえず、めでたしめでたしで良かった。







  • 山で転落死した女性。彼女がストーカー被害を受けていたことから、ストーカー加害者による殺人の疑惑も浮かぶものの、それが有力者の息子であったためにもみ消され握りつぶされてしまう。とことん腹立たしく、しかし権力に立ち向かう人たちの姿がカッコいい警察小説です。
    こういう有力者からの圧力、という構図はよくあるけれど。本当にこれほどのことがあるとしたらあまりに恐ろしいです。特に後半の展開がもう……! 殺された孫のためにたった一人で立ち上がった老人に対して、この仕打ちはいったい何? ひどい。ひどすぎる。そしてそれを予想した老人の覚悟があまりに重くて、読むのがつらいし怖い……。警察にもまともな人がそれなりに存在したのには安心させられましたが。まともであったとしても決然と立ち向かえる人は少ないのでしょうね。
    犯人の悪辣さも凄まじいな。息子もだけれど、父親のえげつなさはさらに輪をかけています。終盤でさらなる悪行が出てきて絶句。スリリングで読み物としては楽しいけれど、これはフィクションじゃなければ楽しめませんね。ああ本当にひどいわこいつら。

  • 遺作となったのが残念ですが、いつもながら軽快な展開は読者を飽きさせません。1日延滞してしまいましたが、読みきってよかったです。

  • 。ストーカー殺人が起きるが容疑者は地方の実力者の息子。忖度する県警幹部と反発する現場。結果は…。警察小説、越境捜査系で話が進む。冗長で話が行き通戻りつ。さらっと読了。ここまで書いて亡くなっていたことを知る。もう冒険小説や山岳小説は読めないのか…。

  • 私には合わないタイプのミステリー。
    ミステリーなのかな?
    ほとんど警察内部の話しで、犯人が犯行に至る描写とか犯人側の視点が全くないので400ページあるけど山場がなく平坦と話が続く感じで早々に飽きてしまい、ほぼ流し読みで読了。
    好きな人には合う!
    私みたいな変人には合わない!

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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