宗歩の角行

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914622

感想・レビュー・書評

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  • 「宗歩の角行(そうほのかくぎょう)」谷津矢車著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/306282

    歴史小説を作る作業は、酒造の工程と似ている――谷津矢車が「生酒みたいな味わい」を目指した新刊とは(『宗歩の角行』著者新刊エッセイ 谷津矢車 ) | エッセイ | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/731359

    谷津矢車最新作(2019/2~2022/04)|谷津矢車|note
    https://note.com/yatsuyaguruma/n/nfbbfaef89c25

    宗歩の角行 谷津矢車 | フィクション、文芸 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334914622

  • 自伝書では 無いです。

    ゆかりのある人から インタビューを集めたもの。

    こんな 方法も あるんですね。

    将棋をかじったことがある人には

    貯まりませんね。

    キーワードは もちろん お酒でしょうね。

    谷津作品を 読んで見たくなりました。

  • 江戸末期に活躍した天才棋士、天野宗歩。実力十三段、のちに棋聖と呼ばれた孤高の勝負師は、何を追い求め彷徨っていたのだろうか。近代将棋の定跡の基礎を築き、今も棋界から無二の存在と一目置かれる男の孤独と絶望に迫る、新たな将棋小説。

  • 宗歩の死は病死と届けられているが、果たして?

    とある人物が、宗歩を知る人たちを訪ねて歩き、宗歩が生きていた頃の様子を語り継いでいく。読んでいる側は、章を進めるごとに、宗歩への思いと死への謎を深めていくのだが、当然、死者である宗歩自身の語りは得られない。

    彼に恩義を感じる者、その才に畏敬の念を感じる者、嫉妬し疎ましく感じる者、利用する者。
    盤上の世界を「白黒が付く」簡単な世界と感じ、世間をそうはいかない、訳の分からないものと感じていた宗歩。
    名人になることを断ち、旅に出る彼の胸中には、何があったのだろう。

    どこまでも、孤独。

    とも思うし、だからこそ『将棋精選』を残そうとした宗歩の気持ちを思う。
    時空を超えて、棋譜は残る。
    そして、棋譜を見れば、その人の指し回しが見えてくるという。

    ふと。
    御城将棋にも、賭け将棋にも見えてきた、エンターテイメントとしての将棋を、棋士たちはどう捉えているのだろうと、疑問に感じた。
    スポーツにも言えるだろう、観る者のために歪められてしまう、何か。

    天野宗歩は、やがて「棋聖」と呼ばれる。
    現代の天才が、最初に手にした称号との縁にも、また感じさせられるものがあった。

  • 将棋の世界では超有名人らしい(不勉強で全く知らなかった)天野宗歩の生涯を描いた小説。何しろこの宗歩は後に棋聖と称される人、現代でもその称号は生きていて確か、藤井九段が最初に勝ち取った称号じゃなかったか?(不勉強でそれも知らない)

    この通り、将棋のことは全く知らない、せいぜい駒の動かし方を知ってる程度の俺でも全く問題なく楽しめた小説。時々棋譜が出てくるので、将棋を楽しめる人にはまた格別なんだろうとは思う。

    物語の展開としては、宗歩本人ではなく、客観視点でもなく、宗歩に関わった人々20人の思い出話を編みこんで物語にしていく展開。「壬生義士伝」とか「火車」のパターンやね。この技は上手く使うと物語の層に厚みが出て良い。下手こくと視点がばらけて集中力が失せてしまうんだけど、この作品ではそういうこともなく、きっちり読みこませる緊張感を維持させる。

    20人もの知り合いに聴きまわっているのは誰か?宗歩の真の死因とは何か?最後の対戦相手は誰なのか?色々謎も絡めつつ、最後まで面白いし、何故か読後に元気も出る物語だった。

    しかし…将棋にしろ音楽にしろ、小さいころにもっときちんとやっておけば良かったと、谷津作品読了後はじじいの後悔が花開くなぁ

  • 天才は天才であるがゆえに生きにくい・・・。 表紙の男が将棋指しとして成り上がっていく話かと思ってたら、 早々に死んでることが分かったので驚いた。 そして、皆それぞれが不潔と語る男。 表紙のイメージとあわんよ。 将棋のことは分からないけど、 インタビュー形式ですすんでく小説で面白かった。 ただ宗歩が何を思ってたのかは分からんからなぁ。 どんな思いだったのかなぁ。

  • 地味な話だけど面白かった

  • 将棋しかない宗歩の行動に引き込まれる。奥州への旅で死んだ宗歩の足跡を,宗歩を知る人に順番に聞いていき,宗歩の人物像を浮かび上がらせる。一種の謎解きのようなストーリィ展開であり,それぞれの人の宗歩像からリアリティのある宗歩が浮かんでくる。今も昔も,人の世は複雑である。

  • 江戸末期に活躍した天才棋士天野宗歩のエキセントリックな人生を小説に。
    とはいってもこの方が実在の人物ということすら知らなかったのでどの程度がフィクションとして描かれてるのかさっぱりなんですが。
    宗歩本人ではなく、没後に彼について周りが語るというインタビューのようなつくり。それはそれで面白かったですけどね。一遍が短いのでテンポよく読めましたし。
    ただ、なんだろうな?最初から「宗歩は誰に殺されたのか?」みたいなテーマも根底にあったように思いますが・・・そっちはちょっと拍子抜けかな。それまで出てこなかった人物が急に出てきて、いわば実行犯であったような話をされても・・・まあそういうミステリ的な楽しみをするようなお話ではないのでしょうけども。。
    ある意味で最重要人物である風吉もなんかなあ。将棋からずっと離れていながらとんでもない実力を維持しつづけたという点ではこっちのほうがはるかに「天才棋士」なんじゃないですかね?
    史実を下敷きにしている部分と、おそらく創作であろうこの2点が妙に乖離してしまっているように感じてしまいました。うまくなじんでいないというか。。。

  • 伝記なのだがミステリーでもあり、次第にそれぞれの語りを聞いているこの人物は何者…? 最後どうなるの?と読む手が止まらなくなった。
    どこまでフィクションなのか境目が分からないけど、証言が増える毎に、著者の狙い通り宗歩の魅力にやられてしまった。

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著者プロフィール

1986年東京都生まれ。2012年『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞を受賞。2013年『洛中洛外画狂伝』でデビュー。2018年『おもちゃ絵芳藤』で第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。演劇の原案提供も手がけている。他の著書に『吉宗の星』『ええじゃないか』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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