- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334915421
感想・レビュー・書評
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選択が招いた結果が胸を貫く… ミステリや青春小説などバラエティに富んだ短編集 #ホテル・カイザリン
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリーから前向きになれる青春ものまで、バラエティに富んだ短編集です。イヤミスほど露骨ではないけど、負を描くのがめっちゃ上手。しかもキレイなんですよね~、記憶に刻まれる作品が多い。
また突然押し寄せてくる展開のヘアピンカーブが鋭く、ミステリーとしても引きつけられるものばかりでした。以下、作品ごとのレビューです。
〇降霊会【おすすめ】
学園祭で行われる降霊会。主人公の彼が様子を見に行くと…
終盤の展開の切れ味はかなりビックリするし、思いもよらない命題を突きつけられる。奥付の初出時期を見ると、2010年のアンソロジーに入っていたお話ですか…今読むと、より一層怖い。
〇金色の風【超おすすめ】
バレエで夢破れた若き女性、フランスでの新生活を綴った青春物語。
作品から勇気をもらえる素敵な作品、短編でもコンパクトにまとまっていて美しい。大好きです。思い悩む女性の心が痛いほど理解できて切ない。
〇迷宮の松露
仕事で苦労した若き女性がモロッコへ旅に出る旅情ミステリー。
知りませんでした…食べてみたい。亡くなった母が大好きだったお団子を思い出しました。
〇甘い生活【おすすめ】
幼少期から他人の物が欲しくなる性格の女性、成長した彼女の運命は…
こういう奴いたよな。人の不幸は蜜の味なのは分からんでもないが、自分が落とし入れるのが好きなんだろうなぁ 理解できん。世にも奇妙な物語で映像化として見てみたくなる作品。
〇未事故物件
一人暮らしを始めた若い女性。毎日深夜の四時になると、上の階から洗濯機が回る音がして目覚めてしまう。管理会社に問い合わせると、上階にはだれも住んでいないらしく…
怖っ!怖いよ。
世界中どこでもある問題ですが、不動産物件って博打だよなぁ。皆さんも気を付けましょう。
〇ホテル・カイザリン【超おすすめ】
女性が警察の取調室で尋問を受けている。どうやら彼女はホテルに放火したようなのだが…
セピア色に包まれたホテルと、すらりとした女性二人が目に浮かぶ、めっちゃ綺麗な作品。短いお話なのに、登場人物の人生の悲哀が丸ごと伝わってきます、素晴らしいですね。
〇孤独の谷
文化人類学を先行する大学生、彼女の実家では一風変わったしきたりがあった。そのことを相談された講師は調査を始めると、意外な原因と判明し…
思いもよらない謎解きとオチ。発想力に感服しました。
〇老いた犬のように
年を重ねた男性作家が、若く美しい作家希望の女性と出会って…
Jミステリーで既読済で再読。自らの人生が正しいと信じきって、アップデートできない人っていますよね。いい年して甘えるのはやめましょう。
■ぜっさん推しポイント
『金色の風』にて、現地で出会った女性と語らうシーンが好きすぎて。
世の中には俳優やミュージシャンなど、食べていくには難しい世界を歩んでいる人たちがいっぱいいる。大量な砂の中、ごくわずかな砂金だけが光り輝く世界。
年齢を重ねると保守的で合理性を求めてしまいがち。私なんかはそうです。
しかし彼らはきっと得るものがあるから、目いっぱい人生を謳歌してチャレンジして欲しい。光り輝いてほしいと願わざるを得ませんでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近藤史恵さんの作品としては、今まで読んだ作品とはまた一風違った作品だと感じました(って、すごく読んでいるみたいだけれど、そうでもないけれど(^-^;))。だけど、それがまた、いい感じで結構私としては好きな作風、表題作を含めた8作品の短編が収められています。
・降霊会:学園祭での降霊会、えっ?そうなっちゃうの??の読後を得られます。
・金色の風:フランスに語学留学した主人公が、前向きな気持ちを持てるまでのお話。
・迷宮の松露:モロッコへの一人旅、そこで食べた大好きな祖母との思い出のお菓子、松露…。
・甘い生活:他人の物は自分の物…自分の物にしたいという気持ちを押さえられない女性のお話。
・未事故物件:早朝からの洗濯機の音に悩まされる女性、管理会社はその部屋には誰も住んでいないと…。
・ホテル・カイザナリン:主人公の女性が放火の罪を犯した理由にまつわるお話。
・孤独の谷:出身地の風土病なのか、親戚はみな遠くの地に…その訳を探ることになるのだが…。
・老いた犬のように:ある男性作家のもと長年連れ添った妻が去る…。彼女のことを尊敬していたのに…。
個人的に好きなのは、「降霊会」と「甘い生活」、「ホテル・カイザナリン」で、読後ザワザワします。ちょっと思ってもなかった怖い展開になるので、意表を突かれます!で、好きなのは「金色の風」、主人公の女性を応援したくなります。読後の余韻を引きずれる作品だと、私は感じました。 -
8つの短編集。
どれも読みやすくミステリーかなって思っていたけれど怪しげなホラーっぽいものもあり、海外での出来事もあり、人間の内に秘めたさまざまな思いを楽しめた。
○降霊会〜妹に足が早くなる薬だと偽り、喘息の薬を飲ませたから亡くなったんじゃないのかと言われるが、妹は自殺だったと。
○金色の風〜フランスで部屋を借りた私が仲良くなったのはゴールデン・レトリバーと走っていた女性。
彼女になら一年前にバレエをやめたことを話せた。
母がバレエ講師で5歳下の妹に才能があり、いつのまにか自分を抜いて世界に羽ばたく華麗なプリマになる実力があることを。
○迷宮の松露〜仕事に疲れ果て精神状態を保てることすらできない私はモロッコに旅行する。
なぜか思い出すのは美人で働きもので身支度にも手を抜かなかった祖母のことだ。
道に迷いホテルまで帰れずにいた夫婦から頂いた松露を見て、祖母が好きだった和菓子を思い出す。
○甘い生活〜子どもの頃から、誰かのものが欲しくなる女性。小さい頃は、お姉ちゃんのもの、小学生になったら友だちのもの。
欲しくてどうしようもなくなり、なんとかしてそれを自分のものにしてきた彼女は大人になって…。
○見事故物件〜引っ越した後、上の階の洗濯する音が朝の4時に聞こえてくる。我慢していたが、毎日続くと眠れない。不動産会社に言うと上の階には誰も住んでないと言う。
怪奇現象かと思ったが、事故物件とは聞いていない。
ある噂によると同じような騒音があり、確認するとやはり上の階は空室で、その後その女性は行方不明になり、遺体で発見されたという。
○ホテル・カイザリン〜警察の取調室で事情聴取を受けている女性、彼女が放火をした理由は…。
夫への愛情はなく、出張の間にホテルに泊まることを楽しみにしていただけ、そこで知り合った女性と親しくなり、一緒に過ごすことで喜びを感じるようになる。だが夫の事業の失敗で、ほとぼりがさめるまで身を隠そうと言われ…。
○孤独の谷〜大学の研究室で相談を受けた事柄が、村の一部で風土病があり、言い伝えなのかどうか、誰かが謎の死を遂げると家族ばらばらになり村から出ていかなければならない。
恐れているのは言葉。
言語コミュニケーションによって、脳に炎症が起こり、欠陥が脆弱になる一族だと言われている。
○老いた犬のように〜作家である僕のところから二十年間一緒にいた妻が出ていった。
彼女は、優しく近所付き合いもうまく、気難しい姉も気に入っていたのに。
だがSNSで読者からのメールによるやりとりで知り合った人と話をしているうちに、可哀想と言われた一言で、哀れで惨めなのは自分なのかと腹が立った。
いったい、自分は…。
隠された真実に気づかせてくれる作品集。
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学園ミステリー、ホラー、イヤミス、ばかりかと思って読んでみたら、悩んでる人の背中をそっと押してくれるような話もあり。
8つの短編集
【降霊会】
『降霊会、行います』 廊下に貼られたポスター。
「僕」の幼なじみの砂美が、学園祭の催し物で亡くなったペットの降霊会を企画した。気になった「僕」は降霊会に参加する。これは、降霊会に参加した全員がグルになった演技だ。1週間前に妹を亡くした「僕」にある告発をするための……。
「え……、待って、イヤーーー!」って心の叫びをあげたくなる笑
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【甘い生活】
「子供の頃から、誰かのものが欲しくなるタチだった」
レストランで姉が頼んだクリームソーダ。友達のお人形。クラスメイトの鞄についてるマスコット。彼女たちがひどく惜しそうに、それをわたしにくれるとき、身体が痺れるような高揚を感じた。ある日、友達の沙苗が見せてくれた鮮やかなオレンジ色のボールペンが欲しくなり……。
そんなに人の物ばかり欲しがってたら、いつか自分の「1番大切な物」を奪われるよ...。〣( ºΔº )〣怖い怖い。
✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【未事故物件】
上野初美は、初めてのひとり暮らしで悩んでいた。
早朝4時、毎朝上の階の洗濯機を回す音で起こされ寝不足な日々が続いていた。友人の助言から 不動産屋に相談したが、なんと上の階には誰も住んでいないと言われる。
怖っわーー!!あれ思い出した!
友達の家に泊まったらベッドの下に...っていう都市伝説 。 「怖いのは事故物件じゃない」 (((;°Д°;)))
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【ホテル・カイザリン】
わたしはホテル・カイザリンに放火した。「なぜ放火したのか?」と聞かれても、警察に説明しても理解してもらえるとは思えない。 毎月第二火曜日、出張中の夫には秘密で泊まりにくるホテル・カイザリン。そこで、夫を亡くし夫が残した遺産でたまに泊まりに来るという1人の女性と知り合って...。
あなたの奥さん、大丈夫ですか?
✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【孤独の谷】
大学で文化人類学を教える白柳は、風土病を専門としている。ある日 生徒の波良原美希から妙な相談を受ける。波良原家のものしか住んでいない纏谷村では 家族の誰かが亡くなると 他の家族は全員バラバラになってその土地を離れていくというものだった。伝染病か風土病のせいなのか?白柳は原因を調べようと纏谷に向かう。
そんな……。そんなことってある?
それは孤独すぎる...。
✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【老いた犬のように】
理想の妻に離婚を言い渡された小説家の男。別れた後も元妻が忘れられず、離婚の原因が何だったのわからずに悩んでいる。ある日、自分のファンだという若い女性とSNSで繋がり 実際に会うことになり、だんだん距離を縮めていくが...。
ゾワッ!もうゾワッしかない!
なんなのこの男!笑
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【金色の風】
幼い頃から習っていたバレエを諦めた女性の話。
【迷宮の松露】
祖母のような完璧な女性を目指そうと頑張り過ぎて 心身が壊れてしまった女性の話
どちらも爽やかな話だったけど、どちらの主人公も 人生をリセットしようと海外に留学や旅行に出る話で。私は「突然の海外」が苦手なので笑 (ゆーきの苦手シリーズその3) 感想は省きますっ。
近藤史恵さんの本は「ハブラシ」もイヤ〜〜な感じだったんだよなぁ笑
他の作品も気になるところ。
今から図書館に待ちに待った本を取りに行くのだ!!
楽しみーーー(*p'∀'q)
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なんてこった!一途過ぎて心が揺れてきた!!( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
でも僕には1Qさんががが!!!なんてこった!一途過ぎて心が揺れてきた!!( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
でも僕には1Qさんががが!!!2024/02/18 -
2024/02/18
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2024/02/18
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人はみな、多かれ少なかれ満たされない思いを抱えて生きている。ただ、その思いとどんな向き合い方を選択するかで人生は違ってくる。
そんな人たちの「選択」を描く8つの物語。
◇
今日は学園祭当日だ。僕は久しぶりに校門を潜った。
高校2年で実行委員を務める僕は学園祭の中心メンバーとして運営に当たるはずだったが、家庭の事情で昨日までの1週間を欠席したためほとんど手伝えなかった。
エントランスに来た僕は、壁に貼られたポスターに気がついた。ポスターには「降霊会、行います」と書かれていて、死んだペットの降霊をすると小さな字で付け加えられている。責任者は宮迫砂美となっていた。
砂美は僕の幼馴染であり、家族同士顔見知りだ。優等生の砂美は教師ウケがよいため、僕が休んでいる間の急な申請にも関わらず、催しは許可されたらしい。
茶番だとは思うのだけれど、この企画を立てた砂美の意図が気になった僕は降霊会に参加することにした。
外光が遮断された理科準備室には長方形のテーブルがあり、その周りに椅子が8脚置かれている。
その1つに座るのがイタコを務めるエレナというゴスロリ風の女子で、僕を含め7人の参加者が席に着くと照明が消された。
進行役の女生徒が、手にした蝋燭で以て参加者それぞれの前に立てられた蝋燭に火を灯していく。そして最後にエレナの前にある大きめの蝋燭に火を灯すと、進行役の女生徒は最初の降霊希望者を募る呼びかけをした。
1年生らしい女生徒がおずおず手を挙げる。2ヶ月前に死んだウサギを呼び出してほしいと言う。
了解したエレナは、全員に隣の生徒と手を繋ぐよう指示した。そして手と手が繋がるのを見届ると、エレナは呪文を唱えはじめ……。 (第1話「降霊会」) 全8話。
* * * * *
ミステリーあり、サスペンスあり、ホラーあり、ヒューマンドラマありのバラエティ豊かな短編集でした。
第1話「降霊会」(28㌻)は見事などんでん返しミステリーで、攻守ところを変えていく終盤の心理戦がなんともおもしろい。でも、これはほんの序ノ口です。
個人的にはヒューマンドラマ仕立ての話が気に入りました。
特に、8作中最も紙数を費やした第2話「金色の風」(56㌻)が希望と再生を感じさせる作りで好みに合っていました。
もちろん、第3話「迷宮の松露」(24㌻)もよかったですし、表題作の第6話「ホテル・カイザリン」(32㌻)も意外な結末まで用意されていておもしろかった。
でも、2番目のお気に入りとしては、第7話「孤独の谷」(28㌻)を挙げたいと思います。
「孤独の谷」はオカルト色の強いホラーで、超短編なのを感じさせないほど読ませます。
あとは、軽いサスペンスホラーの第4話「甘い生活」(28㌻)と、第5話「未事故物件」(24㌻)もうまくまとめられていたと思います。
各話はいろいろなジャンルに味つけされているのですが、満たされない思いを抱える主要人物が岐路に立ったとき、何を選択したかでどんな人生を迎えることになるのかというテーマに基づいて書かれているので、統一感のある作品集になっています。
近藤史恵さんという作家のオールマイティぶりがわかる作品でもあるので、近藤さんの作品を初めて読む方にはお勧めです。 -
短編集。1話が短いからとても読みやすかったし、面白かった。ミステリー、イヤミス、人が怖い、自分探しの旅で前向きになる、など色々な話があり飽きない。
各話の主人公は問題を抱えている。その問題は読み進めてくと徐々に分かってくるのだけど、これが作家さん上手だなと思った。小出しにしてくるから、この人に何があったの?と気になってしょうがない。結果、どんどんページを捲りあっという間に読めた。
私のお気に入りは、『甘い生活』と『未事故物件』。
『甘い生活』は主人公が最低人間で、結末はスカッとするんだけど、モヤモヤも残る。イヤミスかな?
『未事故物件』は一番好き。ホラーと思いきやミステリー。最後の2行、
「大丈夫。怖いのは事故物件じゃないから」
恐ろしいのは、これから事故が起こる物件なのだ。
が印象に残ったし、怖い。 -
8つの短編集。
「老いた犬のように」はJミステリーにて既読。
どれもちょっと怖くなるようなミステリー。
人間の持っている闇の部分がすっと浮かび上がってくるようで、実際に身近であってもおかしくないなと思えるものも多かった。
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物事には表と裏がある。
ぴりりと毒を含んだものから、背中を押してくれるものまで。
近藤史恵さんの魅力のつまった一冊。
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近藤史恵さんも好きな作家さんのひとり。
この本は近藤史恵さんの本だからという理由で
何の情報もないまま手にしました。
タイトルにもなっている「ホテル・カイザリン」を含む8編の短編集。
うん、近藤史恵さんだ!と思わせてくれる
ライトミステリー。
時々”ヘビー”も混ざっていましたが…
中に「あれ?これ読んだことがあるかも」と思う作品があって
ちょっと不思議に思っていたら
アミの会(仮)のアンソロジー『迷う』と『11の秘密』に収録されている作品でした。 -
同じようなタイトルの作品を読んでいたので何も考えずミステリーだと決めつけてしまっていた…。8つのストーリーがあるのだが、一貫性がなく急に振り回されて心臓バクバクします。最後の作品が物足りなかったので評価は低め。