終末の鳥人間

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 56
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928377

作品紹介・あらすじ

片田舎で、特にやりたいこともなくて、成績もよくなくて、モテない高校生。無理矢理入れられた人力飛行機部も成果が出ず、顧問の教師は職員室でハブられていた。一方、東アジア情勢は混迷し、政府は場当たり的に戦闘準備を進める気配。あっちもこっちも行き止まり。それでも、飛んでみるしか、ないやないか。-。

感想・レビュー・書評

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  • びっくりだった。
    人力飛行機に異常な情熱を示すうだつの上がらない高校教師と、やはりうだつの上がらない高校生活を送る男子高校生2人が、鳥人間コンテストに出るべく、奮闘…というか、高校生はいやいやながらやってるの。そのうち、物作りに異常に興味がある(だけど教室ではハブかれてる)後輩くんとかが加わって、まずは地元大会に出場。

    人力飛行機を芯にした高校生の成長物語なのかなあって読んでいたら、あれよあれよというまに(それは物語の中でも)戦争に突入してしまうの。その進み方が今とリンクして恐ろしくもなり、そこからのストーリーがリアルと想像の世界を行き来してる感じで、不思議に引き込まれた。

    高校教師を大好きなあの人に演じて欲しい。最後のシーンの瞳が見たい。

  • 面白かった!青春小説とと飛行って相性良いのかな、加納さんの「飛行倶楽部」(気球だけど)も傑作だし。再集結してからの、冒険活劇も良い。ヒロインの能力も、あのラストにするならありでしょう。

  • ボリューム満点の力作。
    近未来の日本が舞台。
    実際起こり得る状況にあるのではないか、とゾッとする。
    とりあえず体を鍛えておこう。

  • 国民自身が狂わせていく近未来の日本。
    そんな日本で生きている、人力飛行機バカのダメ教師+おバカ高校生コンビ+いじめられっ子優等生+不良女子高生+コンプレックス女子高生。「破滅へと向かう社会の狂気」にマイペースに立ち向かう、「ダメダメな青春ちゃん」の冒険活劇に、ニヤニヤしたり絶句したり。

  • 北との戦争。もしもがリアルに書いてある気がして、ドキドキが止まらなかった。ウクライナの状況もニュースで見れる時代。
    これが書かれたのが10年以上前なのに、今差し迫って来ている危機を感じて、後半は一気読みした。鳥人間の冒険をコミカルにサクセスストーリーと思っていたのに。

  • 帯にあったとおりディストピア小説+青春小説=人力飛行機小説だった!
    とはいえ、人力飛行機の部分はともかく、日本が戦争に巻き込まれる(というか巻き込む?)過程についてはリアルさのかけらもない。そもそも最初はアメリカが日本から手を引いてきたはずだったのが、日米同盟が強化され、九州で米兵が治療されてるし。まあ、戦況というか、戦争による市民生活への影響がメインで、どうすればそうなるかについてはリアルさのかけらもない。が、まあディストピア小説だからそれでいいのだろうw妙に読みやすかったのは文体と相性が良かったのか。しかし、この中で一番可哀想なのは、拉致被害者を還したのに国交正常化されず、クーデターまで起きてる北朝鮮な気がするww
    (☆3つと4つの間くらいかな)

  • 2012年に出された本。その当時だったらありそうであり得ない話。が今、中国、韓国、北朝鮮との状況を考えるとよりあり得る話になっていて、怖い。青春小説のはずなのだが。一気に読んでしまった。

  • ヘタレでほほえましい青春物と見せかけて、後半はディストピアへと怒涛のスパートをかけ見事読者を裏切ってくれた。理系の甲子園とも言える鳥人間と3・11後の日本を掛け合わせるなんてちょっと思いつかない手口だ。作者の乾いた文体が日本的アルマゲドンの不気味さをよく醸し出してると思う。

  • 勝手にミステリーだと思い込んで読み始めましたが、
    全然、違う分野の小説でした。
    それでも、地味な文章ですが最後まで飽きることなく
    読み終わりました。
    戦争を描く形としては目新しいです。

    ありそうで、ちょっとないかな、な話ですが、
    でもないとは言い切れない、話でした。

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著者プロフィール

1975年生まれ。福井県出身。2007年に「あちん」で『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞、08年に同作でデビュー。2008年に「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。他の著書に、『太陽おばば』(双葉社)、『終末の鳥人間』(光文社)などがある。

「2013年 『幸せすぎるおんなたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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