近藤史恵リクエスト! ペットのアンソロジー

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  • 光文社
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928667

作品紹介・あらすじ

読書家としても知られる近藤史恵が、今いちばん読みたいテーマを、いちばん読みたい作家たちに「お願い」して作った、夢のようなアンソロジー。十人の人気作家によるペットモチーフの新作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 大崎梢さんリクエストによる『本屋さんのアンソロジー』が
    10人の作家さんそれぞれに、本屋さんへの愛情に満ちていて素晴らしかったので
    「この本もきっと、ペットへの愛が行間から溢れ出ているにちがいないわ♪」 と、
    勝手に期待値を上げ過ぎたのかもしれません。

    あれ?粒ぞろいの作品が並んでいるんだけど
    思ったより冷静なものが多いというか、体温低めな感じ?という印象が。。。

    でも、そうですよね。
    作家さんなのだから、本屋さんには並々ならぬ思い入れがあって当然だけれど
    このアンソロジーへの参加を依頼した近藤史恵さんも書かれている通り
    ペットを飼った経験のない作家さんも執筆してくださっていたりして
    ペットへの思いは、かなり温度差があるはずなのだもの。

    というわけで、初出が『小説宝石』だということも踏まえて
    ペットとの触れ合いを描いた作品としてではなく、
    ペットに纏わる謎や事件を綴ったアンソロジーとして読まれることをおすすめします。

    あ、でもでも、愛猫家の読者さんは、柄刀一さんの『ネコの時間』を読まれるときは
    花粉症じゃなくても、ティッシュとかハンカチとか、
    準備万端で臨まれたほうがいいかもしれません。
    読み終えたあと、猫が「みゃー」と鳴くたびに
    思わずぎゅうっと抱きしめたくなってしまうおはなしです。

  • ペットのアンソロジー。
    可愛いペットが登場するお話もあれば、ちょっと怖いお話もある。

    初めて読む作家さんが多かったのだけど、気になる作家さんに出会えて嬉しかった。

    「ネコの時間」の柄刀一さん。
    通勤電車内で泣くところだった。
    (実はちょっと泣いた…)
    みゃーが先に布団に入っている理由に気付くところで真子と一緒に感動。
    動物の行動に人間的解釈をするのは人間のエゴと何かで読んだことがあって、みゃーの行動に感動するのもただの勘違いなのかもしれないなとも思った。
    思ったけれど、愛猫の行動に優しさを見出して何が悪い!と開き直る気持ちもある。
    私はこの物語の解釈を支持したい。
    例え間違っていたとしても。

    「パッチワーク・ジャングル」の汀こるものさん。
    すっごく面白かった。
    ペットへの愛はこのアンソロジー内でも上位。
    そして、爬虫類の餌になる「デュビア」なる虫との出会い…。
    要するにアルゼンチン産のゴキ‥(「せせらぎ」とも言う)。
    家にアロワナがいた時に、彼(だったのか彼女だったのか不明)は日本産のゴ‥を食べていたなぁと思い出した。
    爬虫類愛好家の方には悪いが、お願いだからデュビアをあまり国内に入れないでほしい‥。

    ペットと一緒に暮らすのはただ可愛かったり楽しいだけじゃない。
    病気になったり行方不明になったら心配もするし、自分に余裕がないと不幸にしてしまうことだってあるはず。
    ちょっと苦いお話が多かったのは、きっとそれが別の生き物の命に責任を持つことの真実だからじゃないだろうか。

    • まろんさん
      takanatsuさん、こんにちは♪

      そうなんです、「ネコの時間」!
      takanatsuさんが書かれてるお布団のエピソードから
      みゃーがし...
      takanatsuさん、こんにちは♪

      そうなんです、「ネコの時間」!
      takanatsuさんが書かれてるお布団のエピソードから
      みゃーがしきりに「話しかける」ねこだったことや、
      なぜ壊れかけた古いケージにこだわったのかという謎解きまで
      もう、何度もぽろぽろ泣いてしまいました。

      おっしゃる通り、ペットの行動に飼い主が勝手な解釈をつけて嬉しがったりするのを
      根拠がないとか、エゴだとか切り捨てる学者さんもいるけれど
      愛猫の行動に愛や信頼を感じて、なおさら可愛くなってやさしく接することができて
      それで自分も癒され、猫も幸せに暮らせるとしたら、こんなに素敵なことはないですよね♪
      この物語のことを娘に話したら
      「ママ!うちのねこの言葉も、録音しておかなくちゃ!」と張り切っていました(*'-')フフ♪
      2013/05/25
    • takanatsuさん
      九月猫さん、コメントありがとうございます!
      九月猫さんのお宅にもアロワナがいたんですね!
      うちもいつもは生きた金魚を餌として買っていまし...
      九月猫さん、コメントありがとうございます!
      九月猫さんのお宅にもアロワナがいたんですね!
      うちもいつもは生きた金魚を餌として買っていました。あとはコオロギとか。
      ゴ…がたまのご馳走だったのか、気に入らない食事だったのかは謎です…。
      アロワナの食事の仕方って丸飲みって感じでものすごいですよね…九月猫さんが慣れなかったというのはよく分かります。
      「アンソロジーっていろんな作家さんの作品が読めていいですよね。」
      はい!大好きです♪
      まだまだ読みたいアンソロジーがたまっているので頑張って読もうと思います!
      九月猫さんのレビュも楽しみにしています♪
      2013/05/25
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      まろんさんのレビュも読んでずっと気になっていたのですが、遂に読めました♪
      「ネコの時間」は本...
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      まろんさんのレビュも読んでずっと気になっていたのですが、遂に読めました♪
      「ネコの時間」は本当に素敵なお話で、どうして電車で読んでしまったのかとすごく後悔しました。
      家で読んでいれば周りを気にせずに泣けたのに…。
      別に泣きたいというわけではないのですが、優しさに触れて幸せを感じた時に流れる涙は無理に押しとどめずに流したいなと思ってしまいます。
      そういう点ではちょっと失敗してしまいました…。
      「この物語のことを娘に話したら
      「ママ!うちのねこの言葉も、録音しておかなくちゃ!」と張り切っていました(*'-')フフ♪」
      なんて素敵な提案!
      いいなぁ…。とっても幸せなお話がまた聞けてすごく嬉しいです。
      ありがとうございます!
      2013/05/25
  • このアンソロジーシリーズ、図書館でしばらくは予約でいっぱいだろうと思っていたが、先日棚に並んでいるのを見かけ早速借りてきた。
    近藤史恵さんが選んだ作家さん達による、ペットに関するアンソロジー。私はリクガメとインコを飼っているので、ポピュラーな犬猫だけでなく爬虫類や鳥の話もあって嬉しかった。まさにその爬虫類や鳥の話が特に印象に残り、それを書かれた汀こるものさんと大倉崇裕さんの本を読んでみたいという気持ちになった。
    アンソロジーは、自分の知らなかった作家さんに出会う事のできる幸せの場だ。

  • 作家リクエストによる和菓子編・本屋編に続いてのペットのアンソロジー。
    他の2冊もバラエティに富んだ内容で読み応えがあったけれど
    このペット編は動物好き必読!
    常にネコがいる家で育ったわたしは「ネコの時間」にはたまらず号泣。

    このシリーズはどれもおすすめ。
    お好みの作家を探すにもこの手のアンソロジーはいい。
    なんだか贅沢な気分にさせてくれる1冊でした。

  • 本屋と和菓子のアンソロジーを読んで、
    こちらも、と手を出した。
    警視庁生き物係とシャルロットは既読。
    他の作品も好きな物が多かった。

  • オープニング『ババアと駄犬と私』、私も飼っていたハスキー犬の登場。あの行動や態度、よく分かる。怖い顔してちょっとおバカで優しいハスキー。ババアと私の距離を縮めたハスキー、ホントにいい奴。

    『ネコの時間』泣けてしまう。いつかはペットとの別れを覚悟しながら日々を過ごす。人間の1分はネコの4分。ネコは人の言葉を理解してるんだろうな。

    他にも爬虫類や鳥が登場。ハートフル、ミステリー、ホラーっぽいストーリーがあり、味深いアンソロジー。

    またイヌと暮らしたくなった。『シャルロットの憂鬱』に出てくるような退役警察犬もいいな。

  • ペットをモチーフにした、短編集。一口にペットの話といっても、お涙頂戴系ばかりでなく、ほっこり系から、ミステリー調、刑事ものなど、話題性に富んでいて飽きさせることなく読み進められて良かったのである。どの作家さんの話からもペットに対する愛情がこもったものばかりで良かった。
    まえがきの部分で、ペットは人間のエゴに振り回されるしかない生き物で、飼い主にとってはかけがえのない家族のような存在ということ、あとがきで生き物と暮らすのは大変なこと、環境が整わないと人間、ペット双方が不幸になるということ、が深く胸に響いた。
    昨今、子犬が大量に棄てられる事件が頻発していることもあり、ペットと人間の共存について考えさせられる。
    その中で、柄刀一さんの話で、みゃーのように最後に幸せに看取られるのが一番、双方にとって幸せだと感じた。この話は、最後に感動してしまった。
    我孫子武丸さんの話は、現実にも起きそうな事件で、内心ヒヤヒヤしてしまった。最後は、きちんと面倒を見てくれるということで一安心したと感じた。
    大倉崇裕さんの話で、薄と須藤のコンビがいい。ヨウムという鳥を知り、実際に見てみたいなと思った。薄の動物に対する知識の深さに感銘。
    汀こるものさんの話は、犬や猫が多い中、爬虫類の話だったのが新鮮味を感じた。爬虫類を溺愛している夫を支える妻が献身さを感じる。
    最後の近藤史恵さんの話でほっこりした。
    自分はペットを飼っていないが、飼っている気分で読むことができた。

  • 動物もの全10編。内訳は犬4、猫3、その他3(鳥1)
    動物愛好家なら是非読んでみて欲しい。知らない作家の魅力を発掘するチャンスかもしれないから。

    10作中、9作が好みなので当たりだった。
    爬虫類狂いの夫がツボに入ったので、目下の目標は魚薀蓄シリーズ全巻読破かな。

  • 大倉崇裕さん・太田忠司さんの作品目当てで図書館で借りた。どちらも良かった。須藤・薄ペアは相変わらず良いコンビだった。続編期待♪ 太田忠司さんのは、「レストア」から今回に至るまでの話をぜひ読みたい。
    初読みの作家さんもいて、ミステリー、ほっこり、ゾワゾワ、じ〜ん、色々なお話があってお得感満載でした。
    手元に置いてまたちょこちょこ読みたいけど、予約が入っているので返さないと。文庫待ちます。

  • 我孫子、大崎、太田、近藤以外ははじめましての作家ばかり。アンソロジーのシリーズで一番登録が少ないけれど一番出来がいいと思う。個人的には大崎梢、近藤史恵、柄刀一の作品が好きだけど、心暖まるものは勿論、ブラックなものからミステリー、ゴシックホラーのようなものまで幅広いジャンルが楽しめるアンソロジーになっていると思う。2013/221

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

近藤史恵の作品

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