堕天使の秤(はかり)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 45
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929831

感想・レビュー・書評

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  • 厚労省・向井シリーズ第3弾。
    偽の外交官ナンバーで、起きた死亡交通事故を追う警視庁捜査一課の視点と、不正年金受給詐欺を追う向井の視点、2つの物語で進められる今作。
    たくさんの病院関係者が登場するが、二つの事件の交点は見えそうで、見えない状況で中盤まで話が進む。
    二つの事件の接点が見えた時、そこにはただの交通事故でも、不正年金受給でもない、もっと壮大な事件の背景が隠されていた。
    これまでだと向井一人の推理で、強引に謎解きがされてきたが、今回は準主役とも言える警視庁の南雲・茂木の推理などもきちんと組み込まれ、これまでの作品よりも、かなりミステリーとして、仕上がりが良かった気がする。
    警視庁の二人にも、それぞれの事情があり、その事情も事件を大きく左右する。
    ラストは、帯にもあるように、「最後に選ぶのは、正義か。愛か。」を問いかけており、今までチャラいキャラを通してきた向井でさえも、悩む。
    読者であっても、自分が同じ立場だったら…と考えずにはいられない作品。
    そして、最後、選んだ答えは、心が温まるものだった…

  • 8月-1。4.0点。
    厚労省向井シリーズ第3弾。
    臓器移植の問題と、ある刑事の祖父の戦後すぐの出来事。
    別物と思っていたものが、最後に思わぬ形で繋がる。
    第一作・第二作と殺害方法にフォーカスを当て、改名していくスタイルが、今回は周囲の人間にフォーカスを当てた感じ。今回の方が読み応えあり、面白い。

  • 需要と供給・・・難し過ぎる問題です。。。
    非常に興味深く、面白く読ませていただきました~!

  •  救えるはずの命を救えない。ジレンマですね。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    環状八号線で偽装外交官ナンバーのSUV車が事故に巻き込まれた。乗っていたのは医師二人と麻酔薬で眠らされた男女で、拉致事件の疑いがかかり、捜査一課で祖父も警察官だった南雲、娘が心臓移植待ちをしている茂木らが捜査にあたる。調べが進むうち、厚生労働省の向井俊介が調査中の年金詐取事件とこの拉致事件のかかわりが見えてくる。その背後には複雑な問題をはらんだ哀しき組織的犯罪があった―本格トリックを織り込みながらも、真の正義とはなにかを問う力作ミステリー。

    必要悪は有るのかも知れないと思わせる作品だった。

  • 刑事モノらしく一歩一歩真相へ近づいていくプロセスは惹かれますし、文章もこなれているので一気に読めました。
    ただ、色んなテーマやドラマを詰め込み過ぎなのと、途中から思いもよらぬ方向へ進んで行くので若干振り回された感がありました。
    また、事件にこれといった特徴がないのと、「組織」「臓器」など手垢の付いたキーワードで真相が予想し易いのが難点かなと思いました。

  • 佐賀県出身で島根県に移住し、漁師を営みながら作家活動をする同い年?の著者に関心を抱いた。ミステリーとしては私情が強過ぎて緊迫感に欠けるなと思いつつ、読み進むほどに惹かれていった。厚労省の向井君はテキトーに脱力しながらも、やるときゃやる。重いテーマだけに、彼のキャラが中和してくれる。人それぞれ置かれる立場で秤は定まらないけれど、自分自身の考えとしてドナー制度には否定的なのは変わらない。どんなに愛しくても辛くても願っても、運命は受け入れたい。自分が生まれもって授かったカラダ、臓器の働きの範疇で生きていくしかない。

  • 2014/12/30読了

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著者プロフィール

佐賀県生まれ。島根県在住。2011年『変若水(をちみづ)』(光文社)島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選ばれデビュー。主な著作に『凶血公安調査官 霧坂美紅』(KADOKAWA)『凶眼の魔女』(実業之日本社)『化身の哭く森』(講談社)『背律』(原書房)『堕天使の秤』(光文社)『四面の阿修羅』(南雲堂)

「2023年 『龍のはらわた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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