- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336054647
作品紹介・あらすじ
本書は大東亜戦争を体験した一青年の終戦記録である。「昔の史料に頼り、その恩恵をうける史学者は、過去の研究と同時に、自ら生きた時代に関する体験と知見を史料として書き残す気持ちを忘れるな」という平泉澄博士の教訓から、筆者は若き日に書き綴った2編を、本書に書き残すこととした。<br> 第1論稿は、筆者が昭和20年に海軍経理学校に着任し、海軍少尉に任ぜられた当時の上司に提出した「本土決戦の具体策」の記録である。世間では「本土決戦」などは掛け声だけだったという軽口が流布しているが、それは具体策を書き記した資料類が「軍極秘」のためすべて焼却されたからである。「本土決戦」が当時真剣に想定されていた、という実証を些かでも世に知らせておきたいがために、筆者の手元に残った下書草稿を元に翻刻した。<br> 第2論稿は、筆者自らが体験した大東亜戦争当時の伝聞と所感を、正直に記録にとどめておくことを目的とする。占領統治下の報道範囲は狭く、また物資も不足し、出版書・雑誌は勿論、ノートの入手も困難な時代に記された論稿である。現今の戦史研究家による大東亜戦争史論に比すれば正確さに遜色のあることは言うまでもないが、これもまた「戦後占領統治下での記録」として記しておく。<br> 第3項目は、筆者が創刊した古代・上代史の専門学術誌『日本上古史研究』の「編輯後記」を集録したものである。これをご覧いただければ、敗戦後の昭和32年から7年間の上古史研究学界の素顔が垣間見られるであろう。<br> 第4項目は、平成年代における著者の「古代史セミナー」での150回に及ぶ連続講義の題目一覧である。これは大阪の国民会館において開催された武藤記念講座の一端であるが、市民講座として、毎日新聞の「歴史万華鏡」にも紹介され、好評を博した。その講義の題目だけであるが、この当時の関心の推移が一覧されるであろう。<br> 巻末には、『続・著作集』全6巻の総目次と要語索引、及び第1~5巻までの正誤表を付し、本『続・著作集』利用者の便をはかった。