宝塚百年を越えて: 植田紳爾に聞く

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336057860

作品紹介・あらすじ

『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』
宝塚歌劇団100年の歴史に燦然と輝く、数々の金字塔的名作を生み出した演出家・植田紳爾。せつなく熱く心を揺さぶる、魅惑の舞台はいかにして作られたのか? その秘密を今はじめて語る。

感想・レビュー・書評

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  • 宝塚歌劇団の演出家であり、グループ企業の社長も
    しておられるという異色の経歴を持つ、植田紳爾さんの
    聞き書き本である。

    私も長年の歌劇ファンではあるが
    植田氏が早稲田演劇のホープであられたことなど、
    初めて知った。

    和物の演目についての氏のお考えなど、なかなか面白く
    拝読し、ビッグネームで近年も作品が上演される宝塚の
    名演出家、白井鐵造氏や鴨川清作氏、内海重典氏など
    のことについても詳しく語られていて、演劇史の側面からも
    歌劇のいちファンとして読んでも面白いお話が多い。

    また、植田氏が断行した新専科制度についても
    当時観客だった私は複雑な気持ちもあったが、率直に
    話されている。

    納得の行く面もあり、なおかつ、却って
    いろんなことを無理に急がせる結果になったのではないかと
    考える面もあった。

    良くも悪くも誤解を受けてしまわれる方なのかな
    とも思うし、自ら侍むところも大いにお持ちだと思う。

    意外なほどに情もあり、同じだけ意外にも頑ななところを
    お持ちな気がして。

    私自身は、愛憎半ばする、というか、その後ろにどんな
    想いや事情があったか、なんであの時聞けなかった、と
    思う話題も多かったけれど。

    でも、宝塚における一時代を築き、永遠に受け継がれる
    お芝居を書かれただけの聡明さや鋭さ、知性の蓄積が
    きちんとある方だなと、改めて尊敬もしたのである。

    歌劇ファンの方や演劇を好きな方には、ご一読を
    お勧めする。

    愛も批判する勇気も、正当にいいものは評価する目も
    ちゃんと持った観客でいたいものだ。

    キツイことも客はいうが、それを越えても
    愛しているカンパニーは、やっぱり大事なものだから。

    宝塚よ、永遠なれ。

  • メディア

  • 少し前、宝塚支配人、森下信夫さんの著書「元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」経営戦略」を読みました。森下さんは、親会社である阪急電鉄の立場から、宝塚の経営について書いていました。今回の本は、劇団の立場から見た、宝塚の経営について、です。植田さんは、現役の演出家で、「ベルサイユのばら」を演出した方です。この本は、植田さんの、伝記の部分もありますが、私が、もっとも興味深かったのは、劇団内部の人間が、宝塚の経営について、どのように考えているか。たとえば、損益分岐点の座席稼動率について東京の一般的な劇場は55%、宝塚は70%から75%、親会社は、これを40%にしろ、という話がでてきます。そして、植田さんは、「電車動かす人がプロデューサーになんてなれるはずがない」と…。親会社だのみ、赤字垂れ流しではいられない状況の、現在の宝塚、理想と現実に揺れ動く、現場の苦労が、わかる一冊です。宝塚を知らない、ビジネスマンの方には、読みにくいかもしれませんが、宝塚のことを知っていて、劇団の経営に興味のある方は、この2冊を読み比べることを、おススメします。

  • 『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』など宝塚歌劇団100年の歴史に燦然と輝く、数々の金字塔的名作を生み出した演出家・植田紳爾。せつなく熱く心を揺さぶる、魅惑の舞台はいかにして作られたのか? その秘密を今はじめて語る。

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