- Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336061676
作品紹介・あらすじ
アメリカン・グラフィック・ノヴェルの旗手による
不器用で、奇妙で、愛おしい人々の人生模様――
〈アート・ブック×コミック×純文学〉を達成した最新作品集
突如アートに目覚める植木職人の理想と現実、ポルノ女優そっくりの顔で悩む娘の告白、口下手なのにスタンダップ・コメディアンを目指す少女とその父の葛藤……現代で最も才能あるグラフィック・ノヴェリストの一人エイドリアン・トミネが、6通りのビジュアル・語り口で繊細かつ鮮烈に描く、静かに胸に突き刺さる6つの人生の物語。オールカラー愛蔵版で登場! 解説:クリス・ウェア
〈彼の描く20コマには、小説家が一生かけて描くよりも多くのアイデアが詰まっている〉………ゼイディー・スミス
〈純文学寄りの漫画家として、ひそかに願う――「そういう本」を創りたい、と。そういう本とは、普段漫画を読まない、文学好きの人にも届く本。事前に説明や釈明をしなくても、作品の姿勢や人間性、複雑さを通して、雄弁に語る本のことだ。エイドリアン・トミネの『キリング・アンド・ダイング』は、ついに登場した「そういう本」なのかもしれない。僕はこの本に度肝を抜かれ、勇気づけられている〉………クリス・ウェア
感想・レビュー・書評
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表題作とアンバースウィートが好き
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映画『パリ13区』から入った。
映画館の売店に本書が置いてあり、表題作を読んでいた。端正な絵柄は好感度、ペーソスと独特のリズムも味わいがある。そう思って映画を観たらテイストは全然違っていた。
著者エイドリアン・トミネの作品から、いくつかのエピソードをピックアップし換骨奪胎して製作したのが映画作品。どっちがどうという以前に、もうまったく別モノとして味わったほうが良さそう。で、どっちも良い。
鑑賞後、作品パンフレットを買おうと思ったら売り切れ(うん、この作品の完成度ならパンフを手に取ってみようと思う気持ちも分かる)。残念と思い、では原作のほうを買ってみるかと、改めて読んでみたもの(「キリング・アンド・ダイイング」しか読んでなかったからね)。
『グラフィック・ノベル』というジャンルらしい。日本の漫画とは一線を画す。
本書にもいくつかのエピソードが描かれているが、絵のタッチも微妙に違ったり(制作の年代が違うのかな?)、登場人物も異なり、お話もまるで別の話。共通しているのは、静かな絵のタッチと(日本の漫画のような効果線、擬音の類も少ない)、日常的な暮しの中のちょっとしたユーモアや少し奇妙な出来事を、人間関係を軸に描き出しているところか。
短編小説、純文学といった類のテイストで、物語も特段起承転結がハッキリしているわけでもなく、特に結末がどれもが「で?どうなった??」と思うところで終わっている。それも特徴。 いわゆる、あとは読者に委ねたよ、というやつ。そのあたりも純文学っぽい? よう知らんけど。 グラフィック(絵)だけど、ノヴェル、って言われるのも分かる。
本作には映画の題材となった『アンバー・スウィート』と『キリング・アンド・ダイイング』が収められている。『アンバー・~』のほうはかなりその設定を映画のほうにも盛り込んであるが、『キリング・~』のほうはサイドストーリー以下、ちょっと拝借した程度で残念。でも、面白かったお葬式ネタを映画の方でも採用してて良かったよ。
そうそう、『キリング・~』は主人公がスタンダップ・コメディアンを目指すという話の発端なんだけど(家族の反対や後押し、サポートのお話)、「スタンダップ・コメディアン」という訳のところは良かったけど、時々「お笑い芸人」って訳も出て来て、それはちょっと違うだろ、って気がするんだけど。
翻訳って難しいねー。 -
映画は短編をいくつか繋ぎ合わせたものなのね。
『アンバー・スウィート』と表題作が特に良かった。 -
何よりも解説に驚かされた。
ということは僕の読みができていなかったということだが・・・
この漫画が「信頼できない語り手」によって語られている、というのは完全に盲点だった。
「人生と同じで、最高の物語は「結末」をくれない」 -
「「ホーティスカルプチャー」として知られるアートの短い歴史」
「アンバー・スウィート」
「それゆけアウルズ」
「日本から戻ってみたけれど…」
「キリング・アンド・ダイング」
「侵略者たち」