- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336062857
作品紹介・あらすじ
医師として長年患者の死に立ち会ってきた著者が、今日
の人の死の有り様への懐疑を訴え、そこに集約されてい
る医療問題、倫理・社会問題、道徳観、死生観、哲学、
歴史的考察を通じて何を正すべきか、家族や親しい人の
「死」をどう受け止め、また、自分の死とどう向き合うべ
きかを問いかける。
実に正直で人間味あふれる本であり、挑発的だが、とて
も重要だ。(ガーディアン評)
本書の核心は、過度の終末期医療である。医療の中心的
役割を患者への慰めと救いに求め、それが死の床にある患
者のためになると説く。(パブリッシャーズ・ウィークリー評)
感想・レビュー・書評
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見内の介護したり、医療従事者だったり、常日頃医療現場と関わってれば、すごく当たり前の日常が描かれており、特に目新しいことはない。
やはり人の死に目にあうと言うことが、死生観を育む一番の方法なのだと思う。
誇りを持って最期を迎えたかったけど、こればかりはその時にならないとわからないので、どんどん綺麗に死にたい欲を手放していけたらいいのだけど、、、、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よくある終末期に関する本:語るに苦しい部分は語らず、理想像や美化された記憶に終始する。
この本:絶望の底辺まで降りて、そこから上をみて、現実的な着地点を探す。 -
読了日 2019/12/12
スゴ本の人の2019年ベストに入ってたので読んだ。
幾つかの医療事件、急性期病院で良く死ねない理由、数人の「癌で死ぬこと」について述べる。
楽観的で無知で傲慢な現代人の医療へのほとんど信仰のようなものを、著者が鋭く切り捨てるのが印象深かった。
各節の最後の2センテンスだけ抜き取っても心に刺さる書き抜きが出来そうだ。
開幕30ページに満たないところで、私が心の頼りにしていた、キューブラー=ロスの説をぶったぎっててかなり応えた。
でも著者の言うことは確かで、2005~2007年のイギリスでの死亡150万人のうちホスピスで死ねたのは5パーセントだという(P8)。そりゃ、死を迎えるまでに5段階辿れる時間のある人はそう多くないというのも理解できる。
去年祖父を亡くした。その最期が(孫である私と、娘であった母が阻止しようとした)悲惨だったものであることを思い返す。
実は、長く、祖父を悼むことができたか不安だった。私は「死ぬこと」と「遠くへ行くこと」の区別が付かない。二度と会えないことは、どちらも同じであると思っていた。だが、今の私は覚えている。衰え、朽ちていく祖父の最期を覚えている。それが祖父の願ったものでなかったことを知っている。
そしてその経験がこの著者の述べることの理解に貢献しているのを感じる。
「死に方を助言することは、生き方を助言すると同じくらい難しい」(P241)。
私が私の、そして周囲の人の死について考えることは、その死自体になんら良い影響を与えないだろう。だが、私は考えたい。コントロールする事を希求するのでなく、死を受け入れたい。
…ほんとは、出来るなら、恐怖で立ち尽くすことなく、死を怖いものと思わなくなって死にたいなぁ。多分こういう人間にこそ宗教は必要だった。 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:490.15||O
資料ID:95190462 -
東2法経図・6F開架:490.1A/O11g//K
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