複雑系のシミュレーション―Swarmによるマルチエージェント・システム

著者 : 伊庭斉志

• コロナ社 (2007年1月15日発売)

感想・レビュー・書評

[aotan58さんの感想 · 2013年1月15日]

セルオートマトンや人工生命等のモデルでの設定の仕方を検討しないとシミュレーションとしては中々理解しにくい面がある。単なる理論的なものだけなら他にも良書はある。ここではＳｗａｒｍというソフトを使うようで、ネットで手に入るようだが、そのプログラミング方法をマスターするには時間が必要のようだ。しかし、Ｓｕｇａｒｓｃａｐｅのモデルは秀逸だ。砂糖の取り合いから始まり、絶滅する者そして生存の条件とは。それらを発展させて、世代の交代、交配、栄養率の変化、季節の変動、公害の発生、文化の導入、戦争の導入、取引の導入、等へのシミュレーションまで持って行く手法は是非やってみたくなるし、このシミュレーションによって、理論経済ではわからないイレギュラーでありながら非常に重要なことも発見できることは素晴らしい。実際に手に取ってやってみたいと思わせる内容だ。