交渉人 遠野麻衣子・最後の事件

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344013773

作品紹介・あらすじ

銀座交番、桜田門、鎌倉新宿ライナー、二階建てバス…。都内の各所で爆弾事件が発生する。要求は2000人の死傷者を出した"宇宙真理の会地下鉄爆破テロ事件"の首謀者・御厨徹の釈放だった。犯人から警視庁との「交渉人」に指名されたのは、広報課の警部・遠野麻衣子。限られた時間の中で、真犯人を突き止め、広い東京から爆弾を発見しなければならない。さもなければ、未曾有の大惨事に見舞われることになる-。交渉人と真犯人の息詰まる4日間。緊迫のクライマックスまで一気読み、かつてないスケールの傑作サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 五十嵐貴久の交渉人 遠野麻衣子・最後の事件を読みました。
    突然の爆破予告の電話があり、オウム真理教のようなテロ集団の教祖の釈放要求。
    刻々と変わる状況の中、主人公は僅かな手がかりを頼りに真理に迫っていきます。
    最初から最後まで、緊迫感があり面白かったです。

  • 爆破テロで収監中のカルト教団教祖の釈放を求める犯人。都内各所で爆発テロを起こしたりの示唆行為で、テロの実行力も明らかな中で、警察上層部の正攻法での対応が事態を悪くしていく展開。臨場感もあり、噂話からの群集心理、犯人の出自と目的、色んな要素が後半で集約され、ストーリーに引き込まれます。後半の犯人特定の流れは、そこ今更?とか、その拘りはちょっと、、みたいな伏線のバランスに違和感は覚えつつも面白かった。タイトルに絡んだ最後の落ちも読後感を良くしてくれている。

  • 相変わらず閑職にいる遠野麻衣子、因縁の石田元警視正
    の名前で着信を受け、謎の相手シヴァと名乗る者の犯行
    宣言の中交番が爆破され、宇宙真理の教祖御厨徹の釈放
    を要求しそれを交渉する(⇦意味不明な言い回し)のに
    遠野麻衣子を指名、今後の爆破テロと引き換えに・・・

    この作品は不自然な男女差別による主人公の行動制約、
    更に幹部がステレオタイプの間抜け役である必要もなく
    僅かな手がかりから犯人に迫る作品に改変したらいいの
    にな(´・ω・`)

  • ダラダラ長かったです。【2022年5月6日読了】

  • 前作よりおもしろかった

  • 警察上層部の身勝手さにうんざりさせられたり、犯人との頭脳戦で手に汗握る攻防。こういった緩急の描写に良い意味で見事に踊らされてました。
    作者の思う壺といったところかな。

    宗教に傾倒していったり身勝手さが加速していく過程はうーんと頭をひねる場面もあったけれど
    知らず知らずに主人公に肩入れしてしまっている自分。一緒にエールを送り、最後の場面ではガッツポーズしたくなってました。ここまで心に入り込んで来る作品にめぐりあえて、妙に達成感のある読後でした。

  • 真犯人自体は、中盤以降で想像されるし、犯罪に至る理由も同様である。最後に真犯人と対峙し、論理的にかつ精神的に真犯人を追い詰め証拠を露呈させるのは痛快であった。また最後に辞職を迫る管理官に向けて同僚二人がクールに説き伏せる姿は、ビジネスパーソンには熱いものを感じたと思う。このシリーズで問いたいのは、人としての永遠のテーマのひとつである「正義とは何か」なのかもしれない。

  • 詰めが少々まだるっこしい。
    集団パニックの恐ろしさ、非常時情報伝達の速さと杜撰さは震災で嫌と言うほど味わった。
    また起きないことをただ祈るばかり。
    【図書館・再読・7/9読了】

  • 五十嵐貴久の作品はテンポがよく臨場感があり事件内容も良く練られていて、とても面白いのですが、この作品もかなり面白かったです。
    カルト教団信者による爆弾テロ事件と交渉人遠野麻衣子との戦いなのですが、遠野の分析力の高さから真犯人に徐々に迫っていくところはかなり引き込まれました。最後の犯人との戦い?(交渉?)は読みごたえがありました。
    でも中盤あたりで犯人の察しはついてしまいましたね・・・

  • 再読シリーズラスト。「最後の事件」といいながら……、というところであるが、警察という組織の論理で考えたら当然の帰結でもある。
    東京壊滅ひいては日本という国そのものの壊滅を願う犯人との息詰まる攻防(というほど力量は均衡していないが)というストーリーと同時に、日本における組織のあり方、組織を構成する人の論理を描いている。
    テレビや映画などでは型破りな刑事が登場し、華々しく事件を解決するけれども、現実には上意下達の絶対原則で成立している警察組織では、組織としての面子や保身、個人的な感情などで理不尽なことが行われることも珍しくない。
    警察だけではなく、一般の企業などでも、組織の上位に位置するものほど、体面や保身を第一に考えてしまうものである。
    正常バイアスがかかるために、危機管理がおろそかになる。まさかそんなことは起こるまいとたかをくくってしまう。
    しかし、一方ではそういった組織としてのあり方にも当然必然性があるわけで、そのあたりを単純に描いていないところが、もどかしいけれども納得できる部分でもある。
    あの憎たらしい長谷川にしたって、決して悪者という扱いではないのだ。
    すべての人には、その人なりの正義や論理がある、と一口にいうけれども、それが本当はどういうことなのか、をじっくり考えさせてくれる。
    前作の「交渉人」の場合は、医療過誤に絡む様々な思惑を描いた。本作では、宗教を絡めた世界観について描いていて、犯人側の思想を描くことで、多様な価値観を提示していると思う。

    しかし、作者の思いは、島本の言葉にあるような気がする。
    「どんな動機があったにせよ、人は人を殺してはいかんのです」と島本は語る。単純な言葉なのだが、すべてはそこから始まるスタート地点の言葉だと思う。
    島本に関してはもう一つ好きな言葉があって、そりの合わない権藤警部について、「あの人のことは大嫌いだが、信じている」と言う。
    こういう考え方のできる島本はいいなと思う。

    交渉人シリーズを読み返してみて思ったのは、意外なほど、遠野麻衣子の印象が残らなかったなということだった(笑)。あまりに整っていて、あまりにきちんと不遇で、しかもそれを優等生的に受け止めてしまうから、感情移入しにくいのかもしれない。読者とはわがままで贅沢なものだな。

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著者プロフィール

1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌02年デビュー。以来、警察小説・青春小説・サスペンス・時代小説等、ジャンルにとらわれずに活躍中。

「2023年 『交渉人・遠野麻衣子 爆弾魔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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