萌える日本文学

著者 :
  • 幻冬舎
3.17
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本棚登録 : 82
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344014831

感想・レビュー・書評

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  • 妹萌えとか、なんとか萌えーとかで日本文学を分類。
    ブックガイドとして。
    あくまでも、こういうのがあってねーっていう紹介の域を出ていないけれど。

    ブックガイドのところ、読みやすさが☆で示されているんだけど(たぶん少ないほうが読みづらい)更級日記とかの古典と大江健三郎が共に☆ひとつだった。たしかにー。

  • 妹、姉、ツンデレ、メガネっこ…その萌属性ごとにさまざまな小説を紹介しているブックガイド。「萌属性」で女子を分けると今も昔もそれほどその数は変わらない。筆者曰く、「源氏物語」はエロゲーを先取りした萌え小説、らしい。ロリあり、ツンデレ、ヤンデレ、義母、近親相姦、もりだくさん。百合、少年、メイドに飽き足らず、腕、足、胸にまでいかんなく「萌え」を描き続けた川端康成は「萌え文学の帝王」だそうです。
    文学をそれだけで語るな、という気もしないでもないが、読み物としてはとても面白い。部類で分けるとこんなに単純になってしまうが、面白い話かどうかは「何を語るか」ではなく「どう語るか」で決まる。

    自然主義文学のさきがけと言われる田山花袋の「蒲団」に出てくる芳子はツンデレ。エリートながら、作家になりたいと寝言をいう恋人のために学校を退学。で、主人公、時雄は、芳子が派手な格好で男友達と遅くまで遊びにいったりするのを内心苦々しく思いながらも、そんな女学生がオレの話をじっと目を見て聞いてくれる!セックスがない二人の間にある魂の結びつき…というふうな萌え方をしております。芳子が他に男がいることがわかると、グレて大酒飲んだり、木の下で寝てみたりと、海外小説(当時はお洒落小説だったのでしょう)のまねをして自己陶酔。お洒落文学してる自分に萌え、ツンデレ芳子はそのための小道具、というのが時雄の特徴でもあります。
    ただ、木の下で寝てたつもりが目覚めたらトイレの中だった、とか、最終的には芳子の蒲団や寝間着のにおいにハアハアしながら号泣など、失笑を禁じえないエピソードを盛り込むことで、「萌え」で語るとするならば、「お洒落文学している俺」に萌えていたが、「ツンデレ女学生」にも「お洒落文学」にも萌えること自体を拒否られた哀れな中年の話というところでしょうか。
    これだけ萌え萌え言ってきたが、「萌え」という言葉がいまだにつかめない。

著者プロフィール

1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。

「2022年 『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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