- Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344021549
感想・レビュー・書評
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これまで様々なアニメなどに登場する建造物の見積もりを出してきた前田建設ファンタジー事業部。
本書で取り上げられているそんな彼らの見積もり対象は、機動戦士ガンダムに登場する連邦軍の秘密基地ジャブローです。
内容は2010年4月から2011年3月の1年間、株式会社サンライズが運営する「GUNDAM.INFO」と言うサイトで毎週連載された記事に加筆修正を加えたもので、500ページに及ぶ大著ですが、ファンタジー事業部の面々を中心とした人たちが、ガンダムネタを織り混ぜながらわいわいガヤガヤとやり取りしている体裁となっていますので、普段余り読書をしない方でも取っつきやすいのではないかと思います。
ガンダムをご覧になったことがある方はご存じでしょうが、一言にジャブローと言ってもその巨大さ。
それに加え、基地の全容を記した設定が存在しない中、事業部の面々が「どの様な経緯でジャブローのような施設が作られるようになったのか?」と言った架空の歴史を想定することから始まり、アニメのワンシーンにおいて、ジオン軍のモビルスーツ・アッガイの真上からのパンチによって爆発した連邦軍のドーム(本書ではアッガイドームと命名)を現代の技術で再現するには?と言った検討や、スペースコロニーのような循環型社会を成立させる条件の検討、ジオン軍のジャブロー侵攻トンネル作戦の土木工事と言う側面からの検討、ジム工場の見積もり、戦闘機発着施設の検討等が行われていました。
この様に多岐にわたる内容故、事業部メンバーだけでは解決できるはずもなく、ANA、コマツ、帝京大学等を訪問して様々な知恵を借りてくるのですが、それぞれの現場や専門家の知見等も興味深い内容でした。
結局、ジャブロー全体の見積もりは出来なかったのですが、出来なかった箇所(参謀本部ビル、ホワイトベース侵入口等)がなぜ出来なかったのと言った理由もきちんと解説されており、その点、納得のいく内容となっています。
最も本書を読めば、ジャブローの施設としてはそんなに目立った感じがしないであろうアッガイドームの見積もりにおいても、アニメと同じ感じで爆発するようにと様々な検討を重ねており、この施設でこれだけの検討を加える事になるのであれば、全体の見積もりができなくて当たり前と言った印象を受けるのではないでしょうか。
ファンタジー事業部メンバーのこだわりが随所に表れる本書。
時折、ガンダムネタにおいていかれそうになった箇所もありましたが、事業部メンバーや彼らに協力した外部の人々の本業でのこだわりや専門知識等、ぐいぐいと引き込まれていく内容が盛り沢山でした。
ガンダムファンはもちろん、それ以外の方でも「空想の建築物の見積もりってどうやるの?」と言った事などに興味をお感じになられれば、楽しめること間違いなしではないかと思います。
お時間のある時でも一読されてみてはいかがでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
土木にも建築にも、ガンダムにも詳しくないのですが、楽しく読めました。
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何故シリーズ3作目なのに、1・2作目と同じ体裁(文庫版)で出ないーっ!
しかも、同日発売なのに!! 解せぬ!!!
そこだけが不満。
穿った見方をすれば、出版社は「銀河鉄道」より「マジンガー」より、やはり「ガンダム」こそが市場の拡大…つまり、利益の向上をより狙えると踏んだ、ということですか、そうですか。
もし後日、文庫化するならば、こちらは職場用にするか。