わんダフル・デイズ

著者 :
  • 幻冬舎
3.72
  • (19)
  • (53)
  • (52)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 321
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344037427

作品紹介・あらすじ

『ルパンの娘』で話題の著者最新刊は、犬犬犬犬犬だらけ。

毛だらけで身も心もあたたまるハートウォーミングミステリNOワン!
犬と歩けば、謎にあたる。

「頑張りすぎてませんか。犬だって嫌なことがあったら吠えますよ」

生き物って、生きてるって、あたたかいね。

なんでもない日常がワン!ダフル

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 盲導犬訓練施設の<ハーネス多摩>に勤める新人訓練士の岸本歩美と先輩の訓練士、阿久津聡のまわりで起こった事件を歩美(ワトソン)と阿久津(ホームズ)が解決していく連作短編集です。

    歩美は「よっこい庄一」や「合点承知の助」などの昭和の親父ギャグが口癖の奈良県出身の27歳。
    阿久津は人間と話すことを避けていくうちに、犬と話すことができるようになった無口な超イケメン訓練士です。

    阿久津はパピーウォーカーの家まで訪ねて行ったり、犬を見ただけでいなくなった飼い主の行方がわかったり、殺人事件も解決してしまいます。
    そして最後は12年間務めた<ハーネス多摩>を阿久津が辞職したいといいだして、歩美はその理由を探り出しますが…。

    歩美が最後に言ったセリフが印象的でした。
    「視覚障害者が一頭の盲導犬とパートナーになる。それは奇跡なんです。私たちは奇跡を作るお手伝いをしているわけなんです」

    私の従姉の子どもが、パピーウォーカーを経て、どうしても犬に関わる仕事がしたくて盲導犬の訓練士になりましたが、犬好きにはたまらない仕事だと思います。

    犬への愛情溢れるハートフルな作品です。

  • 盲導犬にまつわる様々な事件を盲導犬訓練士の阿久津聡と研修生の岸本歩美が解き明かす連作集。

    『日本全国で稼働している盲導犬の数はおよそ千頭』という少なさで、そうそう事件が起こるという設定は難しいのでは?という私の心配は杞憂で、盲導犬ユーザーだけではなく盲導犬希望者、盲導犬に関わった人、そして訓練施設〈ハーネス多摩〉など範囲を拡げて無理なく展開させていた。

    最初は自宅に帰ると具合が悪くなる盲導犬や、駅に盲導犬を長時間待たせる盲導犬ユーザーなど、ちょっとした(盲導犬にとってはちょっとしたでは済まないのだが)謎解きだが、第三話では殺人事件が起きてしまう。

    段々不穏な方向に進んでいくのだが、そこを上手く引き込む魅力の一つはキャラクター。
    阿久津は犬とは話せるが、人とは上手く話せなず、歩美は関西出身で昭和ギャグを織り混ぜながら喋る押しの強さで、正反対ながらどちらもクセが強い。だが事件調査となると阿久津が無口ながらグイグイ引っ張り、聞き込みは歩美に任せるという良いコンビとなる。

    事件の結末も苦さの先に前向きな部分もあって安心出来た。
    最終話ではミステリアスな阿久津の秘密が明かされるのだが、個人的にはこの結末にモヤモヤとした。ネタバレになるので書けないが、謝るべき相手が違うのでは?と思ってしまった。たとえ受け入れられなくても。

    一つ印象的だったエピソードは、盲導犬はユーザーに視覚障害があることを認識しているのかという質問に対する歩美の考え。
    一般的に盲導犬はユーザーに視覚障害があるとは認識していない、というよりユーザーの指示に従い褒めてもらうのが嬉しい。だが中には頭が良いというか、感覚が優れた犬もいるのではないか。

    ユーザーである人間が十人十色であるように盲導犬も十犬十色。だからこそユーザーに合った盲導犬を育て上げたりマッチングするのは難しいのだが、マッチングすればこれ程心強い存在はないだろうし、犬側だけでなくユーザーである人間も寄り添っていければ良いと思う。

    また盲導犬はナビゲーションシステムではないというのも頷けた。盲導犬が目的地に連れていくのではなくユーザーの指示に従っているだけだし、危険な箇所や障害物があることをユーザーに知らせることはできても危険からユーザーを守ることは出来ない。
    盲導犬がいれば視覚障害者の危険や大変さが解決されるわけではないことを改めて知った。

    研修生からスタートした歩美が訓練士としてスタートを切れそうなところに至るところで終わった。シリーズ化しても良さそうだが、物騒な事件が次々起きて盲導犬に危険が迫るのは阿久津には耐えられないだろうし、日常系にシフトするなら良いかも知れない。

  • 盲導犬センターを舞台にした物語。
    視覚障がい者と盲導犬がからむ謎に、新米訓練士と、その指導係の訓練士が挑んでいくもの。
    指導係は犬の気持ちが分かって犬と話せて、でも人付き合いはとても悪いイケメンwと、いろいろ揃っていておもしろかった。
    一話一話の謎はすっきりしていて、読後感よく泣かされる。
    優しい気持ちになれる本だった。

  • 横関さんの最新作。

    ルパンの娘以降

    いつも 楽しみにしています。

    盲導犬。

    どっから こんな発想が出てくるのでしょうか。

    盲導犬について

    いろいろ 勉強になりました。

    今回の キーワードは

    愛人三号ですかね。

    読んだ人しか わかりませんね。

    横関さん 次回は どんなテーマか

    今から 楽しみです。

  • 盲導犬の訓練所を舞台にした連作ハートフルミステリーという感じでしょうか。
    殺人事件があったのが淋しいですね。
    せっかくハートフルな感じなのに。

  • 西多摩にある盲導犬訓練センターで働く訓練士の卵とその指導係が、盲導犬の飼い主が関わる事件や出来事の謎を解決していく話。

    街中で時々すれ違う盲導犬。雨の日も風の日も関係なく、健気に働く様子を見るといつも心を打たれる。混んだ電車で乗客に尻尾を踏まれて痛い思いをしても、声も上げないという話も以前読み、とてもやり切れなかった。

    本書ではその盲導犬(ラブラドール)が多く登場するが、視覚障害者の方々に優しく寄り添い、ハーネスを外せばリラックスして犬らしく喜んだりはしゃいだりする様子に触れ、心が和んだ。

  • 盲導犬訓練施設を舞台とした連作ミステリーで、
    事件や問題を解決していくのが、
    見習い訓練士の歩美と、
    犬と話せるというイケメン訓練士の阿久津。
    盲導犬とそのユーザーを取り巻く環境で
    起こる事件や問題を、訓練士が寄り添い、
    解決していくというストーリーが、
    独創的で温かみがあり、
    どのお話も凄く面白かった!
    そして時にホロっとしました。

    ***ネタバレ***
    第1章の盲導犬ジャックがハーネスを外され
    「よし。いいぞ、ジャック」と言われた瞬間、
    パピーウォーカーだった弘明にむかって
    飛び込んで行った場面が、
    笑顔とともに涙があふれ、1番印象的でした。

    阿久津が盲導犬訓練士となる経緯が、
    ちょっと悲しいものであったけど、
    まだまだ阿久津と歩美が盲導犬を訓練する姿と、
    事件を解決する様をみていたいので、
    続編があってほしいです!

  • 盲導犬訓練所を舞台にした6編の連作短編集。
    期待していた以上の面白さで一気読みでした。
    続編希望。

  • 盲導犬訓練センターで働く歩美(研修生)とイケメンの優秀な変わり者、阿久津が謎解きする物語。盲導犬の事も分かるし可愛いし、読みやすい。最後の阿久津の過去のお話は、ちょっとだけ物足りなさを感じたけど、続きもあれば読みたいなー。

  • 【収録作品】1 パピーウォーカー/2 ステーション/3 時計の針/4 ピーク/5 幸運な男/6 ランウェイ
     盲導犬訓練施設で働く訓練士・阿久津聡と研修生の岸本歩美が、盲導犬がらみの事件の謎を解く話。SNSの炎上やマスコミの過熱報道の愚を思う。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒。2010年『再会』で第56回江戸川乱歩賞を受賞。著書に『ルパンの娘』『ピエロがいる街』『沈黙のエール』『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』『グッバイ・ヒーロー』『炎上チャンピオン』『仮面の君に告ぐ』『いのちの人形』などがある。

「2023年 『ゴースト・ポリス・ストーリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横関大の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×