- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344037960
作品紹介・あらすじ
今日こそ……言うぞ!この一言を!!
――せっかく書い小説を誰にも読んでもらえない“売れない放送作家”の、笑いと切なさがクセになる、そして最後にジーンとくる、“ちょっとだけ成長”の物語。
放送作家の緒方は、長年の夢だったSF長編小説をついに書き上げた。
渾身の出来だが、彼が小説を書いていることは、誰も知らない。
――眠る妻の枕元に、原稿を置いた。気づいてもらえない。
――芸術家になった後輩を呼び出した。逆に、彼の作品の感想を求められる。
――仕事仲間のディレクターに的を絞った。仕事の悩みを相談される。
――初恋の女性から連絡がきた。お願いする前に、“お願い”された。
誰かに、読んでほしい。誰でもいいから、読んでほしい。読んでほしいだけなのに!
誰に会っても、自分の話を切り出せない。気づくと、相手の話を聞いてばかり。
はたして、この小説は、誰かに読んでもらえる日が来るのだろうか!?
笑いと切なさがクセになる、そして最後にジーンとくる。“ちょっとだけ成長”の物語。
感想・レビュー・書評
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まさにタイトル通り、読んでほしいと悩む内容の本。 ハラハラ・ドキドキ続きが読みたくてページが進むわけではなく、感動にむせび泣くでもなく、スキマ時間にちょこちょこ読んで、じれったくて、時にはくすっと笑っての本だった。
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「小説を書いたから読んでみてくれないか」
この一言が言い出せず、右往左往し懊悩する主人公の姿が、じれったくもユーモラスで、時に切ない。
10代は臆面も無く語れた夢や、剝き出しにできた承認欲求を、40代ではむやみに曝け出せないのだ。凄く分かる。
自分よりも他人の都合を優先しがちな主人公にとって、「読んでほしい」と言い出せないこの小説こそが、初めて明確に打ち立てた自分軸なのだろう。
置き忘れても、持て余しても、見失っても、ぶれずに自分を貫く難しさと、一筋の光明を見た気がした。
矢部太郎氏の装画も良い味を出している。 -
本を手に取った時は読者に言ってるのかと思ってたけど、タイトルの通りの内容だった。
それにしてもどれだけひと言が言えないのか。
でも、それだけ初めて書き下ろした渾身の本なんだろうな。途中なんか怪しい方向に向かったが、着地点は見えていた。で、どんな本なんだろ。
222冊目読了。