- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344038868
作品紹介・あらすじ
空腹を満たす為だけの食生活を送る人が増えているこの頃。
料理は実際に私たちが「存在している」ことを実感させてくれる、最良のセラピーです。
楽しく料理するためのポイントや心構えとは?
【目次抜粋】
序文 私たちはますます料理をしなくなっている
冷凍食品・レトルト・テイクアウトは、食を変えた
楽しく料理するために ほか
第一章 キッチン空間、キッチン道具、食器
人間工学的で使い易いキッチンの重要性
〝極めつけ〟のキッチン道具
有害な物質を高品質のものと交換する
最高の調理法
食器の数は少なく、でも自分らしいものを ほか
第二章 買い物、食品の保存方法
●買い物せずには自炊はできません
食品の賢い保存方法
●長期保存の乾物
●パントリーに必ずストックしておく食品
自炊費用と市販の調理済み食品の価格をくらべてみると ほか
第三章 レシピや手順よりもちょっとした調理の技術と即興の技
レシピ無しで作る料理
●遊び心と思いつきで作る料理
●失敗するのを恐れない
料理はメニューを決めることよりも組み合わせが肝心……
●ミニマムな食事の組み合わせ方法
●計画的な食事作りをしますか?
フライパンひとつで完成する一品料理
それでもレシピが必要と言う方に…… ほか
第四章 手順良く清潔に料理する喜び
手順よく料理する
いつも清潔なキッチン ほか
おしまいに 料理することは誰もが得られる小さな幸せ
感想・レビュー・書評
-
ぶれない世界観は好き。ちょっと今回は私としては、そこまでは、、、と引き気味で読む箇所もあったが、全体としての世界観は目指していきたいところ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドミニック・ ローホーさんの著書は、いつも豊かな気持ちにさせてくれる。物は少なく、良いものを賢く選び、工夫することで豊かな食生活が送れる。特別なお祝いのときには、キャンドルをともしたり、テーブルに花を飾ったり、手作りした料理に合わせたBGMなどを流したりして盛り上げてみるのも楽しい。
自分の生活スタイルに合った道具や食材を選び、大切な人たちと囲む食卓がいちばん! -
料理や食器に関するエッセイや物語からの引用、とりわけ松尾芭蕉の俳句が多く紹介されていて、それらを読むことも楽しかったです。ドミニックさんは日本に30年以上在住されていて、禅や水墨画を学んだことがあることが書かれていました。 なるほど、全体に漂う禅の修行のような、茶道のような侘び寂びの感覚みたいなものを感じるのも、そんな経験から来ているのかなあ、と納得しました。
-
難しく考えず気楽に楽しめる料理。少ない調理器具でシンプルに素材の味を楽しむ。ミニマム・クッキングのヒントが詰まった一冊。
著者はフランス人ではあるが、日本在住歴は30年以上。なので引用される文が、村上春樹から松尾芭蕉、小林一茶まで幅広い。最初ゴーストライターかと疑ってしまったほど。
キッチン空間、キッチン道具、食器に始まり、買い物、食品保存などのヒントからレシピにこだわらず即興で作れる調理の技術など。
全体を貫くのはとにかくシンプルなものが一番ということ。ついつい増えて年数回しか使わない器具でキッチンが散らかるより、最低限の器具でも大抵の料理はできるという。
調理法としては低温、無水料理を推奨。必要最小限の調味料で、野菜の蒸し焼きのような素材の風味と形を活かした調理。シンプルかつヘルシーな料理。
レシピなしでも簡単に作る料理の例として「二つ、三つの材料で料理する」というヒント。食材の一方がもう一方の味を引き立てる、たんぱく質と野菜の組み合わせ、人類古来からの料理の基本であるという。
おすすめの調理器具、食器、簡単なレシピや保存方法紹介されているが図版がないのがちょっと難点。
じっくり熟読してマニュアルにするより、さらっと読んでその中で自分に役立ちそうな内容だけ取捨選択して実行するのに良い。
健康志向も相まってシンプル・クッキングは最近の風潮か。多くの人に有用なヒントの詰まった一冊です。 -
ドミニック・ローホー著、原秋子訳『少ないもので料理する シンプルな台所で、ミニマム・クッキング』(幻冬舎、2021年)はミニマリストの料理生活を語る書籍。シンプルな道具を使ったシンプルな料理を推奨する。SDGs; Sustainable Development Goalsで合致する生き方である。
ミニマリストの生活は無駄な消費をしないことである。「無駄を出すことは恥ずかしいこと」である(181頁)。不要なものを捨てることを目的化した勘違いがあるが、それで新たな消費をするならば無駄である。消費をして金を循環させるという昭和の経済観念の否定になる。
食材の値段と味は比例しない。「トリュフ、オマールエビ、キャビア等の贅沢な食事はもちろん美味しいものです。でもじゃが芋や玉ねぎのグリルでも、実は唸るほど美味しくできます」(208頁)。リーズナブルな食材を美味しく食べる。
飽食を否定する。コース料理のアンチテーゼになる。「1食分が全部同じ皿に盛りつけられ、尚且つ美味しそうで、片付けも簡単とくれば文句なしです」。その究極の形式が「ボウル一つのリラックスとした食事」になる(113頁)。本書のファーストフードやジャンクフードと逆の立場であるが、ハンバーガーも炭水化物と蛋白質を同時に摂取する食事である。本書はピザやラーメンにも言及しており(130頁)、ジャンクフードを否定している訳ではない。
テレワークが料理を始める新たなきっかけになる可能性を指摘する(161頁)。テレワークはITを利用した新しい働き方であり、スローフードの提唱者の中には昭和の対面コミュニケーション至上主義を前面に出して頭ごなしに嫌悪する論調もある。その種の頭の固さは本書にはない。
巨大スーパーは余計なものを買ってしまう(160頁)。私も巨大すぎるスーパーは好きではない。売り場を歩くだけで疲れてしまう。
本書は料理を勧める。料理をすることは思考の整理になる。漫画『絶対可憐チルドレン』の皆本光一も料理で考えを整理していた。但し、凝った料理を勧めている訳ではない。最小限の手間暇で工夫を凝らした美味しい料理を目指す。テレビ番組にあるような情熱的な料理ではない(190頁)。あくまでシンプルな生活である。
本書は友人の以下の言葉を紹介する。「家でステーキを焼くことは滅多にありません。肉を焼く時の臭いに私が吐き気を催すからです」(260頁)。住宅地のバーベキューが近隣からバーベキュー公害と批判されるが、このような感覚もあるだろう。
本書の特徴は文学作品を豊富に引用していることである。村上春樹『ねじまき鳥のクロニクル』のエピソード(25頁以下)が印象に残った。主人公の岡田亨はハムとトマトのサンドイッチを作っている最中に電話が鳴るが、電話をとらない。電話で作業を中断されることを嫌ったためである。
電話は一方的に生活に侵入する迷惑なものである。電話ではなく、メールでコミュニケーションすることは大きな進歩である。メールは非同期で対応できるためである。ところが、メールを携帯メール中心で考えると、即座に返信することを強要するような風潮が出てくる。非同期の価値を損なうものであり、滑稽である。
岡倉覺三著、木下長宏訳『新訳 茶の本』は現代社会の問題点を「値段の高いものを欲しがり、洗練されたものを欲しがりません」と述べる。ここには価格が高いものが洗練されているとは限らないという前提がある。値段と価値は比例しない。 -
シンプルに料理をするのは、わかりやすいが、レシピ、食材があまり馴染みがないものばかりでちょっと残念