- Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344403772
作品紹介・あらすじ
医師からホームレスになった日高は、流れ着いた郊外の街で、連続殺人事件を調べることになる。そしてかつて、自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑うが……。感動の長篇ミステリ。
感想・レビュー・書評
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ずっと読みたくてやっと手に入れた本。
終盤、怒涛の展開に物足りなさを感じてしまい残念。
心が壊れた状態では分別もつかず、相手を慮る事は難しいのだろうが、親が子供に「産まなければ良かった」などという言葉をかけてしまうのは余りにもつらい。
それでは誰も救われない。
感受性の強い子なら尚更。
肉体を傷つける事、心を傷つける事。
このテーマは他の作家さんでも目の当たりにしたが、心と体は別物ではない。
どちらも大事なもの。
自分のものと同じように、他人のそれも大事なんだと気づく事が出来たら。
そして、自分の中の常識がいつでも正しいわけではないという事も。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
矢口敦子さんの有名作を読了。
過去に絶望しホームレスになった男。その男に幼少期命を救われた少年を中心に物語は進んでいく。
過去への贖罪。「心の殺人」を犯していまった男の苦悩と葛藤。そして彼の心の救いであった少年の凶行への疑いに、また苦悩して。その少年も心の闇を抱えてまた苦しんでいて。
精神や心の問題がこの作品のテーマかな。
ページ数もさることながら内容の濃い1冊でした。
最後逃げだした未来を取り戻しに向かう主人公の姿が救いだったかな。 -
1人のホームレスが昔助けた少年に会い、同時期に起こるいくつもの殺人事件と向き合っていく話。
読みやすかったけれど、特に心に残らないように感じた。 -
医師である日高は、息子の病死と妻の自殺をきっかけにホームレスになった。
かつて幼児の命を救った街で、その唯一の善行を心の支えにしていたが、15歳に成長した彼は殺人を犯している可能性がー。
自分が救わなければ、多くの命は奪われずに済んだのか。苦悩を抱えながら、事件の真相を追っていく。
解説にもありますが
「人の肉体を殺したら罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりにも不公平です。」
という一文がこの作品のテーマです。
個人的に非常に興味深いテーマなので、そういう理由もあって一気に読み進めました。
ミステリーとしてはまずまず、です。
犯人は読めましたが、悪くありませんでした。
ただ、テーマに対する答えが全くもって未熟というか、物足りないというか、ありきたりで、こんな答えしか提示できないなら、取り上げるテーマを変えるべきだな、と思いました。
他人の心を殺した人、
他人に心を殺された人が読んで、
がっかりしない答えが読みたかったです。 -
あまり期待していなかった為か読み始めたら面白くて早めに読めました。ミステリーじゃないと思ってたから余計に。
医者がホームレスになったとゆうのは現実的には無いと思うけど、最後まで読んでスッキリしました。 -
医者からホームレスになった主人公が、過去に命を救った少年が犯罪者なのではないかという疑問を追う。
主人公が過去を振り返る場面では、病院という職場の体質や医療ミスの話も出てくる。そのあたりもこの小説の面白さのひとつ。 -
息子と妻を亡くし、ホームレスになった優秀な脳外科医の日高が過去に命を助けた少年と出会う。その街で起こった殺人事件にかかわっている刑事と事件を追っていく。
「人の肉体を殺したら罰せられるけど、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりに不公平・・・・」他者の心を傷つけたらどのように裁かれるのか・・・・印象に残った言葉だ! -
お話は人生に挫折した元医師のホームレスが火災現場に居合わせる事から始まります。
一度は放火殺人の容疑者となった男は疑いが晴れた後、警察と連携を取りながらネグラとする都市で起こる殺人事件の謎を解明する。
キャラクターそれぞれの個性が立っていて非常にスムーズに読めました。
でも、タイトルの意味がイマイチ判らない。。。
ストーリーとしてはまずまず楽しめましたが、必然感の無いお話でした。
主人公のホームレスがある都市で起こる数件の殺人事件の真相に迫るのですが、、、
すべてがコンパクトに纏まりすぎです。
行く先々で人の話を聞き、また聞かれる人もスラスラと語る。
情報収集の拠点となる図書館でも都合良く重要人物に会える。
まるでTV-GAMEのロールプレイングをしているような感覚です。
もどかしさは一切ありませんが、出来すぎ感が残ります。 -
家族を失い浮浪者になった医者が主人公のミステリー。リアリティーがなく、人や情景の描写に奥行きもなく、長編で読み疲れた。