- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344418219
感想・レビュー・書評
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奥羽の戦国武将・伊達政宗の半生を描いた歴史小説。
オーソドックスな作りではあるが、仙台藩の国家老として重きをなした鈴木元信をフォーカスし、その分、政宗の傅役にして腹心の右腕である片倉景綱の影が薄いという点が珍しい。
女性陣は、政宗の母・妻・娘、それぞれの視点を通史的に挿入しているものの、ヒロインとしての比重は長女の五郎八姫が大きいと言える。
本書の焦点は、乱世における天下取りの野望以上に、南蛮人宣教師との交流や、慶長遣欧使節をはじめとする、政宗の対外政策にある。
広く海外に目を向けていた彼の展望が潰えた時こそ、最後の戦国の雄・独眼竜の存在意義が推移し、藩の施政者として完全にシフトする、一つの境界なのかもしれない。
終盤の、政宗の諦観と、元信のやりきれなさの擦れ違いがせつない。
尚、本書では、実弟・小次郎の手打ち事件は狂言とされ、生存説が採られているのも目を引く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伊達政宗の話。
私、政宗に関しては、仙台の人と言うことと、片目しかないってことくらいしか知らなかったけど、こんなにもすごい人だったなんて!!
家康に恐れられるほど豪胆だし、優しいし、意地っ張りだし。
とても魅力的な人でした。
まさか遣欧使まで送ってたなんて。
キリシタンのような、そうじゃないような。
不思議な人。
もっと詳しい話が読みたい。
そして次は、ちょくちょく出てきた、真田幸村の話も、読みたい!! -
全体としてはこれまでに出ている『伊達政宗物語』のひとつだけれど
これまでの作品がネタ元としてきた公式記録とされる文献たちに
率直な疑問を持ち、少し異なる描き方をしているところは面白い。
公式記録とされることにも事実と異なることは書いてあるだろうし
有名な人であればあるほど逸話や噂や史料も多いけれど、
本作においても結果として伊達政宗という人が人としても上に立つ者としても
本当にイケてる奴だったという事は少しも揺らいでいない。