事件現場清掃人が行く (幻冬舎アウトロー文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419438

感想・レビュー・書評

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  • 完璧に清掃することで
    事故物件に困った大家さん
    残された遺族の方々
    なにより 思いがけず
    亡くなってしまったご本人に
    安心してもらいたい という気持ちで
    誠実に仕事をされています
    現場清掃は現代の弔いの一つになりました
    これからの時代 孤独死は
    避けては通れないのですね

  • 前半は色々なケースについて語られ、後半は高江洲さんが特殊清掃の仕事に就くようになった経緯。

    前半については、今の社会の有り様から考えて孤独死や自殺は減っていくとは思えない。だれも孤独死しようと思ってそうなるわけではないけれど結果の周りへの波及は大きい。高齢化の中で何らかの対策が必要な部分であると思う。同じく、自殺の少なくなる社会を目指すことはとても重要と感じた。

    後半、真面目に生きているのに(まじめだからこそ?)食い物にされて借金を背負ったりと現実を見せつけられた。私にはこの後半は興味深かった。

    例えばコロナ禍では弱肉強食があからさまになる。余裕がなくなるとその個の本性がむき出しになる。勤め人はとりあえず会社という組織がクッションとなるけれど(影響がでるまでにタイムラグがある)自営業への影響はいきなり大きかった。
    なんでもあり、負けたのは弱いから…そんな社会であってほしくない。

    しかしそれとは別に藤原新也さんの「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。」という一文を思い出した。今までベールに包まれていた人の死というものが現代の日本でこのような形で姿をあらわした…そんな風にも思った。

  • 事件現場清掃人…自殺、事故、殺人、孤独死など、死んだ後の片づけと清掃を引き受ける清掃のお仕事。

    筆者は元料理人で、ひょんなことからこのお仕事を立ち上げることにしたという方。

    高級マンションで2年間発見されなかった遺体、孤独死したゴミ屋敷の老人、バスタブで亡くなってしまったおばあさんなどなど…

    窓ガラスにテープで「ゴメン」と遺書を残していた方の話や紙おむつをつけて迷惑が掛からないようにして自殺した方の話などはもう読んでいてて胸が苦しくなる

    著者の高江洲敦さんがこの仕事を決意したきっかけになった話がまた壮絶。(亡くなった息子さんの遺体から出た体液がアパートの床などを汚染してしまったために一人で掃除をしていたお母さんの話なんだけど、自分の息子が死んだこともつらいのに大家さんに怒鳴られて…)

    遺体に寄り添い、遺族に寄り添い、そして大家さんにも話を聞くという高江洲さん。
    人が近づきたがらない「死」の現場
    死と生は隣り合わせにある
    ということをあらためて考えさせてくれる本

  • 自殺や孤独死、事件のあった部屋を清掃する仕事に携わる著者。大変な仕事だ。でも絶対に必要な仕事。お一人様が増えている今、需要は増えると思われる。ピンピンコロリで死にたいと思うが、すぐ見つけてもらえないと迷惑がかかるんだなぁ。死後の始末で周りに迷惑をかけないとなると、やはり病院なのかも。

  • 『事故現場清掃人が行く』高江洲敦著 幻冬舎アウトロー文庫

    いわゆる特殊清掃に関するノンフィクション作品です
    特殊清掃とは簡単に言うと死んだあとの処理をする仕事であり、匂いをとったり、虫がわくこともあるのでそれを除去したりします
    この著者の高江洲さんもそのような現場で働いてきており、元々は料理人のようだったので最初は匂いに耐えられなかったと書いてます
    そのような現場の体験が記されているのですが、私が面白いと感じたのは孤独死に関する考察の部分です
    本当の孤独死というのものは関係がなくなってしまっている、つまり死んだあとも誰もその人の死を偲ばない
    それが本当の孤独死であると著者は言っています
    私は個人的に孤独死は孤立死ではないこともあるという風に読み取りました
    昨今自殺や孤独死が増えていくなかこの業種の需要は上がるでしょう
    一度読んでみても良いかもしれません

  • 自殺、孤独死、事故、殺人…
    死んだ人の後始末を1500件以上
    請け負ってきた著者が
    死者と向かい合い、遺族を慰め
    生と死を見つめたノンフィクション。

    「跡を消す」を読んで特殊清掃というものを
    きちんと知っておきたいと思い読みました。
    特殊清掃とは孤独死、変死、自殺等の
    現場清掃のことです。
    この仕事と向き合って続けていくには
    強固な信念と誠意、精神力がないと
    やっていけないと感じました。
    過酷そのものの仕事ですが
    孤独死の増える近年、更に必要とされて
    いくのでしょうね…

  • エピソードは凄まじいし、それに向かう筆者の真摯な態度、これを天職と思うまでの流れはそれぞれ得心する。
    本として一冊になった時に、全体に、弱い感じがするのはなぜだろうか。素人っぽい構成。

  • 事件現場清掃人という、あまり聞いた事がない職業。孤独死・事件・自殺などがあった物件の清掃をする職業のようだ。生半可な気持ちで読んだら著者である高江洲氏をはじめ、ご遺族やご遺体に失礼であると思ったので、無心で読んだ。現場の写真も無修正で掲載をされているため、これから読もうと思っている方はそれなりの覚悟が必要である。表現が失礼にあたるかもしれないがとてもグロテスク(生々しい)な写真もあるため、注意が必要である。

  • 表紙の著者の写真に、大げさだなぁと思っていたが
    「なるほど、大きな意味と責任があるのだな」と。
    【誰かがやらねばならない仕事があるのです。】という使命感。
    正直気持ちよく読める内容ではないけれど
    この職業に携わる方々に敬服します。

  • 思ったより怖くなく、すぐ読み終わった。
    最後の2枚の写真は目を背けたけど、、

  • 2018/12/5

  • 自殺、孤独死など、発見が遅れて腐敗・白骨化が進んでしまった遺体と家屋の現状復旧を行う特殊清掃業を営む著者が、これまでに出会ってきた悲惨な現場や特殊清掃業務の実態を書いた一冊。

    人間の死体が誰にも発見されぬまま時間が経過すると、どのようになるのかという描写は生々しく、筆舌に尽くしがたい。また、遺族は最愛の家族を亡くしつつ、同時にその現状復旧(死体から流れた体液は場合によっては住宅の基礎部分にまで染み込むことがあるという)を家主から求められ、二重の意味で辛い立場に置かれる。

    そうした現場を清掃し、最後は床に鼻をこすりつけて異臭が完全に取れていることを確認するところまで行うプロフェッショナルとしての著者の仕事ぶりは新鮮ながら、なるべくこうした死体が減ることを祈らざるを得ない。

  • 尊い仕事だと思う。

  • 事故物件というものに興味を持って読んでみましたけれども、なかなかの良本でした!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    著者のことはザ・ノンフィクションを見て存じ上げてましたけれども、いやはや…世の中にはたくさんの死があるんですなぁ…と思い知らされたような気がしています…。

    こうしてのほほんと毎日をやり過ごしている僕の隣で…誰かがひっそりと亡くなっている…みたいな事例も今後起きるかも分かりませんね!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    この本はもう一度読みたくなるような…凄惨な内容かもしれませんけれども、でも、現代人が目を背けてはならない現実がこの本にはあるような気がしてなりません…。

    近い将来、高齢化・単身化など様々な問題が「孤独死」となって顕現するに違いありません…事が起きてからパニックになるのではなく、事前の対策が必要な気がしてなりませんでした。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  •  某TV番組で、著者の濃い風貌からはじまり、その仕事内容の強烈さから鮮明に記憶に残っていた。その本を発見したので読んでみた。単なる興味だけで読み始めたが、濃い現場の話から、特殊清掃をどうビジネスとして立ち上げたか等、広範囲で面白い本だった。
     この仕事は自分には無理そうだ、と当初思ったが、読後、形は違うが同様のネタはいくつか思いついた。氏のようなバイタリティで、トライする手はあるな、とかようわからん想像をしたり、と薄手ながら興奮できる本でよかった。

  • けっこうすさまじい感じはするのだが、さすがに死者に配慮して誠実っぽい書き方がされているので、「衝撃映像どーんと見せます」みたいなトーンではない。
    いやまあ、こういう職業は必要だろうし、今後さらに需要が増すだろうねえ。

  • ビニールシート敷いてオムツまでして周りに迷惑かけずに自殺した人の気持ちを想像すると……(でもそれでも大家さんには迷惑なんだろうけど)

  • 畳やリビングに染みつく死体からの体液。ある意味、おそらく生きている人の誰の心にも記憶されていないであろう孤独死した人物が最期に刻印した自分の影。
    その床に染みついた刻印と、死者が遺した自分の物証たる遺品の数々を始末する業者。
    メンタル、やられそうだよなぁ。だが今後さらに必要とされる仕事であろうということが、将来への寂寥感を掻き立てられました。

  • 人の体液や血液のしみ込んだ畳の写真に最初から面食らってしまった。ところどころ吐き気を抑えながら一気に読んだ、弱い自分。

  • 今日、インタビューに行くために読んだ本。

    インタビューをしてみて、ただ単に適当に天職という言葉を使っているわけではないことが分かった。本当に人の死に、仕事という関わり方ではなく、志事という感じで関わっている。そして、そこで出会う故人の生と死を反芻しながら、それを糧に自分にできることを問い、生きて行っている感じがした。

    最後に彼が、遺品整理をしながら、頭の中に流れる宇多田と話してくれた、松山千春 生命を紹介しておく。
    http://www.uta-net.com/song/24304/

    ちなみにこれは余談だが、久々に彼のような凄みを感じさせる人間に会った。醸し出される経験の差のようなもの。それも甘っちょろいものではなくて、死線を越えてきたような経験の差のような。自分は死線なんて踏んだこともないけど、そんなものを感じさせる人だった。それは日々人の死に触れている仕事をしているからなのか、そこから生まれる仕事に対する情熱なのか、その正体まではよくわからないが、普段初対面の人と会っても緊張しない自分が、とても緊張しっぱなしだった。

    【めも】
    孤独死は、一人で死ぬとか死なないとかではなく。その死を悲しむ人間がいるかいないかという事。
    今の世の中に必要なのは、必要とされいている感覚。愛の表現の形は色々であって、自分に厳しく、もしくは冷たく接してきても、少なくとも、自分は、両親という二人の愛の結晶として生まれたということをどんな時も忘れないということ大事。
    たるを知るということができれば、その人の人生は幸せ。
    人を救うには、金を作る。そのために力をつけなければいけない。
    結局は何人を感動させられるかという所に尽きる。
    仕事はつらいということはない。匂いにも作業にも慣れてくる。そして、なれというものがないものに、遺品整理の仕事があが、しっかりとその個人の遺品整理をして感情移入していると百人百様の人生がある。彼らの気持ちを考えると、彼らの分まで生きなければという気持ちと、こうなってしまう人たちを減らしたいいう気持ちがわいてくる。そうすると、じゃあ自分は何ができるのかを問えるようになる。そして、そこから爆発的なエネルギーが出る。今はそのエネルギーを経営に向けている。
    苦しいというのは自分の本来の性質を我慢しているサインでもある。大変(だけど楽しい・夢中になってしまう)事にフォーカスして生きていくべし。

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著者プロフィール

1971年沖縄生まれ。料理人、内装業者、リフォーム会社等を経て自殺・孤独死・殺人現場などを扱う「事件現場清掃会社」を設立。2010年に、その知られざる事故現場のエピソードを紹介した『事件現場清掃人が行く』(飛鳥新社)を発刊。孤独死をなくすことを自らの使命に課し、きょうも精力的に活動を続けている。

「2020年 『事件現場清掃人 死と生を看取る者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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