居酒屋お夏 六 きつねの嫁 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425675

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  • きつねの嫁 ー 居酒屋お夏シリーズの6作目

    2017.01発行。 文字の大きさは、中。
    梅干し婆ァ、きつねの嫁、干柿、しらすおろしの短編4話。

    2話目のきつねの嫁は、元纏持ちの三次が好物の油揚げが、きっかけで人生が変わる。
    三次は、火消しとしては花形の纏持であったが、火事場で纏を持ったまま屋根から落ち纏を折ってしまう。
    言い訳もせず火消しを止め、その後は、ケンカが絶えず身を持ち崩していたが。毎朝、好物の油揚げを女ながら、棒手振りをするおこんから買っていた。そのおり三次は、おこんと二言三言言葉を交わしいた。

    たまたま、三次が外に出た時におこんと会い話すうち、お互い相手を思い合っている事に気が付き。
    また、おこんは「わたしは生きているのだ。生かしてもらっているのだ。だからきっといつか好いことがあるんだって気になるのよ」言う。
    そう言われても、三次は、火消しを止めてからケンカに明け暮れ、自身に自信を持てず疫病神と思っている自分が、おこんと所帯を持つ事にためらっていた。

    そんなとき、お夏の居酒屋で客の吉蔵が三次に、三次さんはあの時言い訳もせず潔く火消しを止めた事を知り、私も言い訳をせず仕事に励んだら全てが上手く行ったのでお礼を言いたいという。
    三次は、自分のした事が人のためになった事に気が付き、自信を取り戻す。
    三次とおこんは、その後……

  • 著者、岡本さとるさん。
    ウィキペディアには、次のように紹介されている。

    岡本 さとる(おかもと さとる、1961年 - )は、日本の小説家、脚本家、演出家。本名、岡本智。

    大阪市出身。立命館大学産業社会学部卒業。松竹勤務を経て脚本家・演出家となる。現在は主にテレビドラマ『必殺仕事人2009』『水戸黄門』シリーズなどの時代劇テレビドラマの脚本を手がける。またドラキュラが関ヶ原に登場する奇想天外な時代劇ロマンス「愛、時をこえて関ヶ原異聞」をはじめとする舞台脚本も多数執筆、演出も手がける。2010年より時代小説も手がけている。

    今回手にした、『居酒屋お夏 六』。
    全4話が書かれており、それは、次のとおり。

    第一話、梅干し婆ァ
    第二話、きつねの嫁
    第三話、干柿
    第四話、しらすおろし

    そして、登場人物メモ。

    ・相模屋長右衛門(ちょうえもん)---お夏の父。
    ・お豊(おとよ)---お夏の母。
    ・鶴吉(つるきち)---廻り髪結。
    ・八兵衛(はちべい)---船宿「伊勢や」の船頭。相模屋で力仕事をこなしていた。
    ・河瀬庄兵衛(かわせしょうべえ)---目黒不動前に庵を構え、絵師として暮らす。一刀流の遣い手。

    ・不動の龍五郎---目黒不動門前の口入れ屋。
    ・政吉(まさきち)---龍五郎の乾分で番頭。
    ・千吉(せんきち)---若い衆。
    ・長助(ちょうすけ)---若い衆。

    ・小椋市兵衛---母・お豊を切り捨てた、お夏にとっての仇敵。
    ・菅山大三郎---お豊を無礼討ちにした。

    ・お春---目黒不動門前の仏具屋「真光堂」の後家。
    ・徳之助(とくのすけ)---お春の息子。

    ・車力の為吉(ためきち)---居酒屋の常連。
    ・米搗きの乙次郎(こめつきのおとじろう)---居酒屋の常連。

    ・牛頭の五郎蔵(ごずのごろぞう)---高齢。品川、高輪界隈に隠然たる力を持つ、香具師の元締。品川の旅籠「さくらや」の主。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    活気溢れるお夏の居酒屋の片隅で、静かに油揚げを食べるその男は、過去のしくじりに縛られていた。そんな男の日常にも、変化の風は吹く。恋心というには淡すぎる、ある女への慕情。だが、その女もまた運命に翻弄されながら生きてきたのだった。傷つきながらも健気に生きてきた二人は、お夏のさりげない尽力で結ばれるのか?心洗われる第六弾。

    平成29年10月14日~17日

  • お夏と清次の店が近くにあれば、なんとかやっていける気がする。

    お夏の周りで起きる色恋や所帯を持つ話は
    何も引っかからずに読めるんだよなぁ

    ---
    ・「きつねの兄さんの女房がおこんとは、よくできた話だね」(p.162)
    ・男には、女房に言えない屈託のひとつやふたつ、必ずあるものだと、亡くなった平吉が言っていたことがある。「そんな時は、まあ放っておくんだな。何も気にしていねぇように見せるのが、亭主への何よりの気遣いってもんさ」…「いい男がくよくよするんじゃあないよ。こっちの気持ちまで悪くなってくるってもんだ。つべこべ言えるご身分でもあるまいしさあ」(p.280)

  • 2021.03.09

  • お夏さんは、あっぱれの仕事をするなぁ。

  • 収録作品:梅干し婆ァ きつねの嫁 干柿 しらすおろし

  • 2017.5.9

  • 岡本さとるさんの「居酒屋お夏(六)きつねの嫁」(2017.1)、快調ですw。梅干し婆ァ、きつねの嫁、干柿、しらすおろしの4話。1話で1冊の価値、4話で4つの料理が楽しめます! 迷いなく先へ進もうとする女と違って、とかく男は戸惑い後ろばかりを振り返りたくなる。岡本さとるさんの名調子です。油揚げの好きな孤独な30過ぎの三次と豆腐売りの姉さんおこんがお夏の店で心を開き始める~。「きつねの嫁」、特に良かったです。たまらないです(^-^) 読後、油揚げの料理としらすおろしが無性に食べたくなりますw。

  • 201702/話を重ねるごとに面白味も増してきて楽しみなシリーズ。岡本さとるの書く男性キャラの男気、グッとくる。

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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