新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426931

感想・レビュー・書評

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  • R2.7.5 読了。

     学校で教えられてきた道徳に対して、特に何の疑問も持たなかったが、たけしさんは道徳の教科書に突っ込みどころ満載と言っているあたりがさすがだなと思います。本書で述べられていることはたけしさん個人の感想としながらも、「そのとおりですね。」と思ってしまうことばかり(私個人の感想)。

    ・「夢なんてかなえなくても、この世に生まれて、生きて、死んでいくだけで、人生は大成功だ。」
    ・「悩まない人間は、人の悩みも理解しない。」
    ・「自分は何もわからないってことがわかると、人間は謙虚になる。」
    ・「人間関係というのものは、それがたとえどんなに限られた相手であっても、ある程度のマナーや道徳が共有されていないと成立しない。」
    ・「道徳を身につけるのは、人生を生きやすくするためなのだ。」
    ・「人間は一人ひとりみんな違う。自分とは違う人間で世界は成り立っている。」
    ・「友だちを助けるのは、いつか自分が助けてもらうためではない。友だちが好きだから、助けるだけのことだ。友だちを助けることで自分に不利益をこうむったとしても、それでも助ける。それが本当の友だちってものだ。」
    ・「道徳教育で教えるべきなのは、むしろ無理して友だちなんて作らなくても、人は十分に幸せに生きていけるということだ。恋人がそうであるように、友だちは誰かに強制されて作るものじゃない。」
    ・「人生の目的を探すんじゃなくて、自分が一生夢中になれるものを見つけるのだ。」
    ・「自分なりの道徳とはつまり、自分がどう生きるかという原則だ。昔の人にはそれがあった。道徳なんて言葉は使わなかったけれど、自分の哲学で自分の行動を律していた。今の大人たちの性根が据わっていないのは、道徳を人まかせにしているからだ。それは、自分の人生を人まかせにするってことだと思う。」
    ・「守ることが出来るかどうかわからない道徳を抱えて生きるよりも、自分なりに筋の通った道徳を作って、それをきっちり守った方がいい。」
    ・「相手の言うことにも理があると気づくこと、自分が間違っている可能性を検討することだ。」
    ・「『メメント・モリ』という警句がある。ラテン語で、『死を忘れるな』という意味だそうだ。忘れちゃいけないのは、他人の死じゃない。自分の死だ。人は必ず死ぬ。こんなにたしかなことはない。それをわざわざ忘れるなっていうのは、簡単に忘れてしまうからだろう。」
    ・「死を目の当たりにすれば、誰もが自分の死について考える。死を考えることは、生について考えることだ。」
     

  • 道徳なんて時代と共に変わる。大人が道徳として何を教えるか、なぜ教えるか、を考えることが大切。いざ教える立場になると、困ることばかり。

  • 子供の頃に受けた道徳の授業を思い返しながら読みました。一方的に教えられる「道徳」への武さんの鋭い見方が書かれています。いいことをする、道徳的な行為をするって、自己満足につながることが多いですよね。少なくとも私はそうです。いい事したな〜と酔い知れてしまったり。でも世の中には自己満足とは関係なくとっさに利他行動を取れる人たちがいるのも知っている。いろいろ考えさせられました。

  • タケシさんなりの切り口で、私たちが受けてきた道徳を批判している一冊。あんなに言われたら、道徳の授業するの怖くなる。言っていることはすごく共感する。

  •  我が師の1人による、またまた独特のタイトル本。結論として「手前で考えろ、本気で」に尽きる。全体の半分くらいの主張に対して、その通り!と思い、30%ほど、それはちゃうんでは?と思い、残りはうーむわからん、という感想。レンジがかなり広いため、うなってしまう場面多し。語り口がまたすっきりしているため(これは随分と変化した)すんなり頭に入っては来るが、油断するとすぐ抜ける。中々に癖がある。
     それが氏ならではであります。

  • ちょっと前の「話題の本」。
    文庫化されてたので、買ってみた。

    「はじめに」にて筆者自らが述べているように、他人の考えを鵜呑みにする人は読まない方が良さそう。

    そういう人が読んでは、第1章での、屁理屈こねまわしのような、現行制度の上げ足取りの連続のような文章に感化され、わかったような気で批判を持つだけになってしまうだろう。

    かなり辛口な「道徳」教科書の批判から始まる本作だが、そこには北野さんの、現代日本への痛烈な皮肉と日本の将来を担う子供達への深い愛情が感じられた。

    豚肉の例に例えて語られた…
    「『考える習慣』をつけてやること以上の道徳教育はない」

    結論として述べられた…
    「いちばん大切なのは、本音で話すこと」
    ・・・マナーはマナー、技術は技術でしかない。でも、生きていく上で必要だから伝えなければならない。ならば、道徳とかいう建前は一度置き、本音でそれを伝えてみよう、と。

    そして…
    「まず大人が自分の頭で考えること」

    この3つが、心に残った。

    ★3つ、7ポイント。
    2018.01.24.新。

  • たけしが小学校の道徳の教科書に突っ込みを入れる形で始まる著書ですが、なかなか深いことが書いてあります。
    確かに道徳って、考えようによっては人に押し付けるのは危険だと思いました。自分なりのルールがあればそれが道徳というのは説得力があります。
    なんにも考えていないのがまずいんですよね。

  • 道徳とは、自分の生き方。
    そこに関しては全く同じ考えだけど、半分共感できて、半分自分のこだわりを正当化している感じ。
    ビートたけしは大好きだけど、やはり本となるとそうなってしまう。
    新書にありがちな最初はすごく読みやすいが、後半は徐々に戦争や社会問題に発展して、んー。なところも若干。

  • タリーズにて読了。
    なんでも良いから軽い本が読みたくて、新刊コーナーからチョイス。
    1時間半くらいで駆け足で読みきりました。

    (ここからネタバレあり)
    「清貧」こそが美しいという道徳的価値観が強かった時代に芸人を目指し、大成し、地位も権力も手に入れた北野武さんの生い立ちをイメージしながら読みました。

    前提として、道徳っていうのは都合が良い言葉で、法律的強制力は持たないものの、身の回りのコミニュティを上手く回すための統一的価値観。(←ウンウン)

    日本は経済復興をとげ、土地バブル、IT革命などの社会環境変化の中で世の中が正しいとする価値観も少しずつ変化していく事を、真っ只中で感じていた彼だからこその道徳(=社会が求める価値観)に対する考え方。

    道徳観と現実との呵責に悩んでる人は大勢いるかと思います。

    が!

    意外に道徳なんてものは、その時その時で変わっていく変動要素が高いもの。
    だ道徳の逆側面や副作用を検討せずに与えられた事を素直に取り入れて邁進することは簡単だけども、その結果が正しいとも限らない。

    道徳遵守をあまりガチガチに縛られなくてオッケー!道徳自体が変わったり、そもそも矛盾してる事も多々あるからね!自分の感覚、頭で考えたとおりに行動すれば大丈夫(^^)

    と、言うことを清貧時代の常識から外れて大成功ひたビートたけしさんがおっしゃっているので心強くなる。

    面白い事例もいくつかあってナルホドー!と思ったけど、ネタバレさせちゃ勿体無いので、読んでからのお楽しみで★

    ところで、私の親も70近くてビートたけし世代だから、本当に清貧をすりこまれたなーー。
    奨学金かりて国立大でて現在公務員。
    愚痴や不満はありつつも何とか頑張れるのは子供の頃に叩き込まれた清貧道徳があるからなのかもしれない。

    これから、いろんな経験を積んで、吸収して、私なりの道徳基準を見つけていこうとおもった。
    いじょう!!

  • 食料危機とか…これから本当に来るっぽいことが書かれていて慄然としました…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まるで平和ボケ真っただ中な僕の頭ン中…たけしさんに喝を入れてもらったやうな気が致しました…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    そうですねぇ…ここ最近は「生きている実感」なんて感じず、ただダラダラと、時の赴くままに生きているような気がしてなりません…それはやっぱし「死」というものが遠くなってしまった現代人だからなのかもしれません!

    もっと死を身近なものとして感じましょう!! と言ってもなかなか難しい世の中ですねぇ…死体をテレビに映すのはNGなんだそうです…そうなんだ! 初めて知りましたねぇ…。

    まあ、そんなアレでこれから生きて行かなくてはならぬ子供たちに向けて、いや、子供たちと向き合う大人に対してかな、色々と一家言あるたけしさんが色々と書かれている本です…でした…(?)。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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