真夜中の底で君を待つ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344431324

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • 大好きな汐見先生の本。

    高校時代の孤独を感じていたときや、受験勉強のときに本に書かれた言葉に助けられたことを思い出した。
    本を読むことによって、現実の行き詰まりの解決策を見いだせたり、心が救われたりした。言葉によって人を傷つけてしまうこともあるけれど、私は言葉によって人を救えるような人になりたい。
    また、言葉だけでなく行動によって人を笑顔にできるように心がける。

  • 面白かったです

  • 自分も更紗と同じで、思っていることを言葉にすることがあまり得意ではない。

    人に怒られているとき、心では様々な感情や相手に言い返したいことが溢れ出てくるのに、実際には
    口に出さず、黙って気持ちを押し殺してしまっている。

    また、焦ったり不安になると涙が出てきて止まらなくなる。なんで泣いているのと聞かれたときにも
    答えは心の中で決まっているのに口に出すのが難しく、時間がすぎるのを待つことしかできない。

    「思っていることは言葉にしないと伝わらない」と親によく言われるが、確かに言葉にしないと相手には伝わらないし、自分の気持ちをわかってもらえないけど、まず言葉にすることにすごく勇気がいるし、自分の気持ちを言葉で表現するってことに難しさを感じる。

    でも時には自分から発言したり声をかけることで同じ思いをしている人を見つけられたり、人との関わりがうまく行ったりする。
    相手にとってはちょっとしたことでも自分にとっては心の支えになるくらい助けられたり、その経験を活かして他の人を救うことだってできる。

    言葉は常に自分達の周りにあって、心を温めてくれるような良いこともある反面、この本の主人公2人の過去みたいに心に深く刺さって抜けないような凶暴な矢にもなる。

    実際に自分も心が痛めつけられたことはあるし、無意識に人を傷つけていることも少なくともあると思う。人間関係に悩みはつきものだし、語弊や誤解をうんだりすることも多々あるけど、そのまんまにして後悔したり、ずっと考えるより言葉にして正したり伝えるほうがよっぽどいいと思う。

    勇気を出して伝えたのに思った通りにならないことだってあると思うけど、言葉にできたことってすごいし心に少しだけ余裕ができるから、たまには思い切ることも大事だなと考えさせられた作品でした。
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    これは他の人にも言っているけど、1番はこれからの自分に向けて書いたことなのでそこまで深く考えないで下さい。

    最後まで読んでくれた人はありがとうございます。
    長文になってしまい申し訳ございませんでした。


  • 他の作品とは違う良さが出ていると思いました。汐見さんにしか出せない表現がとても好きです。汐見さんの作品がお好きな方にオススメします!

  • やり場のない感情
    彼女と僕の飢えた愛を互いに求め合う姿がとても美しい作品でした

  • 黒縁さんが出てきて、ああこの人が多分汐見さんなんだろうとおもった。何も知らないから何も言えないけど、きっとそうやってこの人も言葉を紡いできたんだろうなと
    高校生みたいな本だったな

  • 人にどう自分の思いを伝えたらいいのかわからない。
    学校でもバイト先でも、そして一緒に暮らしている父親とも会話の無いすれちがいの生活
    辛いことがあった日は秘密のおまじないで紛らわす日々の中
    バイト先の喫茶店の常連客「黒緑さん」と少しずつ会話をかわすようになる。決しておしゃべりが得意でない二人のゆったりとしたテンポの会話。その短時間が心地よい、
    家族がバラバラになった悲しみ、捨てられる恐怖を抱える更紗。一方一見優しくて穏やかな余裕のある大人の「黒緑さん」も家族関係で辛い傷を抱えていて。そんな二人が初めて出会った日の出来事もあきらかとなり、彼らの縁を信じずにはいられない

  • 深呼吸して、とんとんとん。
    深く息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。
    目を瞑ったまま、軽く握った手で傍らの机に触れ、そっとノックをするように三回叩く。
    悪いことが起こりませんように。
    何もかもうまくいきますように。
    たくさんの幸せが訪れますように。
    大丈夫、大丈夫。
    もう何も怖くない。
    もう何百回、何千回と繰り返してきたから、おまじないの言葉は、まるで息をするようにすらすらと出てくる。
    こんなおまじない、効果なんてない。
    祈りも励ましも、意味なんてない。
    そう分かっているのに、気がつくと私はいつも、誰もいない部屋の片隅で、ひとり机を叩いている。

    読書感想文なんてね、そんなに気負わなくていいんですよ。
    美味しいお店を見つけたり、面白い映画を観たりしたとき、みなさんSNSに感想を書いたりするでしょう。
    とっても良かったから、友達におすすめしたい、という純粋な気持ちで。
    読書感想文というのは本来そういうものと同じで、自分が気に入った本を友達に紹介するようなものです。
    食べ物や映画みたいに、自分の好きな物を誰かに推薦するつもりで分かりやすく丁寧に、でも何より思ったことを素直に、書けばいいんですよ。

    大丈夫かと訊かれると、大丈夫と答えてしまいますよね。
    どうして人は、本当は全然大丈夫じゃなくても、大丈夫だと言ってしまうんでしょうね。

    たいていのことは、言語化してしまえば随分すっきりするんじゃないかなあ、と僕は思います。
    自分の中のもやもやした思いを、言葉にしてみるんです。
    そうすると、もやもやが形になる。
    ぼんやり広がっていたものが少し小さく固まって、そのぶん頭がすっきりして、気持ちが落ち着いてきて、見える景色が広がるんです。
    そうしたら、今まで全く気がつかなかった解決策が見えてくることもあります。

    悩み事というのは、よく分からないままで心に溜め込んでいるのが、いちばん良くないんじゃないかなと、僕は勝手に思っています。
    だから、言葉にして、形を与えて、見やすく、とらえやすくするんです。
    誰かに話す必要は必ずしもありません。
    自分の中で言語化するだけでも、随分違うはずです。
    形のない正体不明のものよりは、形あるもの、はっきり姿が見えるもののほうが、対処しやすいからです。

    私は話すのがうまくないので、なんていうか…変な言い方をして、相手に嫌な思いをさせちゃったり、傷つけちゃったりするのが怖いんです。
    だから、黙ってたほうがいいかなって思って、余計なことは言わないようにしてます。

    言えなかった言葉や、飲み込んだ言葉が、あなたの胸の中には、溢れそうなくらい溜まっているんじゃないでしょうか。

    気持ちを言葉にするって簡単じゃないですよね。
    でも、「言葉の力」というものがあると思うんです。
    自分の感情を的確に表現したり、それを相手にちゃんと伝えたりする力、と言えばいいでしょうか。
    たとえば「なんかもやもやする」では、自分を悩ませているものを形にすることができません。
    そうすると、自分の気持ちとは違う解釈をされて、全く望んでいないことをされたり言われたりしてしまうかもしれない。
    だから、なるべく自分の思いを正確に言語化できるように、本を読んだり映画を観たり人と話したりして、たくさんの言葉を浴びて、たくさんの言葉を覚える必要があるんだと、僕は思っています。

    これまで生きてきて、誰かから言われたことが胸に突き刺さって抜けないことは数え切れないほどあったし、逆に誰かの胸に剣を突き立ててしまったこともきっとたくさんあった。
    そのせいで、たくさん失敗したから、言葉は怖いと思うし、あえて言葉にすることを避けてきた。

    私いつも格好つけて、平気なふりというか、大丈夫なふりをしちゃうので…
    それって、相手にばれたらいちばん格好悪いことだよなって、ちょうど最近考えてたところだったので。

    僕は言葉に対する向き合い方に真摯さが足りなかったのだと、思い知らされました。
    自分とは違う背景や考え方、感じ方をもつ他人の立場に立って考えることができていなかった。
    全く悪意のない、希望や祈りを込めた言葉でも、誰かを傷つけることがあると、分かっていなかったんです…。

    大人だって、悩んで苦しんで、誰かを羨んで自己嫌悪に陥って、格好悪く足掻いてばかりです。

    小説は消費されるものだ。
    後世に残り古典となっていく一部の作品を除いて、僕の作品のような有象無象は、消費される一時的な娯楽だ。
    何度も読み返されることはほとんどない。
    一度読んだら終わりで、十日も経てば内容すら忘れられているかもしれない。
    新刊が出るたびに買ってくれていた読者も、みないつかは卒業していく。
    それでも全くかまわない。
    ただ、僕の小説を読んでくれた誰が、何年も先の遠い未来でも言い、いつかどこかで、悲しみや苦しみを抱えているときに、僕の言葉を思い出して、それが一筋の光になって、その心をほんの少し、ほんの一瞬でも温かくすることができたら、それ以上に幸せなことはない。

    僕にはまだ語れる言葉がある。
    語りたい言葉が、語らなくてはいけない言葉がある。

  • 言葉は自分を守る盾にもなるし、誰かを傷つける槍にもなる。
    傷つけるから、心配掛けるから言わないって封じ込めた言葉たち。
    思い切って言ってみたら、案外相手は全然違うことを考えていたり気にしていなかったり様々なことが多い。
    更紗が自分に対して抱いていたマイナスな考えは、自己完結した思い込みで(言い方は悪いですが…)周りは一つ一つの丁寧な言動をちゃんと見てくれていた。

    周りは自己完結した評価とは当然別軸で自分のことを評価してくる。
    自分は周りの人が普段どんなことをしているか知らないからそれを評価することはできない。でもその人たちと過ごした時間から仕事を放棄しないのを知ってるから、落ち込んでても「大丈夫、なんとかなる」って言うことができる。
    自分の中でこのことを言語化することができなかったけどこの本を読んで確信を得た気がします。

    作中には、自分が内々に思っていることをちゃんと伝えることの大切さがこれでもかと出てきますね。
    言いたいことがなかなか言えない時には読み返したいなとおもいます。
    更紗がお母さんにもう一度連絡して、どうなるかが気になってちょっとモヤモヤしたなぁ…。
    成長の物語だから『電話しようと思う』で確かに完結できるからおかしい!!と批判するつもりはないんですがあったら良かったな〜って思いました。
    長文失礼します。

  • 二人の関係は、これからどうなるの?
    発展を期待して良いの?

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著者プロフィール

鹿児島県出身、愛知県在住。高校国語教師としての経験をもとに、悩み疲れた心を解きほぐす作品を目指して、日々執筆活動をしている。代表作となった『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(スターツ出版)が、様々な年代の共感を呼び、現在最も注目される作家。他に『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』『ないものねだりの君に光の花束を』などがある。

「2023年 『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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