旧かなづかひで書く日本語 (幻冬舎新書 は 1-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.24
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本棚登録 : 145
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980471

作品紹介・あらすじ

私たちが日頃使う「新かなづかい」は、ほんの六十年ほど前に制定されました。それまで日本人に使われてきたのは「旧かなづかい」。歴史の中で長い時間をかけて洗練された旧かなは、合理的で美しい。また語源や意味も正確に伝わり、実は新かなよりはるかに使い勝手がいい表記法です。「このあひだはありがたう」「では七時に会ひませう」「きのふから雨が降つてゐる」-ふだんの手紙や日記を旧かなで書いて、あなたも日本語の美しさを味わってみませんか。言葉が心にしみ入ります。

感想・レビュー・書評

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  •  旧仮名は素晴らしい,現代日本語も是非とも旧仮名で書くべしという珍奇な主張。戦後のドサクサで表音的な現代仮名遣いが導入されたのは確かだが,すでに定着して久しいわけで,まったく現実的でない。
     国語の歴史については前々から興味があったし,気持ちは分かるのだが,随分と言い方が下品だ。歴史的に「正しい」旧仮名遣いが圧倒的に優れているとして,現代仮名遣いはまるでダメ,あんなので「美しい日本語」を書くことはできない,みたいに口をきわめて罵る始末。
     新仮名にされた『山月記』は「ただただ醜い模造品であり偽装文にすぎ」ず,「これほど露骨な偽造文書を、ホンモノであるかに偽つて若者に売りつけ、しかも授業料を徴収したりすのは、非教育であるのみならず…刑法二百四十八条(準詐欺罪)にも該当しようかといふ犯罪です。」とか。p.148
     他にも,「君が代」の「いはほとなりて」が「いわおとなりて」に改変されたのは「千年以上の古歌を勝手に改竄して日本語の正書法を破壊し、しかもそれを法律化してしまつた」愚挙だとか。繰り返すけど気持ちはわかる。でももはやいかんともしがたいでしょう。既成事実が重すぎる。
     もちろん旧仮名について知ることは大いに有意義と思う。ただ,こんな一面的な本ではなくて,もっと冷静な良い本で学びたい。実践するかは別にしても。

  • 旧かなづかひなどといふものは、主義主張を振り回して声高に訴へるものではありますまい。
    新かなには矛盾点(例へば「は」「へ」「を」の問題)、文法上の不合理(例へば動詞活用)など、私自身も気に喰はないところもありますが、今更元のかなづかひに戻す事は不可能でせう。
    一部の趣味人が個人的に細々と使用するくらゐではないでせうか。
    公の場では使へませんね。ビジネス文書を旧かなで書いたりすると、悪ふざけをしてゐるのかと思はれかねません。

    著者は旧かなを支持するあまり、「現代かなづかい」を目の敵にしてこき下ろしてゐます。
    ほんの60年ほど前に制定されたもので、それ以前の日本語はすべて旧かなであつたとつぶやいてゐますが、歴史的に見てそのほとんどは文語体であります。しかし文語体で文章を書くべきであるとは主張してゐないやうです。
    すると、明治の言文一致運動以降の現代文に旧かなといふことなのでせうか。
    もしさうなら、「歴史の中で長い時間をかけて洗練された」と尊崇するほどのものか。むしろ時代が激動する中で、過渡期に存在した徒花だつたのではないか...
    国語改革が愚劣であつたことは否めないけれど、今となつては新しい時代に相応しい文体を創出することに腐心する方が前向きではないでせうか。

    ま、私は旧かなづかひなど一度も書いたことはありませんから、良く分かりませんがね。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-40.html

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 旧かなをおさらいするのに良さそうだと思って読み始めたけれど、著者の主張が思いのほか強い。純粋に旧かなを学びたいのに饒舌な著者の旧かな主張に息つく間もなく、うんざりしてしまった。攻撃的な言葉の連続に精神を削られていくような。
    新書なので学習部分に絞ると成り立たないのかもしれない。脱線歓迎の人には向いているけれど、そうでない場合は学習参考書のようなものが良いのだなーと、気付かされた。

  • 旧かなづかひの方が、合理的で、意味がよくわかるので、旧かなづかいひに戻そうという内容。ちょいと無理があるね。

  • 旧かなづかい(歴史的仮名遣)の良さを語り、旧かなづかいを復活させるべき、と主張する書。本書自体、旧かなづかいで書かれている。

    我々が日常使っている言葉も「文語か口語かなどは分けられない」こと、歴史的仮名遣いが合理的なルールに基づいていること(現代仮名遣いが却って意味を分からなくしてしまっていること)、歴史的仮名遣は昔の発音を表したものであることなど、知らないことが多かった。

    旧漢字についても、ちゃんと勉強したことがなかったので、182頁~184頁にかけての対応表も有り難かった。古い本には結構旧漢字が出てきて不便を感じていたし、読んで良かった。

  • 歴史的仮名遣いから現代仮名遣いへの変遷にも触れている。読むのに役立てばと思って読んだけど手こずった。ひとつには現代仮名遣いに対する不信があり、なるほど著者の言わんとすることはわかるんだけど、毎回、現かなはこうで、ここがダメでっていうディスりとセットに。そういう仮名遣いの歴史みたいなのが半分くらいを占めてて微妙な感じだった。活用の理屈みたいなのも書いてあるんだけど真剣に書くつもりで読んでなかったのもあり読み進めるの大変だった。親切にルビを振りまくってある旧仮名遣いの本を読むのが一番かもしれない。旧漢字に関してもそうかな。旧仮名遣いで書く気になって読んだなら、要点は結構書いていたのかなとは思う。とはいえ、戦後の仮名遣いの攻防史みたいなのが印象に残るテキストだった。

  • 谷崎や中島敦の文章を文語で読めるかどうかで、けっこう世界が変わります。それはたとえば、『史記』を味気ない口語訳で読むか歯応えのある訓し文で読むかのちがいと似ています。

    自分が生きている時代よりむかしの文章に接する歓びを知ってしまったなら、できるだけとうじのままの文を味わうのが理想的。戦後の断絶の最たるものは、漢字制限と旧かなの廃止なのかもしれません。これからの世代は、むずかしい議論など無視して、戦前の文章をそのまま味わいたいと素朴に感じる人が増えるはずです。

    軽妙に綴られた手軽な新書なので、気軽に旧かなの世界へ飛び込みましょう。金田一京助と福田恆存のどちらが人間として真面目だったか、瞭然だと思います。

  • 私が歴史的仮名遣ひによって文章を書いてみようと思ったきっかけになる本。なぜ歴史的仮名遣ひが日本語の正統なのか、驚くべき文学作品の改竄の実態、国語を壊さうとした人たち、などの内容が分かりやすく書かれてゐる。日本語を愛する人必携の書。

  • [ 内容 ]
    私たちが日頃使う「新かなづかい」は、ほんの六十年ほど前に制定されました。
    それまで日本人に使われてきたのは「旧かなづかい」。
    歴史の中で長い時間をかけて洗練された旧かなは、合理的で美しい。
    また語源や意味も正確に伝わり、実は新かなよりはるかに使い勝手がいい表記法です。
    「このあひだはありがたう」「では七時に会ひませう」「きのふから雨が降つてゐる」―ふだんの手紙や日記を旧かなで書いて、あなたも日本語の美しさを味わってみませんか。言葉が心にしみ入ります。

    [ 目次 ]
    第1章 今日から使へる旧かなづかひ
    第2章 声に出しておぼえる活用
    第3章 正しい五十音を知つてゐますか
    第4章 新かなに改変の罪は重い
    第5章 舊字、いや正字はカッコいい
    第6章 国語を壊さうとした人たち

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