- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983281
作品紹介・あらすじ
この宇宙に、高度な文明を持った知的生命体、いわゆる「宇宙人」は存在するのか。人類永遠の謎は、いまやSFではなく現実の科学のテーマになった。それが、望遠鏡が受信する電磁波から宇宙人が発したと思われる信号を解析する「地球外知的生命探査」(SETI Search for Extra‐Terrestrial Intelligence)。「宇宙人はいるのか」という問いは、「私たちは特別な存在なのか」という人間存在そのものへの問いである。日本におけるSETIの第一人者が、その歴史的背景から最新動向まで、熱くわかりやすく語った待望の書。
感想・レビュー・書評
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新書文庫
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SETI、すなわち地球外知的生命探査は、
日本ではかなり認知度が低いと言わざるを得ません。
研究に携わっている人が少ないのはもちろんですが、
研究の現場にいる人が一般向けの著書を書かれていないのです。
おそらく本書の著者である鳴沢さんくらいしかいないのではないでしょうか。
そういった意味では貴重な本です。
実際に世界のSETI研究者と関わり合い、
一部ではリードしている著者ならではの本だと思います。
ところどころ、もうちょっと丁寧に書いて欲しかったな、
と思う箇所はありますが、
歴史的経緯も含めてまとまった一冊です。 -
先日、西はりま天文台に行きまして、巨大望遠鏡で天体観測を行ったのですがそこで解説してもらった方の本。やさしめのところから始まっているもののかなり専門的なとこまで進んでいき。科学的に宇宙人を探索していると言ってもなお十分胡散臭いけど、読めば他の学問分野同様に論理的な実験・観察を行っておるとのことで。未解明なところが多く、断言できることは少ないものの、その断言のできなさも含めて誠実に書いてある良書。
あと、天体観測自体もそれはもう素晴らしかったので是非。 -
面白かった。同じ著者の青少年向け書籍である『ぼくが宇宙人を探す理由』にくらべると、相当専門的につっこんで書いてあるので、全部を理解したとは言いがたいのだけれど、「むずかしいな」と感じるとすぐ補足説明が入るし、これはぜったいわからない、というところには「ここはわからなくても大丈夫」とさりげなくフォローが入っているし、人物や事物の固有名詞にはちゃんと前に出てきたページのクロスレファレンスが入っているし、とにかく親切に書かれているので、一度も置き去りにならずに最後まで楽しく読むことができた。やはり高校の先生をしていたという著者の経歴も大きいだろうし、編集者のサポートも当然あっただろうし、なによりも、一度すべてに対して自信喪失し、ひきこもりの苦しい時代を体験した経験が生きているのだろうと感じる。わからない人の、そのわからなさをわかってくれているような気がする。
内容は、そもそも宇宙にはどれくらいたくさんの星があるのか、なぜSETIというものが始まったのか、著者がどういう経緯でかかわるようになったのか、電波SETI、光学SETIの違い、などなど。こうやってふりかえってみて、とてもまとめて書けるほど理解していないことにあらためて気づくんだけど、それでも世界中の天文台に声かけしてドロシー計画が立ちあがる経緯や、その実行の前後の話は、読んでいて胸が熱くなったし、じんときた。 -
SETIの歴史と現状が具体的によくわかった。観測データ量を統計的に考えると、そろそろ見つかってもよい頃との記述に期待が高まる。iETの痕跡探しに系外惑星の表面を調べるくだりがあるが、望遠鏡の性能的に現実味はあるのだろうか。