ホームレス消滅 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344985933

作品紹介・あらすじ

現在、全国で確認されている路上生活者の数は4555人。年々、各自治体が対策を強化し、ここ10年で7割近くが減少した。救済を求める人がいる一方で、あえて現状の暮らしに留まる人も少なくない。しかし、ついに東京は2024年を目標とした「ゼロ」宣言を、大阪は2025年の万博に向け、日雇い労働者の街・西成を観光客用にリニューアルする計画を発表。忍び寄る”消滅”計画に、彼らはどう立ち向かうのか? ホームレス取材歴20年の著者が、数字だけでは見えない最貧困者たちのプライドや超マイペースな暮らしぶりを徹底レポート。

感想・レビュー・書評

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  • ふとタイトルを見て思った。
    昔あんなに、あちこちでたくさん見かけたホームレスの人々、今何処へ。
    東京オリンピックの影響だったり、クリーンな街(そもそもクリーンな街ってなんだよ?何基準なんだ?)
    を目指す云々も含め
    都庁が新宿に建設されたときは、御膝元にいられたら困るわけで。
    なんだか高度経済成長で出稼ぎに来てそのままだったり、会社をクビになったり、本当に多種多様だなと思うし。
    今は国管理の河川敷に住んでいたり、またはアパート入って生活保護とか。
    なかなか表に出てこない話題だけど、今の現状現実を知るのも大事だなと思った。

  • ルポの王道、みたいな。
    20年以上ホームレスを取材してきた著者が、公機関のデータとは別の視点でホームレスの方の生態(っていうか)を書いたものです。どんな人たちが、どんな生活をしているか。何が大変で、何が大変じゃないか。(気楽でいいわーと思って暮らしている人もいる、少数だが)。自治体が行うホームレスの支援がうまくいかない(ズレてる)理由や、高度経済成長期に仕事がたくさんあって、ホームレスの人が日雇い仕事に出かけて行った時代と、現代の違いなど。
    時代が移り変わり、日雇い労働では生計がなりたたなくなり、ドヤ街も消滅、ホームレスも減少し、近々消滅するだろうとのこと。
    なかなか面白い考察で、興味深かった。
    時代の流れというものは、誰にもどうしようもないものだな。と同時に、それに大いに乗っかって(ホームレスの人、日雇い労働者を利用して)大儲けする人もいれば、その日暮らしで時代の流れに取り残され、気づけば暮らしていけなくなった、みたいな人もいる。何が正しいのかわからなくなるけど、そもそも何かを「正しい」と決めるのも変なことかも。
    「ホームレスという暮らし方」=「正しくない」とは考えずに、密着して人々の生き方を追っている、これぞルポ!って感じでした。

  • 20年以上全国各地のホームレスを取材してきた著者が、ホームレスになる層や、住む場所の移り変わり、またその背景となる出来事を著した本。
    以前Homedoorの夜回りボランティアに参加したときに関わったホームレスの方と重なる点もあった。
    ホームレス状態を脱したいと思う人が脱しやすい世の中になっていることも理解できた。ひとえにホームレス支援団体の活動の成果や、生活保護受給が国民の権利であることが世間にも浸透してきたことが要因としてあるだろう。
    ただ、望んでホームレスでいたい人たちを排除する世の中は私も悲しいと思う。縛られたくない気持ちもよくわかる。今後もホームレス問題の今をしっかり把握していけたらと思う。

  • 10代、バスガイドのころ大阪城公園を案内するとブルーシートだらけの城の周りに地方の人がよくびっくりしていた。住所も立派でドアがついていたり、犬も見かけた。当たり前に見ていたブルーシートが並ぶ公園は、いつのにかもうない。
    ちょうどその頃東京に遊びに行った時に見かけたのと比べると大阪のホームレスは立派な住居をかまえるイメージではある。

  • 前に読んだ「樹海考」は樹海で自殺者を探すのが趣味の、下劣な感じのする本であまり好きではありませんでした。あれで見切りをつけたつもりだったのですが、ホームレスをテーマにした本書は良く調べて書かれた本で、グッと中身の詰まった良書でした。見切らなくてよかった。
    本書は1990年頃から少しづつ取材をしてきたものをまとめた本で、ホームレスをPOPに賛美する本ではなく、ホームレスという存在から見た社会の移り変わりを丁寧に、しかも読み物としての興味深さを失わずに書かれているので、意外と万人にお勧め出来る本です。
    山谷、西成、寿町という日本三大ドヤ街が、労務者の高齢化によって存在意義を失いつつ有り、いずれ消滅していく事が明白だという事がとても興味深く、何故か少し寂しい気がしました。
    思えば新宿西口にもホームレスが沢山居た時代がありました。公園にも小屋掛けしている人たちがいたのも記憶にあります。最近ではそういった場所でホームレスを見かけなくなりましたね。そういえば上野公園は大っぴらにテント張っていたなあ。
    路上生活している人が減るのは実際いい事だと思うし、見かけると落ち着かない気持ちになるのも事実でした。
    でも、今もし自分が路上生活しなければならなくなったとしたら、いったいどこに行けばいいんだろうと思うと、行き場が無いなあとも思うんですよね。若い頃は、自分が社会に適応できるか不安で、いつかホームレスになってしまうのではないか。と漠然とした不安がありました。
    今ホームレスになると、漫画喫茶で夜を明かして仕事を求めてさまよっているので、街を歩いているだけは分かりません。水面下で住む場所を確保出来ない人々が増えているのは漠然と不安です。
    この本に出てくる人々は、ホームレスであることで自由を得ているように見えました(見えてないけど)。

  • 既知の範囲内

  • 久しぶりに図書館に行ってみた。なんとなく気になり図書館で読んできた。山谷の近くの図書館も、労働者が利用しづらくなっていると本書に書いてあったし、そもそも山谷はもう寄せ場として機能してないとはっきりかいてあり、労働者ではなくホームレス、、とは山谷ではよんでなかったと思うけど、まあ、路上生活者というていたかな。コロナ前に大阪行ったとき、新今宮駅から外を覗いたらセンターが消えて巨大な空き地があり、本当のことだったのかと驚いた。あっさりと無くなってしまったことはショックだけど。
    そんなこんな事を思いながら、また東京駅や新宿駅でコロナ以降増えてるなと思うホームレスさんたち、宮下公園があんな風になり近くの別の公園での越冬や炊き出しなど身近な状況も思い出しつつ、本書はやや興味本位な感じは否めないが、割と最近の山谷、釜ヶ崎、笹島、寿町それに福岡や川崎までカバーされているので、情報として役立った。駅や公園で路上生活者をみることが多いから興味があればこのようなルポも読んで事情を、現状を、彼ら彼女らの声を断片的にも知ることは良いことだと思う

  • よくここまで調べたなあと思う。
    知らなくてもいいけど、知っていてもいいことだと感じた。
    みんないろんな事情を抱えている。
    みんなを一律に排除するのが1番いい方法とも限らない、確かに。

    ドヤ街の意味は初めて知った。ドヤ顔のドヤだと勘違いしていた。

  • ホームレスの実態について、インタビューや“実践!“を通して明らかにしようとする姿勢はすごいと思う。そして、時が流れるとともにその実態は見えにくくなってきているとの指摘は腑に落ちるものがある。

  • 最新版のホームレスの現状を描いていると思う.そして,その生き方を支援者ではなくフリーのライターとして捉えているという点で面白いと思う.

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著者プロフィール

1972年生まれ。名古屋出身。ライター・イラストレーター・漫画家。ホームレス、ゴミ屋敷、青木ヶ原樹海などアンダーグラウンド取材が得意。『樹海考』『人怖』『ホームレス大博覧会』など著書多数

「2022年 『東京の怖い街』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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