マルクス (センチュリーブックス 人と思想 20)

著者 :
  • 清水書院
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784389410209

感想・レビュー・書評

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  • マルクスの生涯と思想をわかりやすく解説した評伝的解説書です。

    著者のマルクスの人格に対する深い敬意と、資本主義のもとで搾取されている労働者に対する共感が文章ににじみ出ているのですが、最初は少し戸惑いを覚えたことも事実です。1913年に生まれ、教え子を戦争に送り出さざるをえなかった著者の時代には、マルクスを論じることが社会変革への呼びかけとまっすぐにつながっており、それがこうした文体になって現われ出ているのではないかと思います。

  •  やっとマルクスに至った。共産主義は生前からの恩讐であるかのごとくに教えられ、実像を知りえなかった幼き学生時代もその名前だけでも軽蔑した。大学時代にベトナムや旧ソ連圏に触れ、ステレオタイプな自分を知り、改めて生き方として実存的に取り組もうと思うようになった。大学時代の卒業論文もマルクスの生い立ちに関するものにした。
     個人的な感情でこの人を見ることはない。人類の幸福を願う同じ人間だった。いつもはその思想的欠陥、人類史を巻き込んだ大惨事の結末からその人物を見ていたが、一人間としての努力や希望、苦悩と不幸をゆっくりと知ることができる機会になった。未だ共産党宣言も資本論も読んでいないので(そんなことでよく論文書いたなといわれそうだが)、思想的な詳細はまだ分からない。しかし人類の幸福を自らの使命とし、自らの人生も家庭も犠牲にしながら生きた彼の誠実さをよく感じることができた。不幸であるほどに、窮乏を極めるほどに、人間の疎外を克服しようと思想にしがみついたのだろうか。この著には不幸で貧しくとも、たゆまずお互いを思うマルクス夫婦と一丸となって耐え忍ぶ家庭、莫逆の友であるエンゲルスとの暖かな友情が情感を込めてしたためられている。情的な機微まではその思想からは知ることができない。しかし人間はそこまで極端になることはできないはずである。思想的にはマルクスは敵である。しかし人間としては兄弟である。

    14/6/17

  • 今日でも大きな影響力を持つ大思想家であり、実践家でもあったマルクスの入門書。社会学を学ぶものとして、必ずぶつかる壁、マルクスを知ろうと思って読みました。
    他の人と思想シリーズとは違い、マルクスの生涯とマルクスの思想とが併記してあります。好みはあると思いますが私は読みやすかったです。
    マルクスの思想が理解でき易かったのもそうですが、マルクスの勉強と理想実現のための活動に明け暮れた生涯には私も奮起させられました。

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