- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784389420192
作品紹介・あらすじ
付: 参考文献
感想・レビュー・書評
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キルケゴール入門。このシリーズは歴史があり、表記に古さを感じる点はある。しかし、だからといって読みにくいわけではなかった。約半分が生涯について。残り半分が著作と思想の解説という割合だった。哲学者の生涯は様々であるが、キルケゴールは深刻な部類だと思う。それ故の彼の著作の美しさなのかもしれないが、読んでいて辛い部分があった。きっと、こういう人が楽に生きられる時代はないのだろうなと感じた。時代背景の描写から汲み取ることができるのは、ヘーゲルを中心としたドイツ観念論の影響が強く、またその亜流解釈の行き過ぎがあったということ。そして、教会の腐敗があったということ。キルケゴールについて印象的だったのはそれでも神を信じていた事であり、そこに無神論的実存主義のニーチェとの違いがあった。思想については少なくともこの本の中で形而上学的な話があったわけではないので、前知識がなくとも比較的楽に読むことができた。一つひとつの著作についての解説は決して長くはないが要点はまとめられており、これから原書を手に取るにあたって非常によいガイドだと思う。
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清水書院の「人と思想」シリーズは、前半で書名の人物の人生や為人を紹介し、後半でその思想を解説するという形を取られている(らしい)。本書でもそれに準じた手順で書かれている。
前半でキルケゴールの為人を知った後だと、起源・経緯からその思想が頭に入ってくる。しかし、著者のキルケゴールに対する称賛が多かったようにも思った。だが、著者も言うように、私もキルケゴールは現代でも通じる思想を提示しているのだと感じた。
著者は前書きで、本書を読んだ者がキルケゴールの著作を実際に読むことを望むと仰っている。その言葉通り、後半の思想の解説では、キルケゴールの著作に基づく形となっている。
キルケゴールの為人や実存主義に興味があっても、どの書から手をつけたら良いのかわからないという方に、うってつけの本だと思う。