本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784390114349
感想・レビュー・書評
-
アイルランドとスコットランドの妖精譚が収められている。
話は聞き取りによって収録されており、教訓めいたオチはない。何処そこで誰それが妖精に遭った、という噂話そのまんまの雰囲気が面白い。
読むと、アイルランドとスコットランドで妖精の捉え方に温度差があるのがわかる。スコットランドでは妖精は人々に害なすもので、関わったものの悲劇が強調されるのだが、アイルランドにおいては、関わったものは同じく翻弄されるものの、その話を「よくある日常のこと」としてそれほど悲劇的には扱わないのだ。
アイルランドにおいてはそれほど妖精は身近な隣人で、昔の日本における狐や狸のようなものだったのかもしれない。
さて、日本人の間では既に狐狸が化けることはなくなったが、破格のケルティックタイガー景気を経たアイルランドでは、今でも小人を見かけることはあるのだろうか。…そう思うと、この本がなおさらいとおしい。
社会思想社の廃業により絶版となってしまったのが残念である。詳細をみるコメント0件をすべて表示