- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393421352
作品紹介・あらすじ
植物に病気を引き起こすちっぽけな菌を追って、北極、南極、シベリアと、世界中の極寒の地を飛び回る異端の菌類学者が見た、菌類たちの織りなすダイナミックなドラマ。極限環境でヒト知れず暗躍する菌類たちの謎に包まれた生態や生存戦略、ヒトとの戦いの歴史などを微に入り細を穿ち紹介する、型破りな菌類解説書。私たちの生きる世界はこんなにも多様で楽しい。
感想・レビュー・書評
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むちゃくちゃ面白い。文体も語り口も何もかもが良い。ぐいぐい引き込まれてしまう。途中途中に挟まれるサブカルネタにいちいち突っ込みたくなってしまうのが良い。
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好きなことを研究している人の熱量があって、知識不足で分からない部分も多かったけどサラッと読めた。雪腐病菌という馴染みのない菌を軸に、その生き方や人との関わりの歴史など、発見を楽しむ著者の熱い語りが展開される。極寒の地、雪の下と過酷な環境でも生きていける菌の適応能力が興味深かった。
著者紹介には「意図せず滑った文章を放ち、周囲を凍らせる、こおりタイプの特性をもつ。」と書かれている。この文章がもう滑っていると思うし、文章との相性が悪かったのが残念。 -
【注:本レビューは,旭川高専図書館Webサイトの「私の推薦する本」に掲載した文章を,執筆者の許可を得て転載しています】
小生は,旭川高専・物質化学工学科の材料化学コースにほぼ等しい教育カリキュラムの大学の工学部を卒業した後,工学系・農学系・環境系が入り混じった学際コースの大学院に入学しました。そこで初めて微生物を使って研究をする専門分野と出会いました。北海道産ピート(泥炭)に住む細菌類を丸ごと利用して悪臭物質の除去フィルターにする研究でした。研究室の4名の教員陣は全員工学部出身でしたので,研究手法は工学ベースであり,細菌たちを「触媒」として捉える研究哲学です。ハッキリ言えば,「細菌類=モノ」です。化学反応を進めるための触媒(化学物質=モノ)と同じ扱いです。
大学院・修士を修了後に紆余曲折を経て,農学ベースの林産工学系の試験・研究機関に採用して貰いました。細菌類に代わって真菌類(カビ・キノコ)が研究材料です。住宅の床下で木材を分解(腐朽)するキノコ退治,食用・薬用キノコを生産する栽培技術の研究が担当業務でした。ここで,微生物を「生物」として捉える研究哲学と出会いました。微生物との接し方がほぼ180度異なります。とは言っても「殺す」か「増やす」かの工学手法がメインでしたので,生物である微生物に対する奥深い知識がなくとも対応できました。しかし,自分が執筆した学術論文の査読を受ける度にレフリーの先生方の指摘の陰にある,生物を扱う専門知識の奥深さに100%対応できない自分を認識するのです。
前置きが長すぎましたが,この図書には教科書の記述ではピンとこない個所の解説が満載です。学術論文のレフリーの先生方が身に付けている基礎知識をゲットできます。また,本書の主役微生物は芝生に病気を起こす「雪腐病菌(キノコの仲間)」で,著者の星野さん(本校で講演したこともあります)は雪腐病菌の生きざまを紹介しながら微生物学の奥深さをユニークな文章で記述しています。具体的には,教科書の行間にもない微生物の寿命,微生物の知性の有無まで踏み込んでいます。微生物学や応用微生物学に興味を持ったら,是非ご一読ください。今後の人生を楽しくしてくれる1冊です。
(物質化学工学科 富樫 巌 先生)
▽配架場所・貸出状況はこちら(旭川工業高等専門学校蔵書検索)
https://libopac3-c.nagaokaut.ac.jp/opac/opac_details/?kscode=004&amode=11&bibid=1014126232 -
学術用語とジョークがごちゃごちゃに入り乱れていて読みにくい。著者は親しみやすさや読みやすさを狙ったのかも知れないが逆効果だと思う。菌類についてある程度知識があり、余裕のある人なら楽しんで読み進められるのかな?
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東京大学農学生命科学図書館の所蔵情報(紙媒体)
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003501715 -
ふむ
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著者は、冬の間に雪の下で枯草を分解する雪腐病菌の専門家です。正直まったく雪腐病なんて知らなくて、読んでみてはじめて、あ!それ見たことある!ってなりました。
とても個人的な話になるのですが、私はいい大人が何かに夢中になっているのを見るのが大好きなのです。この本は本当にハマってしまった人が誰かに魅力を理解してもらいたくて一生懸命伝えようとしている感じがして、読んでいてとても楽しいです。