心理試験 (江戸川乱歩文庫)

著者 :
  • 春陽堂書店
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本棚登録 : 197
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394301585

作品紹介・あらすじ

蕗屋清一郎は、半年間考え続けたある計画を実行することにした。それは、同級生斎藤勇の下宿先の主である老婆を殺害し、隠しためていた大金を奪うことだ。容疑者として同級生斎藤があげられ、犯人として確定したかと思われたが…。担当の予審判事は、もう一人の容疑者として眼をつけていた蕗屋と斎藤の二人に心理試験を行う。ほかに「二銭銅貨」「二癈人」「一枚の切符」「百面相役者」「石榴」「芋虫」6点収録。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸川乱歩の作品はじめて読んだけれど、すこぶる面白かった。一気見に近い感覚で読破。

    斎藤くん、ヨカッタネ!

  • [墨田区図書館]

    江東区図書館の「ぶっくなび(2021年3月)」にて紹介。
    計画犯罪を実行した主人公の目線で書かれた物語。その紹介だけでは読もうとまでは思わなかったが、江戸川乱歩の著書とあって読んでみようかと。思えば昔好きだったとはいえ、シリーズもの(少年探偵団)しか読んでなかったかもしれないしな。

    そして実際に読んでみて、自分が乱歩の一画しか読んでいなかったことを実感。きっと本来の、そして当初の乱歩はこちらの方だったんだろうな。言い回しがその時代のもので独特であるだけでなく、その文調が説明や描写も含んだ、長い一文であることも多少は気になったが、それ以上にこの巻に収められたものはやや技巧に走りすぎていて、まだ本にさほど触れていない小学生の時分であれば感嘆したりマネしてみたいと思ったかもしれないが、変に経験を積んだ今となってはやや鼻白みを感じてしまった。そして最後に収められた「芋虫」はそれだけ推理・探偵ものとは異なった異色のもので、この時代?特有の、私にとってはわけのわからない、半ば官能小説にも通じる話だったが、巻末の解説を読んで、ただ作品を読むだけでなく新たに江戸川乱歩を知ったような気になった。

    この本を読み始めて他でも目にするようになった、乱歩デビュー作の「二銭銅貨」~中期代表作の「石榴」と上記の「芋虫」は、乱歩を語る上で重要な作品ともいえるみたいだ。本巻だけでは、どうも小学生時代に出会った少年探偵団は当時好きだったが、江戸川乱歩という作家本来の作に対してはファンと言えないと思うに至ったが、ちょうどこの本を読んでいる機会に同シリーズとしてまとめられた「人間椅子」の存在にも出会ったので、このあと一応読んでみてから、自分の中の江戸川乱歩の位置を決めようかな。

  • 2023/6/23

  • 2作目ですでに小五郎ファン

  • 周到な準備が裏目に出るなんて、とんだ皮肉。

  • データを読み解く人側のスキルが肝心

  • 心理試験はまじで引き込まれる話なので、普通のミステリに飽きたっていう人は読んでみてほしい

  • ●犯罪当時の状況を詳しく話して聞かせて、それを復誦させる方法もある。真実の犯人であったら、復誦する場合に、微細な点で、思わず話して聞かされたことと違った真実を口走って了うものなのだ。

    ●「あなたは、心理試験というものの弱点について考えられたことがありますかしら。デ・キロスは心理試験の提唱者ミュンスターベルヒの考を批評して、この方法は拷問に代るべく考案されたものだけれど、その結果は、やはり拷問と同じ様に、無辜のものを罪に陥れ、有罪者を逸することがあるといっていますね。ミュンスターベルヒ自身も、心理試験の真の効能は、嫌疑者が、ある場所とか、人とか、物について知っているかどうかを見出す場合に限って確定的だけれど、その他の場合には幾分危険だという様なことを、どっかで書いていました。」


    ●「ミュンスターベルヒは、心理試験の真の効能は、嫌疑者が、ある場所、人又は物について知っているかどうかを試す場合に限って確定的だといっています。今度の事件で云えば、蕗屋君が屏風を見たかどうかという点が、それなんです。この点を外にしては、百の心理試験も恐らく無駄でしょう。何しろ、相手が蕗屋君の様な、何もかも予想して、綿密な準備をしている男なのですからね。それからもう一つ申上げ度いのは、心理試験というものは、必ずしも、書物に書いてある通り一定の刺戟語を使い、一定の機械を用意しなければ出来ないものではなく、極く日常的な会話によってでも、十分やれるということです。」

  • 掛け軸を巡っての最後のどんでん返しが凄かった

  • 他の版でも読んだが文字の読みやすさでは1番。
    表題作については何度読んでも飽きず個人的には名作。小物で狡猾という犯人のキャラが秀逸だからだろう。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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