- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784395320400
感想・レビュー・書評
-
建築物を見るのが好きだけど、結局何をどう見ればいいのかわからないと思っていたところ、この本をお勧めしている記事を見つけて、江戸東京たてもの園に行く前に読んでみた。
全体の構造からディテールまで、前川國男の色や考え方がどう出てるかをすこし感情的に解説してる感じが、すごくよかった。
著者の前川國男への尊敬とか愛とかが節々に感じられて、あとがきでちょっと泣いた。
掲載されてる写真が全体的に見にくかったので★一個減点です。古い写真はしょうがないにしても、、って感じ。
江戸東京たてもの園でちゃんと本物見てこいってことですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前川さんの考え方を、自邸の設計を通して理解することができる。
外構、木々とアプローチの重要性については、この本を読むことで初めて知ることができた。
食卓の台形が、視線を誘導するためのものであったり、雨戸のギミックが南側の全面開口のためであったり、
ディテールのこだわりを居心地の良さに繋げるこだわりの方策をいくつも持っている。 -
前川の自邸(目黒に現存しているいわゆる新自邸ではなく、江戸東京たてもの園に移築保存されている木造の旧自邸)をテーマにしつつ、埼玉や熊本の美術館、さらに著者で元職員の中田が主担当となった国会図書館新館などでのモチーフにも触れながら、前川の建築の考え方をわかりやすく紹介した読み物。
近代建築のフレーズを意識はしつつも、外構工事への注力(ケヤキを好んだこと)やパブリックへの意識(すべての建築はパブリックであるべきと説いていたこと)等は、脱近代の様子を象徴的に表している。
また、小窓の設置といった旧来の日本家屋建築のようなフレーズにも関心が強いといったことや、演出への意識(「ムーブマン」というキーワードが表わすシークエンス景への意識)も印象的。
以上のようなところから、土木景観の篠原名誉教授が好むのも改めてうなづけるし、内藤廣こそが前川の建築の系譜の先にあるとの篠原の指摘にも共感する。
読み易く、気持ちよく、装丁もよい、美しい一冊。