800字を書く力 (祥伝社新書 102)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396111021

感想・レビュー・書評

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  • 800字を書く力
    小論文もエッセイもこれが基本!
    祥伝社新書 102
    著:鈴木 信一
    紙版

    800字の原稿をさくっとかける本かとおもっていましたが、ちがっていました。
    800字書けば、言いたいことを伝えることができるというのが本書の主旨です。

    ちょっと感覚が違う本というのが初見です。

    書くためには、読むことが必要である

    気になったのは以下です。

    ・書き始めさえすれば、じつは問題の九割は解決したも同じなのです

    ・前の文を無視して、それとの関係を断ち切る形で文を書き足していくことなど、通常はあり得ないことです。

    ・不足に対して、それを補おうとする意志の働き、それが国語における「論理」です
     本性は、この「論理」の導きによって、文が順次書き足されていくことで成立するのです

    ・仮に100枚、200枚の文章が書けたとして、さあ、それを読んでもらえるかということです。
     文章は書くと書けますが、人に最後まで読んでもらえるかとなると、これは別の話になるのです。
     読者は好き勝手言って、読むことを簡単にやめてしまうものだからです

    ・一は期待感を、二は達成感を読者に提供する点に注目してください

    ・800字書けば、言いたいことは伝わるのです
     新聞の社説やコラムは、800字前後でもって毎日1つの文章世界を構築します
     簡潔で無駄のない文体。具体的なエピソード、数々の引用文、明晰な論理、およそ、魅力的な文章には書くことのできない要素が、ふんだんに盛り込まれ、一つの宇宙が築かれるのです

    ・読む進むにつれて、視界が広がり、思索が深まるような文章
     これが文章の理想です。そして、800字あれば、その理想を現実することは十分にできます

    ・自分の考えを壊し、その上に別の思想を組み上げる。それをも疑い、また壊すことで、さらに別の思想を組み上げる。「考える」とは、それを繰り返していくことです

    ・文学は隠すことを旨とします。小説は説明を嫌い、詩は名言を避けるのです
     では、なぜ隠すのでしょう、探してほしいからです

    ・書くことを極意は、何を書くかではなく、何を書かないかにある

    ・矛盾なく文をつないでゆくだけでは、必ずしも満足な文章はかけない、書くことには
     淀みを作る
     対象を良く見つめる
     果敢に展開を試みる
     考えを壊していく

    ・書いたものを一晩寝かせる。何カ月も放置して、忘れた頃にもう一度読み直す

    ・書くことの仕組み、や、書くことの核心、をいくら理解しても、読めなければ書けないのです

    ・文章は、具体と抽象のあいだを行き来する

    ・読みの名手がいるとすれば、それは、読みの衝動、の高め方を知っている人たちです

    ・読書とは、他人の心や、他人の考え、にふれることと思われがちですが、じつは、自己に触れる行為です

    ・読むということは、言葉と言葉の関係に気づくこと、です

    ・通読してはいけない。論理が追えなければ、文章は読んだことにはならないし、何より面白くないのです

    ・となりあった文と文との因果関係を探ること、これが読解の第一歩です

    ・書き手は、書き手であると同時に、自作の詠み手だということです

    ・読みながら先を予測する人というのは、読んでいるのではありません。買いているのです。

    ・形式段落と意味段落
     形式段落とは、行が一字分さがっているところが、その切れ目です
     意味段落とは、意味上の纏まりを考えた時に、そこが大きな切れ目と判断されたところがその切れ目

    目次

    はじめに
    序章 学校で国語を学ぶ意味
    第1章 「書くこと」の仕組み
    第2章 800字を書く
    第3章 言葉をどう自分のものにするか
    第4章 「書ける」ようになるための読み方
    おわりに

    ISBN:9784396111021
    出版社:祥伝社
    判型:新書
    ページ数:208ページ
    定価:740円(本体)
    発売日:2008年02月05日 初版第1刷

  • 同じジャンルの他の本と比較して、本書のタイトルが異彩だったので手にとった。期待通り面白かった。基本的なテーマは、語彙や論理によって私たちの不自由さを解消していくこととして展開される。しかし最後に、宮沢賢治「『冬と銀河ステーション』春と修羅」が掲載し、言葉以前の世界における自由を表出していく。わたしはこのさいごに詩を持ってくるところが嬉しかった。

  • 10万字でも書ける気になる!
    国語の苦手な学生にも読んでほしい!

  • 本当に読書を楽しむために大切なことが書かれているから、読書入門者は読むべき。書く力は読む力だし、読む力は書く力。

  • 文章を書いてみたくなる本。

  • ●文は何かが足りない形をとる
     (ex)きのうは良い天気だったが、一日中部屋でゴロゴロしていた
     →「きのう」は何曜日か
      「ゴロゴロしていた」のは男か女か
      「ゴロゴロしていた」のは何者か 
      どうして「ゴロゴロしていた」のか
      「部屋」は何階にあるのか
     →足りない所を補おうと文は書き足されていったはずなのに、書けば書くほど足りない所は増えていく。だから書き手はまた文を書き加えていく。これが文章が出来上がる仕組み。
     →文章は「書くと、書ける」
     

    ●書き手の理論とは、足りないものを補おうとする意志であり
     読み手の理論とは、足りないものを追い求めようとする意志である

    ●読者が文章に飽きる理由
     ・文体が気に入らない
     ・文章そのものが分かりにくい
     ・テーマや内容がつまらない

    ●次の会話に入る素敵な言葉
     (ex)女:ずっと黙ったままね
       男:何を話せば?
       女:私を退屈させる話がいいわ。
       男:どうして?
       女:※楽しすぎるの、あなたと一緒に居ると

     (ex)男:たまには、僕のこと思い出してくれよな
       女:…。いいえ、思い出さないわ。
       男:…。
       女:だって、いっときだって忘れる事なんかないもの。

    ●形式段落→行がひと文字下がっている所が、その切れ目
     意味段落→意味上のまとまりを考えた時に、そこが大きな切れ目だと判断された所。

  • 何年か前にツイッターで見かけて気になっていた本。
    やっと読んだ。
    書く力、とあるけど読み方についても言及されていて個人的にはそこがよかった。
    web小説でたまに読みづらい作品に当たることがあるけど、読みづらい理由がわかったような気がした。語彙力がないとか用法違うとかそういう問題じゃないんだな。
    私も人のことは言えないのでよくよく気をつけないと。
    あと、書き出しの一行は自己愛捨てても思い浮かばない。

  • 2022年常設展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00503000

  • 安易に言語化してはならない問題がたくさんあるという最後のページを読んで鳥肌が立った。言葉って一体何なんだ?この本を読んで読書に対する感覚が変わったような気がする。

    論理的…。書き方よりも読み方の方がおぉ~と思うことが多かった。

    足りないものを補おうとしている
    書くというのは対象をあらためて見つめ直す作業

    〈読みの衝動〉
    解読の第一歩→隣り合った文と文の因果関係を探る
    読み取ったことと自分の関係に気づくこと
    不足を補う分を探ること

    不足に気づき、不足を補う分を待つ

    不足が補われているか
    文章が展開しているか

    理解できないままページを進めないこと
    予測せよ

    形式段落…一文字下がっている切れ目
    意味段落…意味上のまとまりを考えた場合の大きな切れ目
    懐かしい。昔小学校の時こういう授業があって好きだった。

    ・疑問を持ちながら、文を待ち伏せる
    ・展開を予測し自覚しながら進む

    何でもかんでも言語化すればいいというわけではない。むしろ逆で言語化してしまったことの弊害の方が多いような気がする現代社会。

  • 大学受験の際予測しながら読み解く意識付けを散々行ったはずなのに、社会人になって5年以上経った今はすっかり忘れてしまっていた。恐らくこうだろうと朧げな意識はあるが、とんちんかんなことを考えていたりと全く頼りにならない。結局のところ意識付けはその場限りだったようにさえ思う。
    そのことに気付かされた本でした。文章向上のためにも読み解く意識付けを行いたいと思います。
    理解しきれなかった部分もあるので、また読み直したいです。

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著者プロフィール

鈴木信一(すずき・しんいち)
1962年、埼玉県生まれ。横浜国立大学教育学部国語科卒業。
現在、埼玉県の公立高等学校に勤務。2007年、早稲田大学文学研究科派遣研究員。
著書に、『800字を書く力』(祥伝社新書)などがある。

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