- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396613235
感想・レビュー・書評
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エンバーマーと言う職業を初めて知ることが出来た。アメリカの学校を出て、現地で働くと言うのは生半可なものではない。著者の死者と遺族に対する真摯な気持ちも伝わる。東日本大震災の際もきっと奮闘されたのであろう。
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エンバーミングという技術は知っていた。
防腐剤を注入し、死者を生きているように見せかけ、服を着せポーズをとらせる。土葬されて10年後に掘り返しても死の当時の姿を保つことすらある。そんな、アメリカの葬儀の習慣を不思議なものだと思っていた。
むかし「永久に美しく」という映画があった。エンバーマーの夫と、その妻と愛人が互いに殺しあうのだけれども、死してもなお動き、修復を夫に頼むというコメディ。たぶんその知識だろう。
さて、これを読んでエンバーマーという仕事が、ただの遺体保全の仕事ではなく、人の人生に1度しかない死というイベントで、故人と遺族を結びつける大切な仕事なのだなぁと感じた。そのためにエンバーミングの技術がある。
死生観があるからエンバーマーになるのではなく、自分の死生観ではなく遺族の死生観に寄り添って死と向き合うというのが、ひどく印象的だった。
世間のプロフェッショナルは、持ちうる技術やノウハウや思考が正しいものとして問題解決にあたるように思われる。下手すると「あなたの考えが間違っているんですよ」というような。傲岸な態度をとるのだけれども、エンバーマーはそれらすべてを超えて遺族と向き合うのかーっておもうと、頭が下がる。
自分にもそういうおごった観点があるなと気づかされた。
死は人生に1度しかない。だからこそやり直しがきかない。
襟を正したくなる本である。
ただ、個人的にもう少し書き込みが深いというか、描写をしっかりしていたらより一層面白かったんじゃないかなーって残念に思うところがある。いろんなエピソードをあっさり書きすぎてもったいない。
語りおろしでもいいし、ライターさんつけてもいいから、具体的に書かれたものを読んでみたいなと思った。 -
借本。
著者の本はこれが初めて。
三原ミツカズ氏の「死化粧師」で気になったので。
エンバーマーって何なのか、よくわかる本。
とても読みやすい本となっているので、気になった方にはおすすめ。