大東京三十五区冥都七事件

著者 :
  • 祥伝社
3.28
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本棚登録 : 107
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396631840

感想・レビュー・書評

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  • レトロな佇まいに惹かれて読んでみた本です。
    地の文もレトロでちょっと読みづらく感じましたが、雰囲気はありました。落語とか講談みたいなやつかな…耳で聞く分には面白いけど文字で読むと読みづらいのか。。
    阿閉君はもうちょい落ち着こうよ、でしたが、大家の玄翁先生好きでした。素敵な縁側探偵。
    大東京三十五区(昔はそんなにあったんだ区…)では不可思議なことばかり起こっていましたが、解いてみるとほろ苦いものもあったり。天に凶、とか。
    最終章にはすっかりやられました。通りで名探偵なはずだ!阿閉君も冴えてた、と思ったのも束の間、玄翁先生何処へ。。とうに未練は無い!なので、消えてしまったのか?謎は残りました。

  • (収録作品)「品川」老松ヲ揉ムル按摩/「大崎」天狗礫、雨リ来ル/「三ノ輪」暗夜ニ咽ブ祟リ石/「向島」花ノ堤ノ迷途ニテ/「根岸」橋ヲ墜セル小サ子/「飛鳥山」偽電車、イザ参ル/「日比谷」天ニ凶、寿グベシ

  • 時代がかったトンチ小話集の趣。安楽椅子探偵の大家さんの下に店子の書生さんが持ち込むちょっとした事件の数々。最初文体がとっつきにくいかと思われたが、読み進むうちにリズミカルな文体にむしろページが進んだ。小説を読んでいるというよりはむしろ講談を聴いている感覚に近い。明治時代の世風を反映した背景描写が勉強になった。1話ずつはライト感覚で物足りない向きもあったけど、連作集としては面白く読めた。

  • 奇々怪々な事件の数々を、少々リズムのつかみにくい講談調の文章でつづっているため、はまれば癖になりそうな魅力があると感じた。どうしても文章の特徴ばかり目についてしまうが、事件自体の謎は意外とあっさりさっぱりで、それでいて洒落た味わいがある、何とも不思議な小説。

  • 文章に、慣れなくて、時間がかかってしまいました。しかし、雰囲気のある、小説でした。。ほのり不思議で切ない。

  • 講談調のテンポで進む帝都の謎解き話。
    色々と残念な書生の阿閉氏が最後の最後に家主の秘密を暴いてばらばらだった事件が繋がるところは意外だった。
    終わり方がまた不思議で間直瀬氏がどうなったのか気になる。

  • レトロで奇怪な事件の短編集。ちょっと特異な文体が慣れないと読みにくいけれども、それもまた味わいの一環。
    お気に入りは「天ニ凶、寿グベシ」。この「凶の字」のトリック、というか謎の解明が一番のインパクトだった。連作としてのオチもあり、やっぱりこの一作かな。

  • レビューを読んで、これは絶対私の好みだっ!……と思っていたのですが、あれー?というのが正直な感想。
    うーん、古き良き時代の文章や、テンポのいい講談のような語り口とか、絶対好きでもおかしくないのに、何だかどーも入り込めないんだよねー。
    で、途中でもうこれは駄目かも、断念するかもと思ったのですが、後半段々読みやすくなってきたのか、それとも私が慣れたのか(笑)
    最後の仕掛けは結構意外で、おお、と楽しく読めました。

    続きも気になるけど、最初の頃のしんどさがまたあったら…と思うと、二の足を踏む(爆)

  • なるほど・・・次が書きにくかった訳だ!〜血を吐く松・石雨れる家・夜泣きする石,迷路の人間消失・予言なす小さ子・消える電車・天に浮かぶ文字。首謀者は全て大家だった〜敵討ちの血を拭う振りをする目明きの按摩・海軍が研究していた気球が高度を上げるために落とした砂・三ノ輪で子殺しをする産婆と土に埋まった鐘・廃業する花魁・言い交わした女に会いたくないばかりに鉄板の橋を氷の堰で流した氷屋・王子電車の前に煙で造った幻灯を映す・不忍池の地図を見せておいて空を見せる・・・妖異は根岸に現れた「ハギワラ」だけだ。皇紀2600年を祝って大東京三十五區が誕生し,この題となり,大家は消えて・・・おしまい

  • <b>「大学で学問をやっとるくせに、まるでつぶしがきかん。いったい、この国は、どうなるのかの。儂はゆくすえが心配でならん。」</b><br>
    (P.47)

  • レトロ風味が良い感じ。凄い当時のこととか調べてるなと思います。凄。

  • あわてん坊でおっちょこちょいの阿閉万(あとじ よろず)通称・ちょろ万が一昔前の新聞から引っ張り出してきた7つの不思議な事件を下宿の大家・玄翁先生が安楽椅子ならぬ”縁側探偵”として解き明かす話です。

    装丁から文章までその時代を感じさせる本となっていて、いささか文章は読みにくいものの、玄翁先生の見事な推理に脱帽です。私ってこういう矍鑠とした老人にとっても弱いかも。好みのタイプ(笑)

    最後のお話では玄翁先生について重大な秘密が解き明かされます(言っちゃったよ、オイ)。そして最後の最後はとても不思議な、ある意味玄翁先生らしい終わり方で終わります。なかなか読み応えのあるお話でした。

  • 早稲田の書生にして雑誌記者・阿閉万(あとじよろず)の持ち帰る謎を解くは下宿館の家主・玄翁先生。安楽椅子探偵ならぬ、縁側探偵の推理とは?

    この時代設定には弱いのよ。特殊な文体がまた味だね。

  • 時代設定が好み。一番良い時代だと思う。
    オカルトなのに、推理物の雰囲気を漂わしているのは京極夏彦さんと同じ。
    でも、全く違う魅力がある。

  • 『老松ヲ揉ム按摩』 『天狗礫、雨リ来ル』 『暗夜ニ咽ブ祟リ石』 『花ノ堤ノ迷途ニテ』
    『橋ヲ堕セル小サ子』 『偽電車、イザ参ル』 『天ニ凶、寿グベシ』

    明治13年、帝都東京は東海寺周辺を警邏していた巡査が1人。東海寺の七不思議の一つ“血出の松”と呼ばれる老松に人陰を見つける。両の手から血を滴らせ、按摩が一心に松を揉んでいる。驚きつつも按摩を問いただしたところ、盲いの按摩はどうやって此処まで来たのかも、判らず、松を揉んでいたことも自覚していなかった。おそらく狐狸の類に騙されたのだろう――という「東京色色新聞」の記事を見つけた阿閉万――通称ちょろ万――は、この51年前に起こった事件の真相が気になり、大家の間直瀬玄蕃に相談を持ちかけた。『老松〜 より』




    時代は昭和7年辺り。阿閉万が古い新聞を漁り、不可解な事件を見つけ、玄蕃に指南を乞い事件が解明する、という感じのパターンかな。
    装丁を見た瞬間「買い!」という感じでした。タイトルからもレトロ風味がバシバシ伝わってきましたし(笑)
    文章も物凄く好きですね。慣れるまで少しかかるかも知れないけれど、独特の味わいがあります。短編なので、事件自体はそれほど複雑では無いけれど、この時代背景に見合った感じの解決の仕方なので面白く読める。厳密に考えると多少の無理はあるか?という感じですが、それを突っ込むと、この小説の色が無くなりますね。きっと。このちょっぴり胡乱なところが良い感じ。かといって曖昧な締め方じゃいです。理論的。
    個人的に、『橋ヲ堕セル小サ子』が好きですね。この話に関しては、暈してある感じなんですが、それがなんとなく好き。
    で、ラストに仕掛けがありました。これは全く予想して無かったので「ほぉー」と思わず感嘆。

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