感情8号線

著者 :
  • 祥伝社
3.31
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本棚登録 : 477
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634803

感想・レビュー・書評

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  • 東京の環状八号線沿いの街でそれぞれ起こっている恋愛短編集。ひとつひとつの話で完結しているのだけれど、どれも少しずつつながっているのが面白い。

    気取らない恋愛小説で読みやすくて面白い。恋愛小説は基本的にあまり好きじゃないけれど、こういうのだったら好きかも。

  • 21.05.29読了
    結婚しても、子どもがいても、独身でも、結局満たされない心って合って、そこに折り合いをつけながら、生きてくんだろうなと思わされる。
    なら、どんな生き方をしたっていいじゃないかと思ったり、それでも人を羨ましく感じたり、妬んだりすることもあるんだろうと思うと、めんどくさいなーとも思う。
    人の気持ちをまとめるのが上手い作家さん。逆に満たされてる本を書いたら、どんな作風になるんだろう。ちょっと興味ある。

  • 環状8号線沿いに住む登場人物たちが、語り手を変えながらぐるっとつながっていく恋愛連作短編。
    登場人物のこちら側とあちら側が、見る側を変えると違った印象に映る。この場面、こちら側はこうだったんだ、という機微が上手い。なかなかうまくいかない恋愛が切ない。

  • ぐるぐる巡るそれぞれの恋愛模様。
    傍から見ると幸せそうなのに本当は皆抱える思いがあって。
    不倫をやめた子がDV男に出会ってしまうのは因果応報のようで怖かった。
    変なとこが印象に残ってる。

  • 初の作家。わりと年が近いせいか、ディテールに共感できる感じ。好きな連作短編の形式だったんだけど、リンクの仕方も面白くて好きだった。いろんな書きっぷりが東京近郊の人の持つ感覚を如実に表していて面白い。

  • 何らかの関係性がある登場人物がいて、それぞれの視線でそれぞれの生活と感情が描かれているが、全てが一つに繋がっていて、しかしながら各々の異なった感じ方と考え方が入り交じって面白い。

  • 環状八号線沿いに住む女性たちの連作短編。
    語り手や周りのひとたちが少しずつつながっています。

    この感じ、好き。

    それぞれの語り手が抱える思いや悩みは、共感できるものが多くて。完全に一致するキャラはいなかったけど、ちょっとずつわかるなーってところがあった。

    千歳船橋の亜実と上野毛の里奈に結構共感しました。

    描かれているのは、恋愛や夢や夫婦生活、日常の断片だけど、こういうのがやっぱり好き。

  • どうしてこんなにみんなすれ違ってしまうのだろう。狭い世界で繋がりある人間関係の中でごちゃごちゃされたら気持ちはこんがらがってしまう。
    幸せ求めてぐるぐるまわってるみたい。
    男の人がズルいと思いつつ里奈がうんと不幸になればいいと考えてしまう私も悪の気持ちを抱えているのかも。

  • 環八沿線の街とそこに住む女たちの話。生活環境と雰囲気が確かに違う、って改めて思った。メモ。
    (1)二十三歳というのは恋愛の状況が一番ばらつく年齢の気がする。高校を卒業したら、彼氏彼女がいるのが当然の様になる。そこから徐々にばらついていく。一人とじっくり付き合っている人もいれば、片思いをこじらせてよく分からなくなっている人もいる。
    (2)結婚相手で美人で料理が出来るって重要?条件じゃないからな。

  • 2015.11.15.環状八号線沿いの各ポイントをタイトルにあげ、その地に住むまたは仕事をしているなどなんらかの縁を持っている人達を主人公にした連作短編集。関西人の私にはわからない土地勘だけれど、それぞれの地名からストーリーを展開していく設定は面白いなと思った。「荻窪」短大卒後静岡から上京し、演劇をやりながら餃子屋に勤める真希。演劇の同僚の貫太とともに働いている。貫太は好きだが、貫太には彼女がいて、若く綺麗な公太とその場限りの関係を続けている。「八幡山」貫太の恋人ミクの職場の友達、絵梨。彼のDVに悩んでいる。「千歳船橋」絵梨の友達亜美はアルバイトをしていた時にその社員の和也と付き合い、結婚した。幸せなはずなのに不安が消えない。「二子玉川」職場の先輩と結婚し、夫の両親にマンションを買ってもらって理想的なセレブな結婚生活を送る芙美。夫の不倫に気づいている。「上野毛」ここのあらすじを書いてしまうと他のネタバレになってしまうので割愛「田園調布」社会勉強のために餃子屋でアルバイトをする麻夕。貫太の事をずっと好きだが告白できないでいる。数珠繋ぎのように人間関係が続いていて、思いがけない場面で、それまでの作品にでてきた思いがけない人間関係が描かれるのが面白かった。芙美の不倫相手が、不倫解消後、出会う恋人のこと、読者は知っているその男の影にざわざわする。また、公太がもらす本音にぞくっとしてしまう。人ってそれぞれの場所で何を考えているかわからない。考えていないと思っていた人が思いがけないことを考えていたなどのエピソードがあり、面白かった。南部芸能事務所シリーズ以外に初めて読んだ畑野さん作品。密かに注目している作家さん、また、読んでいきたいと思う。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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